2027年3月に高校を卒業する子のいる世帯では、進学先や学費の準備が本格的になる時期です。配偶者を亡くして遺族年金を受けている世帯にとっては、年金の額が変わる時期とも重なります。

遺族基礎年金の対象になる子は、18歳になった年度の3月31日までの子です。高校3年生の子が1人だけなら、2027年3月31日を過ぎると遺族基礎年金は受け取れなくなり、遺族厚生年金だけが残ります。

この記事では、在職中に亡くなった夫の平均標準報酬額が40万円、厚生年金の加入が20年だった場合をモデルケースに、2026年4月分からの額で遺族の年金を試算します。

1. 遺族厚生年金を受け取れる条件と遺族の順位

はじめに、遺族厚生年金がどんなときに支給され、誰が受け取るのかを日本年金機構の説明で確認します。

1.1 在職中の死亡は短期要件に当たる

遺族厚生年金は、亡くなった人が次の4つのいずれかに当てはまるときに支給されます。

  • 厚生年金保険の被保険者である間に亡くなった
  • 被保険者期間中に初診日のある傷病で、初診日から5年以内に亡くなった
  • 障害等級1級・2級の障害厚生年金を受けられる人が亡くなった
  • 老齢厚生年金の受給権者か、受給資格期間が25年以上ある人が亡くなった

1つ目から3つ目を短期要件、4つ目を長期要件といいます。会社に勤めている間に亡くなった場合は1つ目の短期要件に当たり、死亡日の前日に保険料納付要件を満たしていることが条件です。

1.2 受け取る遺族の順位と年齢の条件

遺族厚生年金を受け取るのは、亡くなった人に生計を維持されていた遺族のうち、最も順位の高い人です。子のある配偶者、子、子のない配偶者、父母、孫、祖父母の順になります。

夫・父母・祖父母は55歳以上が条件で、受け取りは原則60歳からです。子のない30歳未満の妻は5年間の有期給付になります。

2. 【モデルケース】加入20年でも300月として計算し、遺族厚生年金は年49万3290円

モデルケースの夫は、平均標準報酬額40万円で厚生年金に240月(20年)加入し、在職中に亡くなったとします。加入期間はすべて平成15年4月以後です。

2.1 短期要件なので加入月数は300月とみなす

短期要件に当たるときは、厚生年金の被保険者期間が300月に満たなくても300月として計算します。夫の報酬比例部分は、40万円×5.481/1000×300月で年65万7720円です。

2.2 報酬比例部分の4分の3が遺族厚生年金

遺族厚生年金は、65万7720円の4分の3で年49万3290円になります。実際の加入月数240月で計算した場合より、60月分多く計算されます。

3. 65歳未満の妻の年金は、子が18歳年度末を迎えると組み合わせが変わる

妻が65歳未満のときは、18歳になった年度の3月31日までの子がいるかどうかで、遺族厚生年金に加わる給付が変わります。

3.1 高校3年生の子が1人いる間は年158万4390円

子のある妻には、遺族厚生年金と遺族基礎年金の両方が支給されます。2026年4月分からの遺族基礎年金は年84万7300円(昭和31年4月2日以後生まれの場合)で、子の加算額は1人目と2人目が各24万3800円、3人目以降が各8万1300円です。

子が1人なら、84万7300円+24万3800円+49万3290円で年158万4390円です。

3.2 子が18歳年度末を過ぎたあと、40歳以上の妻は年112万8790円

子が18歳になった年度の3月31日を過ぎると、遺族基礎年金は受け取れなくなります。このとき妻が40歳以上65歳未満であれば、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算(2026年度は年63万5500円)が付きます。

49万3290円+63万5500円で年112万8790円となり、子のいる間に比べて年45万5600円少なくなります。

在職中に亡くなった夫(平均標準報酬額40万円・加入20年)の遺族の年金の年額(2026年4月分から)1/2

遺族厚生年金のみ、65歳未満で子が1人、子の18歳年度末後で40歳以上、65歳以上の4つの場合について遺族の年金の年額を比べた横棒グラフ

出所:日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」などをもとにLIMO編集部作成

4. 65歳以上の妻は、自分の老齢厚生年金との差額を遺族厚生年金で受け取る

妻が65歳になり自分の老齢厚生年金を受け取るようになると、遺族厚生年金は差額の支給に変わります。

4.1 老齢厚生年金が先に全額支給される

平成19年4月1日以後は、自分の老齢厚生年金が全額支給され、遺族厚生年金のうち老齢厚生年金に相当する額が支給停止になります。老齢基礎年金は遺族厚生年金と合わせて受け取れます。

4.2 モデルケースの妻は差額の年29万3290円

65歳以上の配偶者の遺族厚生年金は、「報酬比例部分の4分の3」と「報酬比例部分の2分の1+自分の老齢厚生年金の2分の1」の高いほうで決まります。妻の老齢厚生年金が年20万円なら、後者は32万8860円+10万円で42万8860円で、前者の49万3290円のほうが高くなります。

49万3290円から20万円を差し引いた年29万3290円が遺族厚生年金です。老齢基礎年金が満額の84万7300円なら、合計は年134万590円になります。

在職中に亡くなった夫の加入が20年でも、短期要件なら300月として計算され、遺族厚生年金は年49万3290円になります。高校3年生の子が1人いる妻は年158万4390円ですが、子が18歳年度末を過ぎると、40歳以上の妻で年112万8790円に変わります。

子の遺族基礎年金がいつ終わるかは、子の生年月日で決まります。年金証書や年金決定通知書で、自分の世帯の年金の内訳を確かめておくと見通しが立てやすくなります。

ここからは、子が大学などに進学するときに使える高等教育の修学支援新制度で、遺族年金がどう扱われるかを見ていきます。