5. 入学金の減免は入学前に間に合う?多子世帯の私立大学なら入学金26万円まで減免されるが、入学後3か月以内の申請
高等教育の修学支援新制度では、給付奨学金の対象になると、授業料と入学金の減免も受けられます。日本学生支援機構「多子世帯支援について」によると、2025年度からは、扶養する子どもが3人以上の多子世帯の学生は、所得制限なく授業料と入学金の減免の対象になりました。
大学の減免の上限額(年額)は次のとおりです。
- 【国公立大学】入学金28万2000円、授業料53万5800円
- 【私立大学】入学金26万円、授業料70万円
- 【多子世帯】第Ⅰ区分と同じ額まで減免される
ただし、日本学生支援機構の案内では、給付奨学金の支給も、授業料と入学金の減免も、進学後に行われるとしています。入学後に入学金の減免を申請する場合は、入学後3か月以内に在学する学校へ申請します。
学校によっては入学金などの支払いを猶予する制度を設けている場合があり、詳しくは進学先の学校で確かめることができます。また、国の教育ローンでは、授業料と入学金の減免分は融資の使いみちに含めることができないとされています。
6. 【元FP会社職員の視点】検証:奨学金と入学金は「いつ入るか」と「いつ払うか」の日付で並べると、つなぐ期間が見える
試算から見えることの1つ目は、奨学金の額が足りるかどうかより先に、振り込まれる日と払う日の順番が問題になることです。奨学金の初回振込は早くて2027年4月21日(水)で、入学金や前期の学費は、それより前の入学手続きの時期に払います。
2つ目は、入学前に要る額が国立と私立で大きく違うことです。国立大学は入学料の標準額で28万2000円、私立大学は入学料に半年分の授業料と施設設備費を加えると約81.1万円で、約2.9倍の差があります。
保険の手続きに関わっていた頃も、書類を出してからお金が振り込まれるまでの日数は、思っていたより長いと感じる方が多い印象でした。国の教育ローンも、審査結果と振込までに通常あわせて20日前後かかるとされています。
数字の読み方としては、入学時特別増額貸与奨学金の最大50万円や、多子世帯の入学金の減免は、入学前の支払いを「あとから埋める」お金と受け止めておくと整理しやすいように思います。入学前の分は、貯蓄や国の教育ローンなど、別の方法でいったん用意することになります。
合格発表から入学手続きの締め切りまでの期間は、大学や入試の方式で異なります。受験する大学の入学手続きの日付と、奨学金や減免の手続きの日付を1枚のカレンダーに書き出してみると、ご家庭でつなぐ期間と金額が見えやすくなるかもしれませんね。
7. まとめ
日本学生支援機構の奨学金は入学後に振り込まれ、2027年度の初回は早くて4月21日(水)です。入学時特別増額貸与奨学金も初回の振込とあわせて入学後で、入学前に払う国立大学の入学料28万2000円や、私立大学の約81.1万円(入学料と半年分の授業料・施設設備費)には間に合いません。
入学前の資金には国の教育ローンなどの制度があり、多子世帯の入学金の減免も入学後の申請です。
受験する大学の入学手続きの日付と、奨学金の振込日を並べて確かめておくと、入学前に用意する額と、貯蓄や国の教育ローンなど奨学金以外の方法でいったんお金を用意する必要のある期間がつかみやすくなります。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。入学手続きの際に払う額や時期は大学によって異なります。奨学金の振込日や入学時特別増額貸与奨学金の条件は日本学生支援機構、国の教育ローンの金利や条件は日本政策金融公庫の最新の案内でご確認ください。
参考資料
- 日本学生支援機構「貸与奨学金案内(2027年度大学等予約採用)」
- 日本学生支援機構「給付奨学金案内(2027年度国内大学等予約採用)」
- 日本学生支援機構「入学時特別増額貸与額」
- 日本学生支援機構「入学時特別増額貸与奨学金の利用条件」
- 文部科学省「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
- e-Gov法令検索「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」
- 日本政策金融公庫「教育一般貸付(国の教育ローン)」
- 日本政策金融公庫「教育ローン用 返済シミュレーション」
- 日本政策金融公庫「よくあるご質問 国の教育ローンのご利用をお考えの方」
下村 美乃莉