5. めいに残す遺言はどう作る?法務局の保管制度なら手数料は3900円
自分で書く自筆証書遺言は、法務局の自筆証書遺言書保管制度を使うと、遺言書1通につき3900円で預けられます。法務局に保管された遺言書は、家庭裁判所での検認が要りません。
- 【保管の申請】遺言書1通につき3900円
- 【検認】遺言書保管所に保管された遺言書は不要(法務局における遺言書の保管等に関する法律第11条)
- 【めいが先に亡くなった場合】遺贈は効力を生じない(民法第994条)。財産は相続人に渡る
めいが先に亡くなる場合に備えて、そのときにだれに渡すかも遺言に書いておくと安心です。
6. 【元銀行員の視点】検証:めいに財産が届くかを分けるのは2割加算より遺言の有無。基礎控除を1000万円超えても加算分は約20万円
子どもがいない独身の相続で見落としやすいのは、めいはあくまで「兄弟姉妹が先に亡くなったときの代わり」だという点です。兄や姉が健在なら、遺言がない限り、めいに財産は渡りません。
相続税については、2割加算という言葉から負担が重いと感じる方もいるかもしれません。ただ、基礎控除は民法上の相続人の数で決まるため、兄弟姉妹が2人いれば4200万円までは0円です。まずは財産の総額と基礎控除の差を見ていただきたいところです。
数字を見るときは、2割加算の分だけを取り出すと分かりやすくなります。基礎控除を1000万円超えた場合の約120万円のうち、2割加算で増えるのは約20万円です。しかも、兄弟姉妹が相続しても同じように加算されるため、めいに残すかどうかで税額が変わるわけではありません。
むしろ差が出るのは、遺言があるかどうかです。遺言がなければ財産は親や兄弟姉妹に渡り、めいには届きません。親が健在なら、親の遺留分も考えておく必要があります。
めいに残したいという思いがあるなら、まず遺言を形にしておくことが出発点です。保管制度の利用や、相続人の状況が変わったときの書き直しも含めて、早めに準備していただきたいところです。
7. まとめ
子どもがいない独身の方の相続人は親、次に兄弟姉妹で、めいは兄弟姉妹が先に亡くなったときだけ相続人になります。めいに確実に残すには遺言が必要で、兄弟姉妹には遺留分がありません。
相続税は、兄弟姉妹2人が相続人なら4200万円までは0円です。超えた場合は2割加算がありますが、兄弟姉妹が相続しても同じく加算されるため、めいに残すことで税額が特に増えるわけではありません。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。相続人や財産の状況によって相続税額や遺留分は変わります。実際の扱いは、税務署や法務局、弁護士・税理士などでご確認ください。
参考資料
- e-Gov法令検索「民法」
- 国税庁「No.4152 相続税の計算」
- 国税庁「No.4155 相続税の税率」
- 国税庁「No.4157 相続税額の2割加算」
- 法務省「自筆証書遺言書保管制度 09 手数料」
中本 智恵