個人向け国債は、元本割れのリスクがない一方で、満期まで動かせないと思われていることもあります。実際には、発行から1年たてば1万円単位で一部だけ換金することができますが、換金するときには差し引かれる額があります。

証券会社で資産運用のご提案をしていた経験からお伝えすると、個人向け国債は「いくら利子がつくか」と同じくらい「いつ換金するといくら残るか」を知っておくと選びやすくなります。ここでは、2026年10月に募集中の個人向け国債の利率で、途中で換金した場合に手元に残る利子を整理します。

300万円を変動10年・固定5年・固定3年に預けた場合の利子と、そのうち100万円だけを1年後・2年後・3年後に換金した場合に残る額を試算しました。

※利率と中途換金の条件は、財務省「現在募集中の個人向け国債・新窓販国債」(令和8年10月15日現在)と「個人向け国債」の商品概要にもとづいています。

1. 個人向け国債の利率はいくら?10月募集分は変動10年が年2.05%、固定5年が年2.39%、固定3年が年2.07%

財務省によると、令和8年10月8日から30日まで募集している個人向け国債(11月16日発行)の利率は次のとおりです(税引前)。利子は半年ごと、毎年5月15日と11月15日に受け取ります。

  • 【変動10年(第199回)】年2.05%、300万円なら年6万1500円(税引後 約4万9006円)
  • 【固定5年(第187回)】年2.39%、300万円なら年7万1700円(税引後 約5万7134円)
  • 【固定3年(第197回)】年2.07%、300万円なら年6万2100円(税引後 約4万9484円)

利子を受け取るときには20.315%の税金が差し引かれます。変動10年の利率は半年ごとに見直され、固定5年と固定3年は満期まで同じ利率です。どの商品も最低金利は年0.05%と決められています。

2. 途中で一部だけ換金できる?発行から1年たてば、1万円単位で一部または全部を換金できる

財務省によると、個人向け国債は3つの商品とも、発行から1年たてばいつでも中途換金ができ、購入額の一部または全部を、最低1万円から1万円単位で換金できます。換金しても、額面100円につき100円が戻り、元本割れはありません。

  • 【換金できる時期】発行から1年経過後(3商品とも)
  • 【換金できる単位】最低1万円から1万円単位で、一部だけでも可
  • 【差し引かれる額(中途換金調整額)】直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685

発行から1年以内でも、災害救助法が適用された大規模な自然災害で被害を受けた場合や、保有者本人が亡くなった場合は換金できます。

3. 換金するといくら残る?100万円を1年で換金すると利子は実質0円、3年後なら固定5年で約3.8万円

中途換金調整額は、直前2回分の利子(税引前)に0.79685をかけた額で、受け取った税引後の利子のちょうど2回分にあたります。300万円のうち100万円だけを換金した場合に、受け取った利子から調整額を差し引いて残る額は次のとおりです。

  • 【約1年後(利子を2回受け取ったあと)】3商品とも約0円
  • 【約2年後(4回受け取ったあと)】変動10年 約1万6335円、固定5年 約1万9045円、固定3年 約1万6495円
  • 【約3年後(6回受け取ったあと)】変動10年 約3万2671円、固定5年 約3万8090円、固定3年 約3万2990円

換金しなかった残りの200万円は、そのまま利子を受け取り続けます。発行から1年で換金すると、受け取った利子とほぼ同じ額が差し引かれるため、利子は実質的に残らない計算です。

※試算の前提:10月募集分の利率が続くものとし、利子は税引後、調整額は財務省の計算方法(直前2回分の各利子〈税引前〉相当額×0.79685)で計算しています。変動10年の利率は実際には半年ごとに変わります。

例)個人向け国債100万円を途中で換金した場合 受け取った利子から差し引かれる額と残る額(10月募集分の利率)1/1

個人向け国債100万円を途中で換金した場合の試算。差し引かれる額は変動10年約1万6335円、固定5年約1万9044円、固定3年約1万6494円。約1年後の換金では残る利子は3商品とも約0円、約3年後なら変動10年約3万2671円、固定5年約3万8090円、固定3年約3万2990円。

出所:財務省「現在募集中の個人向け国債・新窓販国債」、財務省「『変動10年』商品概要」をもとにLIMO編集部作成