4. 学資保険の返戻率120%は年利換算で約1.4%。払込期間を短くした設計の例

返戻率がより高い設計も考えられます。ここでは払込期間を短くした設計を仮に置き、子どもが0歳のときに月3万円を10年払い込み、18歳で一括して受け取る場合を試算します。払込総額は本編と同じ360万円です。

  • 【学資保険 返戻率120%(仮の設計)】受取432万円、年利換算は約1.4%
  • 【NISA 年1%】約410万円(月3万円を10年積み立て、18年後)
  • 【NISA 年3%】約533万円
  • 【NISA 年5%】約694万円

返戻率が120%でも、払い込みを終えてから受け取るまでの据置期間が長いため、年利に直すと約1.4%にとどまります。返戻率の数字だけでなく、受け取るまでの期間も合わせて見ることが大切です。

※試算の前提:月3万円を10年(払込総額360万円)、払い込み後の8年は据え置き、18歳で一括受取。返戻率120%は仮の値で、実際の商品とは異なります。年利は月ごとの複利で換算し、手数料や税金は考慮していません。

5. 学資保険とNISAを選ぶときは?受取総額が払込総額を下回る場合と、評価額が動く場合

生命保険文化センターによると、こども保険は貯蓄機能を備えていますが、祝金や満期保険金の受取総額が払い込んだ保険料総額を下回ることがあります。返戻率が100%を下回る設計では、受取額が払込額より少なくなります。

NISAは、年1%・3%・5%のような利回りが約束されているわけではありません。積み立てている間も評価額は日々動くため、受け取りたい時期が近づいたときに、前提の金額を下回っている可能性もあります。

どちらか一方に決めずに、使う時期が近いお金と遠いお金で分ける考え方もあります。たとえば、初年度の納付に必要な分は受取額が決まっている方法で、残りは運用で備えるという分け方です。

6. 【元FP会社職員の視点】検証:返戻率は「年利」に直すと比べやすい

今回の試算で見えてきたのは、返戻率は年利に直すと見え方が変わるということです。返戻率105%は、数字だけを見ると増えているように思えますが、15年かけて年利に直すと約0.65%です。

FP会社で保険の手続きや問い合わせ対応に携わっていた頃も、返戻率は「いつまでに何%増えるのか」が見えにくい数字だと感じていました。受け取るまでの期間を含めて見ると、他の方法とも比べやすくなります。

一方で、NISAの年3%や年5%は、あくまで仮の利回りです。私自身もNISAを7年以上利用していますが、評価額は日々動くため、使う時期が近いお金とは分けて考えたいと感じています。

学資保険は受取額が見えやすく、NISAは増える可能性がある代わりに結果が変わります。どちらが合うかは、家計の状況や、お子さんの進学までの期間によっても変わってくるのではないでしょうか。

正解は一つではありません。まずは毎月無理なく続けられる金額から、ご家庭に合った準備の仕方を考えてみてください。

7. まとめ

月2万円を15年積み立てた場合、学資保険の返戻率100%・105%・110%は年利換算で0%・約0.65%・約1.26%でした。NISAは年1%・3%・5%で約388万円・約454万円・約535万円となり、利回りの前提によって受取額は大きく変わります。

私立大学の初年度納付金は約151万円です。受取額の確実さと増える可能性の両方を見ながら、受け取りたい時期に合わせて、ご自身のペースで備えていきましょう。

※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の学資保険の返戻率や受取時期、NISAの運用成果はこれと異なります。保険商品の内容は保険会社に、制度の詳細は金融庁などでご確認ください。

参考資料

下村 美乃莉