「障害者手帳を持っていないから、障害年金は関係ない」「手帳が1級だから、年金も1級でもらえるはず」。そう考えている方は少なくないかもしれません。
障害年金と障害者手帳は、どちらも障害のある方を支える制度ですが、根拠となる法律も、等級の決め方も、手続きの窓口も異なる別々の制度です。手帳の等級と年金の等級は一致するとは限らず、手帳がなくても障害年金を請求できる場合があります。
この記事では、障害年金と障害者手帳の違いを比較表で整理したうえで、2026年度の障害年金の金額と、上乗せされる障害年金生活者支援給付金の月額、手帳で受けられる税の控除などを解説します。
1. 障害年金と障害者手帳は「別の制度」
まずは、2つの制度がそれぞれどのようなものかを確認しておきましょう。
1.1 障害年金:病気やけがで生活や仕事に支障がある人に支給される公的年金
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に支給される公的年金です。
初診日に国民年金に加入していた方などが対象の「障害基礎年金」は1級と2級、初診日に厚生年金保険に加入していた方が対象の「障害厚生年金」は1級から3級まであります。障害厚生年金には、3級よりも軽い障害が残った場合に一時金として支給される障害手当金もあります。
1.2 障害者手帳:3種類あり、等級の区分もそれぞれ異なる
障害者手帳には、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の3種類があります。
- 身体障害者手帳:身体の機能に一定以上の障害があると認められた方に交付。障害の種類別に、重度の側から1級から6級の等級が定められている
- 精神障害者保健福祉手帳:一定程度の精神障害の状態にあると認定された方に交付。等級は1級から3級まで
- 療育手帳:知的障害があると判定された方に交付。各自治体で運用されている
身体障害者手帳の等級表には7級もありますが、7級の障害は単独では交付の対象になりません(7級の障害が2つ以上重複する場合などは対象になります)。
手帳の申請は、市区町村の担当窓口などで行います。年金事務所などが窓口となる障害年金とは、手続きの場所も異なります。
2. 手帳の等級と障害年金の等級は一致しない
2つの制度を混同しやすい理由の一つが、どちらにも「1級」「2級」といった等級があることです。ただし、その基準は別々に定められています。
【チェック表】手帳の等級=年金の等級ではない2/3
出所:日本年金機構「障害等級表」、日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」、厚生労働省「年金証書等の写しによる精神障害者保健福祉手帳の障害等級の認定事務についての一部改正について」をもとにLIMO編集部作成
2.1 障害年金の等級は「障害等級表」で判断される
障害年金の障害の程度(障害等級)は、法令で定められた障害等級表によって判断され、身体障害者手帳の等級とは異なります。
たとえば障害年金の1級は「日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」、2級は「日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とされています。厚生年金保険のみの3級は、「労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度」の障害が対象です。
そのため、手帳の等級と同じ等級で障害年金が認められるとは限りません。
2.2 手帳がなくても、障害年金は請求できる
障害基礎年金の主な受給要件は、初診日の要件、保険料の納付要件、そして障害認定日などに障害等級表の1級または2級に該当していることです。障害厚生年金も、初診日に厚生年金保険の被保険者であったことや、1級から3級に該当していることなどが要件です。
いずれの受給要件にも、障害者手帳を持っていることは含まれていません。手帳を取得していなくても、要件を満たしていれば障害年金を請求できます。
2.3 障害年金を受けていても、手帳は別に申請が必要
反対に、障害年金を受け取っていても、障害者手帳が自動で交付されるわけではありません。手帳が必要な場合は、別に申請します。
なお、精神障害を支給事由とする障害年金を受けている方が精神障害者保健福祉手帳を申請する場合は、医師の診断書の代わりに、年金証書の写しなどで手帳の等級を認定する仕組みがあります。この場合、年金が1級なら手帳も1級、2級なら2級、3級なら3級と判定されます。