4. 65歳以降に年金を受け取りながら働くと?在職老齢年金の基準は月65万円で、アルバイトの収入なら減らない人が多い

日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」によると、厚生年金に入って働きながら老齢厚生年金を受け取る場合、年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が65万円(令和8年度)を超えると、超えた分の半分が老齢厚生年金から支給停止されます。老齢基礎年金は停止の対象になりません。

  • 【週20時間のアルバイト(総報酬月額相当額 約10.4万円)】年金の基本月額が約54.6万円までなら停止されない
  • 【週30時間のアルバイト(同 約16万円)】年金の基本月額が約49万円までなら停止されない

厚生労働省によると、この基準額は2026年4月から65万円になりました。アルバイト程度の収入であれば、老齢厚生年金が減らない人が多いと考えられます。

5. 【証券会社出身の視点】検証:月の手取りは約1.1万円減っても、年金は生涯で年約3.4万円増える

週20時間と週19時間を比べると、月収の差は約5200円ですが、週20時間では社会保険料約1万6120円が差し引かれるため、手取りは週19時間の約9万8800円より約1万920円少なくなります。その代わり、厚生年金に入った5年間の分、老齢厚生年金は年約3万4201円増えます。

資産運用のご提案でも、老後のお金は「受け取る年数」で見ることが多くありました。5年間で減る手取りは約65.5万円(約1万920円×60か月)で、増える年金を65歳から受け取ると、約19年で同じくらいの額になります。65歳の平均余命を考えると、長く受け取るほど差は縮まり、やがて逆転します。

また、週19時間で社会保険に入らない場合は、国民健康保険料を自分で払うか、家族の扶養に入れるかで手取りが変わります。国民健康保険料は自治体と前年の所得で決まるため、比べるときは自分の住む市区町村の額で見ることが大切です。

定年後に働く時間を決めるときは、毎月の手取りと、増える年金、健康保険の入り方の3つを並べて見てみると、自分に合った働き方を考えやすくなるかもしれませんね。

※試算の前提:前章と同じ。国民健康保険料と所得税・住民税は含めていません。

6. まとめ

2026年10月から、社会保険の加入要件のうち月額8.8万円の賃金の要件がなくなり、従業員51人以上の企業で週20時間以上働くアルバイトは社会保険の対象です。時給1200円・週20時間の手取りは、社会保険料を差し引いて月約8万7880円で、5年働くと老齢厚生年金が年約3万4201円増える計算でした。

65歳以降は、年金と給与の合計が月65万円を超えない限り、在職老齢年金で年金が減ることはありません。自分の年金の見込み額は、ねんきん定期便やねんきんネットで確かめることができます。

※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の手取りや年金額は、勤め先の規模や労働時間、加入する健康保険、お住まいの自治体などによって異なります。社会保険の加入は勤務先、年金は日本年金機構や年金事務所でご確認ください。

参考資料

安達 さやか