3. 【定期昇給とベースアップ】定昇制度がある企業のうちベアを行った・行う企業は57.9%

賃金の改定には、毎年決まった時期に行う定期昇給(定昇)と、賃金表そのものを書き換えて水準を引き上げるベースアップ(ベア)などがあります。同調査では、それぞれの実施状況も公表しています。

3.1 定昇制度ありは84.2%、定昇を行った・行うは81.2%

賃金の改定を実施した又は予定している企業と、改定を実施しない企業のうち、定昇制度がある企業は84.2%(前年81.2%)でした。賃金の改定を実施した又は予定している企業と、改定を実施しない企業のうち、今年定昇を行った又は行う企業は81.2%(同76.8%)です。

定昇制度がある企業だけで見ると、96.4%が定昇を行った又は行うと答えています。定昇の仕組みがある会社では、多くが今年も予定どおり昇給を行っていると受け取れるでしょう。

3.2 ベアを行った・行うは57.9%、労働組合ありでは83.9%

定昇制度がある企業のうち、「ベアを行った・行う」企業の割合は57.9%(同57.8%)でした。労働組合ありでは83.9%、労働組合なしでは48.8%です。主な割合は次のとおりです(カッコ内は前年)。

  • 定昇制度あり:84.2%(81.2%)
  • 定昇を行った・行う:81.2%(76.8%)
  • ベアを行った・行う(定昇制度がある企業のうち):57.9%(57.8%)
  • ベアを行った・行う(定昇制度がある企業のうち・労働組合あり):83.9%(82.1%)
  • ベアを行った・行う(定昇制度がある企業のうち・労働組合なし):48.8%(49.4%)

定期昇給とベースアップの実施状況(2026年・カッコ内は前年)2/2

定期昇給とベースアップの実施状況(2026年・カッコ内は前年)

出所:厚生労働省「令和8(2026)年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」をもとにLIMO編集部作成

定期昇給は年齢や勤続年数、評価に応じて上がる仕組みで、ベースアップは給与の水準そのものを引き上げるものです。同じ「賃上げ」でも、どちらによるものかで、これからの給与の伸び方の見通しは変わってくると考えられます。

ベアがあった年は、昇給に加えて給与の土台そのものが上がるため、来年以降の給与にも影響が続くと考えられます。賃上げの中身を知っておくと、将来の収入の見通しも立てやすくなるでしょう。

自分の勤め先にどのような昇給の仕組みがあるかは、就業規則や賃金規程、人事の担当部署で確かめられます。昇給の時期と仕組みを知っておくと、来年以降の家計の見通しも立てやすくなるでしょう。

転職を考えるときも、月給の金額だけでなく、定期昇給やベースアップの仕組みがあるかをあわせて確かめておくと、入社したあとの給与の伸び方をイメージしやすくなるでしょう。

4. 【夏の賞与】支給した又は支給する(金額も決まっている)企業は88.5%、冬のボーナスに向けて

同調査では、2026年の夏の賞与の支給状況もまとめています。夏の賞与を支給した又は支給する企業(金額も決まっている企業)の割合は88.5%(前年88.4%)でした。支給はするが金額が決まっていない企業は5.3%、支給しない企業は5.3%です。

支給の有無だけでなく、金額の決まり方も会社ごとに違うと考えられます。

4.1 企業規模別では5,000人以上が97.7%、100〜299人が87.6%

企業規模別に、支給した又は支給する(金額も決まっている)企業の割合を見ると、5,000人以上が97.7%、1,000〜4,999人が94.2%、300〜999人が89.5%、100〜299人が87.6%でした。

夏の賞与の支給状況は、冬のボーナスを考えるうえでの目安の一つになりそうです。ただ、冬の支給の有無や金額は勤め先によって違うため、自分の会社の支給の時期や決まり方を確かめておきたいところです。

4.2 冬のボーナスは、使い道を先に決めておく

冬のボーナスの金額は、会社の業績や一人ひとりの評価によって変わります。支給される前に、貯蓄に回す分、年末年始の出費に使う分、来年の大きな支出に備える分と、使い道の目安を決めておくと、使いすぎを防ぎやすくなるでしょう。

ボーナスは、毎月の給与と違って、金額が年によって変わりやすいものです。毎月の生活費をボーナスに頼らない形にしておくと、支給額が変わったときにも家計を保ちやすくなるでしょう。

賃上げで月給が増えた分も、気づかないうちに日々の支出に回ってしまうことがあります。増えた分の一部を、給与が振り込まれたらすぐに貯蓄に移す形にしておくのも一つの方法です。

5. 【年末に向けて】給与明細で賃上げ分を確かめ、家計の配分を見直す

調査の数字は企業の平均です。自分の給与がどのくらい上がったのかは、手元の給与明細で確かめるのがいちばん確かな方法でしょう。

5.1 給与明細で、基本給と手当の変化を見る

今年の昇給前と昇給後の給与明細を並べて、基本給、各手当、社会保険料、差し引きの手取りがそれぞれどう変わったかを書き出してみると、賃上げが家計にどのくらい届いているかが見えてくるはずです。

月給が上がると、天引きされる金額も変わることがあります。額面の上がり方と手取りの上がり方を分けて見ておくと、家計の見通しを立てやすくなるでしょう。

給与明細は、紙でも電子でも、少なくとも1年分は残しておきたいところです。年末に見比べると、昇給や手当の変化がひと目で分かるでしょう。来年の昇給の時期にも、もう一度見比べてみたいところです。

5.2 上がった分の行き先を、年末の家計の見直しで決める

年末は、1年の家計を振り返るよい機会です。賃上げで増えた分を、生活費、貯蓄、将来への備えにどう振り分けるかを家族で話しておくと、来年の家計の計画も立てやすくなるでしょう。

物価の動きによっては、給与が上がっても暮らしのゆとりがそれほど増えないこともあります。上がった金額だけに目を向けず、支出の中身もあわせて見直していきたいところです。

共働きの家庭では、2人分の賃上げをあわせて考えると、家計全体の変化がつかみやすくなります。どちらの給与がどれだけ上がったかを共有しておくと、来年の家計の分担も話し合いやすくなるでしょう。

6. まとめにかえて

今年も多くの企業で賃上げが行われました。ただ、上がり方は会社の規模や仕組みによってさまざまで、一人ひとりの給与明細の数字も同じではありません。

調査の平均は、自分の給与の動きを考えるための材料です。自分の昇給の仕組みと家計の配分を確かめておくことが、これからの安心につながるのではないでしょうか。

冬のボーナスの時期を前に、今年の給与の変化と来年の家計の配分を、家族で一度話し合ってみてはいかがでしょうか。

参考資料

宮野 茉莉子