親の介護サービスが始まると、「うちの親は2割負担になるのだろうか」と気になる方もいるでしょう。
厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会では、単身世帯の2割負担ラインを現行の年金収入等280万円から260万〜230万円へ引き下げる4案が示されています。結論は、2027年度からの第10期介護保険事業計画が始まる前までに出す方針です。
本記事では、現行の判定基準と見直し4案の月額の目安に加え、預貯金が少ない場合に1割へ戻す案と、負担増を月7000円までに抑える案を、厚生労働省の資料をもとに整理します。
1. そもそも介護保険の自己負担割合はどう決まる?現在の2割・3割の基準
介護保険サービスを利用したときの自己負担は、所得に応じて1割・2割・3割に分かれます。
厚生労働省が令和7年12月15日の介護保険部会に示した「論点ごとの議論の状況(持続可能性の確保)」によると、現行の2割負担(一定以上所得)の基準は、単身世帯で年金収入+その他の合計所得金額が280万円以上、夫婦世帯で346万円以上です。
- 2割負担:単身は年金収入等280万円以上(本人の合計所得金額160万円以上)、夫婦世帯は346万円以上
- 3割負担:単身は年金収入等340万円以上(本人の合計所得金額220万円以上)
- 利用者の分布:令和7年3月現在、利用者540万6760人のうち2割負担は23万4062人(約4.3%)、3割負担は20万6341人(約3.9%)
2. 年金収入等230万〜260万円に引き下げ?見直し4案は月いくらの目安か
厚生労働省が部会に示したのは、単身世帯の基準を現行の280万円から260万円・250万円・240万円・230万円のいずれかへ引き下げる案です。夫婦世帯は326万円から296万円までの範囲で、対象は被保険者の上位約25%から約30%に相当するとされています。
年額を12で割った月額の目安は次のとおりです。
- 単身世帯:260万円(月約21.7万円)/250万円(月約20.8万円)/240万円(月20.0万円)/230万円(月約19.2万円)
- 夫婦世帯:326万円(月約27.2万円)/316万円(月約26.3万円)/306万円(月約25.5万円)/296万円(月約24.7万円)
もっとも対象が広い230万円の案では、年金収入等が月約19.2万円以上の単身世帯が2割負担の対象に入ります。
2.1 新たに2割負担になると、毎月いくら増える?
負担増は利用するサービスの額によって変わります。たとえば要介護2の人が支給限度額(月1万9705単位)いっぱいまで使い、1単位10円の地域で計算すると、1割負担は月1万9705円、2割負担は月3万9410円で、差額は月1万9705円です。
ただし、政府の検討案には、新たに2割負担となる人の負担増を当分の間、1割負担の場合と比べて月7000円までに抑える配慮措置が含まれています。この例では月2万6705円(1万9705円+7000円)となる計算です。
3. 年金が基準を超えたら必ず2割?預貯金で「1割に戻す」案とは
部会資料では、所得が新たな基準を超えても、預貯金等が一定額以下であれば申請により1割負担に戻す配慮措置が示されています。預貯金の基準は次の3パターンで議論されています。
- 単身700万円以下/夫婦1700万円以下
- 単身500万円以下/夫婦1500万円以下
- 単身300万円以下/夫婦1300万円以下
もう一つの配慮措置が、負担増の上限です。新たに2割負担となる人の負担増は最大の場合で月2万2200円となりますが、その約3分の1にあたる月7000円までに当分の間抑える案が示されています。
いずれも決定事項ではなく、第10期介護保険事業計画(2027年度〜)の開始前までに結論を得る検討段階の案です。
単身世帯の2割負担ラインは、現行の年金収入等280万円から260万〜230万円へ引き下げる4案が示されており、結論は第10期介護保険事業計画の開始前までに得る方針です。
年金収入等が新たな基準を超えても、預貯金が一定額以下なら申請で1割に戻す案や、負担増を月7000円までに抑える案もあわせて検討されています。
ただし、実際に2割になるかどうかの判定や配慮措置の使い方には、見落としやすい点がいくつかあります。