5. 純貯蓄1000万円は上位何%?30代は約16%、40代は約23%、50代は約37%で、貯蓄1000万円より上の位置になる
純貯蓄の世帯分布を使うと、負債を差し引いたあとの位置も分かります。純貯蓄が1000万円以上の世帯の割合を、貯蓄1000万円以上の割合と並べると、次のとおりです。
- 【30代】貯蓄1000万円以上は約36%、純貯蓄1000万円以上は約16%
- 【40代】貯蓄1000万円以上は約45%、純貯蓄1000万円以上は約23%
- 【50代】貯蓄1000万円以上は約49%、純貯蓄1000万円以上は約37%
同じ1000万円でも、負債を差し引いた純貯蓄で見ると、30代では上位約16%にあたります。貯蓄で見た上位約36%と比べると、20ポイントほど上の位置です。純貯蓄が2000万円以上の世帯は、30代で約6%、40代で約13%、50代で約24%でした。
※試算の前提:純貯蓄1000万円以上・2000万円以上の割合は、詳細結果表8-30の「(貯蓄現在高)-(負債現在高)」の階級(1000〜1500万円、1500〜2000万円、2000万円以上)の世帯数を合計し、全世帯数で割ったものです。
6. 【元FP会社職員の視点】検証:貯蓄の「上位何%」は、負債と並べると見え方が変わる
試算から見えることの1つ目は、同じ貯蓄額でも、年代によって位置が大きく変わることです。貯蓄1000万円は30代では上位約36%ですが、50代では上位約49%と、ほぼ真ん中の額になります。比べる相手を同じ年代にそろえるだけで、数字の受け止め方は変わります。
2つ目は、30代・40代では、貯蓄の額だけでは家計の全体が見えにくいことです。30代の約56%、40代の約50%の世帯は、負債が貯蓄を上回っていました。持家率は30代で67.9%、40代で78.9%で、負債の9割以上は住宅・土地のための負債です。
FP会社でマネーセミナーの運営を補助していた頃も、貯蓄の話題では平均の数字が先に出ることが多く、負債と並べて見る機会は少ないと感じていました。数字の読み方としては、「貯蓄がいくらあるか」に加えて「負債を差し引くといくら残るか」を、同じ年代の分布と並べておくと、家計の位置を落ち着いて見られます。
もう1つ、中央値は貯蓄が0の世帯を除いた値で、上位何%の割合は貯蓄が0の世帯を含む全世帯で出しています。どちらも二人以上の世帯の統計なので、目安として幅を持って見ておくと使いやすいように思います。
私自身もNISAを旧制度から7年以上続けていますが、残高を見るときは、ほかの家庭と比べるより、前の年の自分の家計と比べる方が続けやすいと感じています。年に一度、貯蓄と住宅ローンの残高を書き出して純貯蓄を出してみると、ご家庭の変化が分かりやすくなるかもしれませんね。
7. まとめ
二人以上の世帯の貯蓄は、平均が30代1073万円・40代1381万円・50代1756万円、中央値が652万円・886万円・1037万円で、中央値はどの年代も平均の約6割です。貯蓄1000万円は、30代なら上位約36%、50代ではほぼ真ん中の上位約49%にあたります。
負債を差し引いた純貯蓄で見ると、30代は平均で約867万円の負債超過で、約56%の世帯で負債が貯蓄を上回っていました。貯蓄の位置を確かめるときは、同じ年代の中央値や分布とあわせて、負債を差し引いた額も並べてみると、家計の全体がつかみやすくなります。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。割合は二人以上の世帯の統計から出した目安で、単身世帯や個々の家計の状況とは異なります。統計の数値は、総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)」でご確認ください。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2025年(令和7年)平均結果-(二人以上の世帯)」
- 総務省統計局「家計調査 貯蓄・負債編 二人以上の世帯 詳細結果表 8-5 貯蓄及び負債の1世帯当たり現在高 世帯主の年齢階級別」
- 総務省統計局「家計調査 貯蓄・負債編 二人以上の世帯 詳細結果表 8-30 貯蓄現在高,貯蓄・負債現在高の差額階級別世帯分布」
下村 美乃莉