NISAで積立を続けているうちに、「オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))を買いたいのに、今の金融機関では取り扱っていない」「S&P500に連動する投資信託に切り替えたいけれど、選べる商品がない」と感じる方もいるかもしれません。
NISA口座は、一人1つの金融機関でしか開設できませんが、年単位で別の金融機関に変更することができます。ただし、届出の期限や「その年にすでに買っていると変更できない」というルールがあり、変更前の口座で買った商品の扱いにも注意が必要です。
この記事では、投資したいファンドが今の金融機関にない場合を例に、NISAの金融機関を変更する手続きの流れ、何年分から変更できるのかの考え方、変更前の口座に残る投資信託の扱いを整理します。
1. 投資したいファンドがない…NISAの金融機関は年単位で変更できる
NISAで買える商品は、口座を開いた金融機関が取り扱っているものに限られます。そもそも、金融機関の種類によっても投資できる商品は異なります。
1.1 証券会社と銀行・郵便局では、投資できる商品が違う
証券会社では、上場株式やETF・上場REIT、公募株式投資信託などに投資できます。一方、銀行・郵便局などで投資できるのは公募株式投資信託です。
さらに、同じ公募株式投資信託でも、どのファンドを取り扱うかは金融機関ごとに異なります。オルカンやS&P500に連動する投資信託のように、よく名前を聞くファンドであっても、今の金融機関で買えるとは限りません。
1.2 つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関で使うことはできない
「つみたて投資枠は今の銀行、成長投資枠は別の証券会社で」という使い分けはできません。つみたて投資枠と成長投資枠は、一つの金融機関で利用することになっています。
そのため、投資したいファンドが今の金融機関にない場合の選択肢の一つが、NISA口座を開設する金融機関そのものを変更することです。金融機関の変更は、年単位で行うことができます。
変更先を選ぶ前に、投資したいファンドをその金融機関が取り扱っているかを確認しておきましょう。つみたて投資枠で買えるかどうかは、金融庁が公表している「つみたて投資枠対象商品届出一覧」でも確認できます。
2. NISAの金融機関を変更する手続きは3ステップ
金融機関の変更は、今の金融機関での手続きと、変更後の金融機関での手続きの2段階で進めます。
2.1 ステップ1:今の金融機関に「金融商品取引業者等変更届出書」を出す
まず、今NISA口座を開設している金融機関に「金融商品取引業者等変更届出書」を提出します。
今の金融機関は、税務署へ変更に必要な事項を提供します。この手続きは金融機関によって異なりますが、おおむね1週間程度かかる見込みです。
2.2 ステップ2:「勘定廃止通知書」を受け取る
手続きが済むと、今の金融機関から「勘定廃止通知書」が交付されます。電磁的方法で記載事項を受け取る場合もあり、交付や提供の方法は金融機関によって異なります。
2.3 ステップ3:変更したい金融機関に書類を提出する
変更したい金融機関に、「勘定廃止通知書」と「非課税口座開設届出書」を提出します。
変更後の金融機関では、NISA口座が二重に開設されないよう税務署を通じて確認が行われます。金融機関によっては、この確認が得られるまでNISA口座での取引が制限される場合があるため、口座が使えるようになるまでの日数は、変更先の金融機関に確認しておくと安心です。
3. 何年分から変更できる?届出の期限と「その年に買っていると変更できない」ルール
金融機関の変更で特に注意したいのが、届出の時期と、その年の買付けの有無です。
3.1 届出は「変更したい年分の前年10月1日から9月30日まで」
「金融商品取引業者等変更届出書」は、変更後の金融機関でNISA口座を設けようとする年分の前年10月1日から、その年の9月30日までの間に提出する必要があります。
たとえば2027年分から変更したい場合は、2026年10月1日から2027年9月30日までが提出期間です。2026年10月に入った今の時期は、すでに2027年分の手続きができる期間に入っています。
3.2 その年分のNISA口座ですでに買付けをしていると、その年分は変更できない
届出書を出す日以前に、変更前の金融機関の非課税口座で、その年分のつみたて投資枠または成長投資枠に上場株式等の受入れをしているときは、その年分について金融機関の変更はできません。
つまり、2026年にすでに今の金融機関のNISA口座で投資信託を買っている場合、2026年分の変更はできず、変更できるのは2027年分からです。
いつ届け出れば、何年分から金融機関を変えられる?2/3
出所:国税庁「NISA口座の新規開設又は変更に関する手続等について」、日本証券業協会「2024年以降のNISAに関するQ&A」をもとにLIMO編集部作成
2026年にすでに買付けをしている人が2026年10月から12月の間に届け出れば、2027年分から変更できます。2027年に入ってから届け出る場合も、その時点で2027年分の買付けがなければ、9月30日までの届出で2027年分から変更できます。
注意したいのは、今の金融機関で毎月の積立設定を続けたまま年を越すケースです。2027年1月に今のNISA口座で積立の買付けが行われた後に届け出ると、2027年分は変更できず、変更できるのは2028年分からになります。
来年から新しい金融機関でオルカンやS&P500に連動する投資信託を積み立てたい場合は、年内に変更の届出を済ませておくとスムーズです。