その投稿に対して子育てしながら働くキャリア女性が、「子どもが初めて立ったところも見れなかったし、子どもが病気でも病児保育に預けて仕事をしてキャリアを守っている。それは仕方がないのでは」という趣旨の内容の投稿を返し、ちょっとした論争になっていました。

このやりとりを見て、どちらを選んでもキャリアを積むことに罪悪感や後悔の感情を持たざるを得ないのだと感じ、悲しくなりました。キャリアを中断した人は、なぜあの時無理をしてでも続けなかったのかと思うことがあるでしょうし、キャリアを続けた人は、キャリアを守れても子どもの成長を近くで見届けてあげられなかったと後悔するかもしれません。

筆者は子どものそばにいるためにキャリアを諦めたので、働きたくてそのために努力しているのに報われることが難しい今の社会に残念な気持ちになります。

筆者の場合、会社としては育休や時短勤務に理解がありましたが、月末月初の残業が多い部署にいて、子どもがいる唯一の先輩社員は義両親と同居していたこともあり、時短といっても忙しい時期は22時まで残業していました。子どもがいてもしっかり自分の仕事をこなしている先輩がいる以上、自分の仕事を周りに押しつけて負担を増やしてはいけないのではないかと不安な気持ちが育休中に膨らみ、「周りに迷惑をかけたくない」と辞めることにしたのです。

もちろん、一度正社員を辞めてしまうとキャリアを取り戻すことが難しいのは頭ではわかっていました。それでもその時は「できることなら子供と過ごしたいし、夫には頼れないので、無理をするくらいなら仕事を辞めよう」と思ったので、自業自得といわれても仕方がないのかもしれません。

しかし、夫が転勤になった、妊娠中の体調が悪かった、保活に失敗したなど、自分の意に反して辞めなければいけない人もいます。それなのに働こうと思っても自分の思うように働けないというのは女性にとって非常に厳しい社会であると感じてしまいます。たった数年休むことがそんなに悪いことなのでしょうか。

子育て女性が働きやすく、評価もされる社会に

子育て中の女性でも働きやすくなれば、世帯年収を押し上げることができ、その分家計に余裕が生まれるだけではなく、消費も増えて経済も活性化されるのではないかと思います。

また、本当は子供をたくさん産みたいのに将来のお金のことが心配で子供を産めないと感じている人もいるので、子育てしながら働くのがもっと簡単になれば出生率を押し上げることになるかもしれません。このように女性が活躍することによるメリットは大きいのです。

最近ではリモートワークが当たり前のベンチャー企業なども出てきましたが、昔ながらの企業のほとんどは、いまだに出社して働くことが前提で、子育てしながら働くことが難しい環境にあります。

雇用する方も子供の体調などで何回も休まれてはたまらないので、なるべく採用を避けたい気持ちは理解できます。しかし、子育てを経験することで得られるスキルもあります。

たとえば、限られた時間にいくつものことをこなすマルチタスク能力や、誰とでも話せるコミュニケーション能力が高まるなど、ビジネスにとってもプラスの能力を身につけることができる人も多いと思います。また、若手社員の精神的なフォローなども適任かもしれません。

キャリア女性が十分な育休を取り、子どもと過ごす時間を確保し、一度仕事を辞めた女性も採用されやすくなるなど、子育てを経験した女性が評価されて、もっと活躍しやすくなる社会になることを切に望みます。

勝目 麻希