親が特別養護老人ホームに入ることになり、施設が別の県にあるため住民票を移す。そんなとき、後期高齢者医療制度の被保険者はどこになるのか、気になる人もいるでしょう。

東京都後期高齢者医療広域連合は、病院への入院や特別養護老人ホームなどへの入居のために東京都外へ転出したときは、住所地特例制度に該当し、引き続き東京都後期高齢者医療広域連合の被保険者になると案内しています。

本記事では、後期高齢者医療制度の住所地特例について、対象になる施設、届出の窓口、注意したい点を整理します。

1. そもそも後期高齢者医療制度は、どこが運営している?

後期高齢者医療制度は、都道府県ごとに設けられた後期高齢者医療広域連合が運営しています。保険料の納付や各種の届出は、住んでいる市区町村の窓口で行います。

被保険者は、住所のある都道府県の広域連合に加入するのが基本です。そのため、他の都道府県へ住所を移すと、転入先の広域連合の被保険者になるのが原則です。

2. 施設や病院に入るために他県へ住所を移しても、前の広域連合の被保険者のまま

後期高齢者医療の住所地特例のしくみ1/3

後期高齢者医療の住所地特例のしくみ

出所:東京都後期高齢者医療広域連合「対象者」、愛知県後期高齢者医療広域連合「被保険者」をもとにLIMO編集部作成

原則には例外があります。住所地特例は、高齢者の医療の確保に関する法律に基づく、広域連合に共通の仕組みです。本記事では、東京都・愛知県・千葉県の広域連合の案内を例に説明します。手続きの窓口や届出の名称などは、広域連合や自治体によって異なる場合があります。

愛知県後期高齢者医療広域連合の案内では、福祉施設への入所や長期入院などで、他の都道府県の施設や病院に住所を移した場合は、引き続き前の住所地の広域連合の被保険者になるとしています。これが住所地特例です。

東京都後期高齢者医療広域連合は、施設などが多くある都道府県の広域連合に給付費が集中して、財政運営に影響が出るのを防ぐための制度だと説明しています。千葉県後期高齢者医療広域連合の案内でも、入院先や入所先の都道府県の被保険者にはなれないとしています。

施設や病院が県外にあっても、被保険者としての資格は前の住所地の広域連合のまま続きます。

2.1 住所地特例の対象になる施設は?

住所地特例の対象になる病院・施設の区分2/3

住所地特例の対象になる病院・施設の区分

出所:東京都後期高齢者医療広域連合「対象者」をもとにLIMO編集部作成

東京都後期高齢者医療広域連合の案内では、住所地特例の対象は次の5つの区分です。

  • 病院または診療所
  • 障害者支援施設
  • 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園が設置する施設
  • 養護老人ホーム、特別養護老人ホーム
  • 有料老人ホーム、介護保険施設等

対象施設は、高齢者の医療の確保に関する法律に規定された施設です。千葉県後期高齢者医療広域連合の案内でも、東京都とほぼ同じ区分が示されていて、有料老人ホームなどの特定施設については、地域密着型特定施設を除くとしています。

江戸川区の案内では、入所先が住所地特例の対象施設かどうかは、施設がある自治体に確認が必要としています。

3. 住所地特例の届出は、どこで行う?

届出先は、広域連合ではなく市区町村の後期高齢者医療の担当窓口です。東京都後期高齢者医療広域連合の案内では、東京都外の施設へ転出するときは、転出元の窓口で住所地特例の適用に関する届出が必要です。千葉県後期高齢者医療広域連合の案内でも、入院や入所のときは、住んでいる市区町村の後期高齢者医療担当課の窓口で届出をするとしています。

施設や病院から出るときも届出が必要です。千葉県の案内では、退院や退所のときは、千葉県にお住まいだったときの市区町村の窓口で届出をします。

東京都の案内でも、住所地特例の対象施設に入所している人が転居する場合は、同じように手続きが必要です。窓口は、施設がある市区町村ではなく、施設に入る前に住んでいた東京都内の市区町村です。

後期高齢者医療制度では、施設や病院に入るために他の都道府県へ住所を移しても、前の住所地の広域連合の被保険者のまま、資格が続きます。対象は病院や特別養護老人ホーム、有料老人ホームなどで、入所や退所のときは届出が必要です。

届出の名称や期限は広域連合によって案内が異なるため、窓口で確認しておきましょう。

次のページでは、住所地特例の人が気をつけたい住民税の申告や、入所先を確認するときのポイント、健康診査の助成について解説します。