4. 車両保険を使うかの目安は?受け取る保険金が上乗せされる保険料を超えるか
車両保険を使うかどうかは、受け取れる保険金と、上乗せされる保険料の合計を比べると判断しやすくなります。受け取れる保険金は、修理代から免責金額(自己負担額)を差し引いた額です。
今の年間保険料1万円あたりの上乗せ額を、等級別にまとめると次のとおりです。
- 【20等級】約1万3200円(3年間)
- 【15等級】約2万7200円(8年間)
- 【10等級】約2万9400円(13年間)
※試算の前提:上の試算と同じ。今の年間保険料が2万円なら2倍、3万円なら3倍として読む。
修理代から免責金額を引いた額が、今の年間保険料にあわせて読み替えた上乗せ額を下回るなら、保険を使わずに修理代を払うほうが、支払いの合計は少なくなります。反対に上回るなら、保険を使うほうが支払いを抑えられます。
5. 1等級ダウンの事故で車両保険を使うと?20等級なら上乗せは今の保険料の約0.35年分
盗難や台風、洪水などで車両保険を使った場合は、等級の下がり方が1つで、事故有の割引率も1年間です。同じ前提で試算すると、上乗せは小さくなります。
- 【20等級】約3500円(今の年間保険料の約0.35年分)
- 【15等級】約1万200円(今の年間保険料の約1年分)
- 【10等級】約1万1500円(今の年間保険料の約1.1年分)
※試算の前提:今の年間保険料1万円あたり。1等級ダウン、事故有の割引率の適用は1年間。そのほかは上の試算と同じ。
また、損害保険料率算出機構は2026年6月、自動車保険の参考純率を平均14.4%引き上げる届出を行い、金融庁から適合性審査結果の通知を受けました。2027年1月以降に始まる契約を想定した見直しです。参考純率は各社がそのまま使う義務のない参考値ですが、保険料そのものが上がれば、等級ダウンで上乗せされる金額も大きくなります。
6. 【検証結果から】数字で比べたうえで、自分の家計に合う選び方を
車両保険を使うと等級が3つ下がり、3年間は割引率が低くなる。この説明はよく知られていますが、試算すると、上乗せの大きさは今の等級によって変わることが分かります。
20等級の人は、保険を使わなくても等級がそれ以上は上がらないため、差は3年間で収まります。一方、15等級や10等級の人は、使わなければ毎年等級が上がっていく途中にいます。その上がり幅を失うため、事故有の期間が終わったあとも差が残り続けます。
「3年たてば元に戻る」と受け止めている方もいるかもしれませんが実際には、元に戻るのは事故有の割引率であって、等級そのものは下がったところから1つずつ上がり直すことになります。
保険会社や代理店に相談するときは、「使った場合と使わなかった場合の、この先数年分の保険料」を出してもらうと比べやすくなります。免責金額の設定や、修理代の見積もりとあわせて確かめておきたいところです。
保険は、大きな出費に備えるためのものです。修理代が上乗せ額を大きく上回るなら、ためらわずに使うという考え方もあります。数字で比べたうえで、自分の家計に合う選び方をしていただければと思います。
7. まとめ
車両保険を使うと、1事故につき3等級下がり、3年間は事故有の低い割引率が適用されます。試算では、20等級の人の上乗せは今の年間保険料の約1.3年分で3年間に収まり、15等級の人は8年間で約2.7年分になりました。
車両保険を使うか迷ったときは、修理代から免責金額を引いた保険金と、上乗せされる保険料の合計を比べてみると判断しやすくなります。実際の保険料は契約内容や保険会社によって異なるため、加入先に確認しておくと安心です。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。等級別の割増引率や事故の扱い、保険料は、保険会社や契約内容、保険料率の改定によって異なる場合があります。実際の保険料は、加入している保険会社や代理店でご確認ください。
参考資料
- 日本損害保険協会「損害保険Q&A 問23 自動車保険の「等級」について教えてください。」
- 日本損害保険協会「損害保険Q&A 問15 車両保険は、どのような保険ですか。」
- 損害保険料率算出機構「自動車保険参考純率」
- 損害保険料率算出機構「自動車保険参考純率 届出のご案内」
- 損害保険料率算出機構「自動車保険参考純率 改定(適合性審査結果通知受領)のご案内」
下村 美乃莉