10月も最終週に入り、朝晩の冷え込みとともに、年末に向けた支払いの予定が気になる時期になりました。年金で暮らしている人のなかには、10月15日に振り込まれた年金の額を通帳で確かめた人もいるでしょう。

次に年金が振り込まれるのは、2026年12月15日(火)です。ただ、12月の振込額は、10月と同じになるとは限りません。

年金からは、所得税・住民税・介護保険料・後期高齢者医療の保険料などが天引きされていて、それぞれ天引きの時期と計算のしかたが違います。とくに今年は、令和8年度税制改正で所得税の計算が見直され、12月の年金で1年分を精算することになっています。

例えば、日本年金機構が示している例では、2月から10月までの5回で取りすぎていた所得税7000円と、12月に源泉徴収する4600円を差し引きし、2400円が還付されます。

この記事では、年金から天引きされる4種類のお金と、10月と12月で振込額が変わる理由を、一つひとつ整理していきます。

1. 12月15日の年金で何が変わるのか【所得税の1年分の精算】

まずは、12月15日に振り込まれる年金で、所得税がどのように計算し直されるのかを見ていきましょう。

1.1 10月の支払いまでは改正前、12月の支払いで1年分を精算

日本年金機構によると、令和8年度税制改正で、年金から源泉徴収する所得税の計算に使う基礎的控除額が引き上げられました。同機構は「2026年11月の年金支払いまで」は改正前の額で計算するとしており、偶数月に支払われる老齢年金では10月の支払いまでがこれに当たります。12月の支払いで、改正後の額を使って1年分を計算し直します。

2026年の年金は偶数月に支払われるので、2月・4月・6月・8月・10月の5回が改正前の計算です。12月に、この5回で引いた所得税との差を精算し、取りすぎていた分があれば原則として還付されます。

1.2 日本年金機構の例では、12月に2400円が戻る

例)12月の年金で所得税を精算する場合 日本年金機構が示している例1/2

日本年金機構が示している例では、改正前の1回あたりの源泉徴収額は6000円、改正後は4600円。2月から10月の5回で取りすぎていた額は1400円×5回で7000円、12月に源泉徴収する額4600円と差し引きして2400円が還付される

出所:日本年金機構「令和8年度税制改正による公的年金等に係る主な改正事項」をもとにLIMO編集部作成

  • 改正前の1回あたりの源泉徴収額:6000円
  • 改正後の1回あたりの源泉徴収額:4600円
  • 2月から10月の5回で取りすぎていた額:1400円×5回=7000円
  • 12月に還付される額:7000円−4600円=2400円

この例では、10月の支払いで6000円引かれていた所得税が、12月は引かれずに2400円戻ります。そのぶん、12月15日の振込額は10月より多くなる計算です。

あわせて、所得税が源泉徴収されない年金額も、65歳以上は「年205万円未満」から「年214万円未満」に上がりました。年金額がこの間にある人は、12月の精算で今年引かれた所得税が戻る場合があります。

2. 年金から天引きされる4種類【いつ、何が引かれるのか】

年金から天引きされるお金は、主に4種類です。天引きの時期と主な条件をまとめました。

年金から天引きされる4種類と、天引きの時期(偶数月の年金支払い)2/2

年金から天引きされる4種類は、所得税が毎回の支払いで源泉徴収され12月に1年分を精算、住民税・介護保険料・後期高齢者医療の保険料は4・6・8月が仮徴収で10・12・2月が本徴収。天引きの主な条件は、所得税が65歳以上で年金が年214万円以上など、住民税と介護保険料が65歳以上で年金が年18万円以上、後期高齢者医療の保険料が年金が年18万円以上で介護保険料との合計が年金額の2分の1以下

出所:日本年金機構「令和8年度税制改正による公的年金等に係る主な改正事項」、千葉市・大田区・中央区の案内をもとにLIMO編集部作成

2.1 所得税は毎回の支払いで源泉徴収し、12月に精算

所得税は、年金の支払いのたびに源泉徴収されます。65歳以上で年金が年214万円未満の人は、源泉徴収されません。

2.2 住民税・介護保険料・後期高齢者医療の保険料は年金が年18万円以上の人

住民税と介護保険料は、65歳以上で年金が年18万円以上の人などが年金から天引きされます。後期高齢者医療の保険料は、年金が年18万円以上で、介護保険料との合計が年金額の2分の1を超えない人が対象です。

  • 住民税:4月1日時点で65歳以上、前年の年金所得に住民税がかかる人(年金が年18万円未満の人などを除く)
  • 介護保険料:65歳以上で、年金が年18万円(月1万5000円)以上の人
  • 後期高齢者医療の保険料:年金が年18万円以上で、介護保険料との合計が年金額の2分の1以下の人

年金が年18万円未満の人や条件に当たらない人は、納付書や口座振替で納めます。後期高齢者医療の保険料は、年金からの天引きの人も、申し出れば口座振替を選べる市区町村があります。

3. 仮徴収と本徴収【10月と12月の天引き額はどう決まるのか】

住民税・介護保険料・後期高齢者医療の保険料は、1年を前半と後半に分けて天引きされます。前半と後半で、金額の決まり方が違います。

3.1 4月・6月・8月は仮徴収、10月・12月・2月は本徴収

4月・6月・8月は、前年の所得をもとにした今年度の額がまだ確定していないため、仮の額で天引きされます。これを仮徴収といいます。

10月・12月・2月は、確定した年額から4月・6月・8月に引いた分を差し引いた残りを、3回に分けて天引きします。これが本徴収です。

3.2 仮徴収の計算や端数の調整は、税・保険料と市区町村で違う

仮徴収の計算のしかたは、税・保険料や市区町村によって違います。例えば次のような違いがあります。

  • 住民税(大田区の例):4月・6月・8月は前年度の年税額の6分の1ずつ、10月・12月・2月は残りの3分の1ずつ
  • 介護保険料(千葉市の例):4月・6月は前年度2月分と同額、8月は年額から4月・6月分を引いた額の4分の1、10月・12月・2月は残りを3等分して100円未満の端数は10月で調整

本徴収の10月・12月・2月は原則として同じ考え方で決まるため、住民税や保険料は12月に大きく変わることはあまりありません。ただし、千葉市の介護保険料のように端数を10月で調整する場合は、10月と12月で100円未満の差が出ることがあります。

次のページでは、65歳になった人や引っ越した人の天引きの始まり方と、振込額の確かめ方を確認します。