物価が上がり続けるなか、小学生・中学生・高校生の子どものお小遣いを今の額のままにしてよいか、迷うご家庭もあるのではないでしょうか。お小遣いの額は、物価の上がり方と、何をお小遣いでまかなうかの2つに分けて考えると決めやすくなります。
独立系FP会社で保険の手続きやマネーセミナーの運営補助に携わっていた経験からお伝えすると、家計の見直しは、まず支出を「だれが払うか」で分けるところから始まります。ここでは、公的な調査の数字を手がかりに、お小遣いを整理します。
具体的には、学年別のお小遣いの額(中央値と平均)に、2015年から2026年9月までの物価の上がり方を当てはめた見直しの目安を試算します。あわせて、調査の使い道の項目から、親が払うものとお小遣いでまかなうものの線引きも見ていきます。
※お小遣いの額と使い道は、金融広報中央委員会「子どものくらしとお金に関する調査(第3回)2015年度」の結果です。物価の上がり方は、総務省「消費者物価指数」の全国・総合指数をもとにしています。
1. お小遣いの額は小学生・中学生・高校生でいくら?調査の中央値は小学生が月500円〜1000円、中学生が月2000円、高校生が月5000円
金融広報中央委員会「子どものくらしとお金に関する調査(第3回)2015年度」によると、1か月のお小遣いの額は次のとおりです。小学生は、お小遣いを「月に1回」もらう子どもの値です。
- 【小学1・2年生(低学年)】中央値500円、平均1004円
- 【小学3・4年生(中学年)】中央値500円、平均864円
- 【小学5・6年生(高学年)】中央値1000円、平均1085円
- 【中学生】中央値2000円、平均2536円
- 【高校生】中央値5000円、平均5114円
平均は、一部の高い額に引っぱられやすい数字です。回答を額の順に並べたときに真ん中にくる中央値のほうが、多くの家庭の額に近いと考えられます。中学生では、最も多かった回答(最頻値)は1000円で、中央値の2000円より低くなっています。
お小遣いをもらっている割合は、小学生で7割強、中学生で8割強、高校生で約8割です。小学生の低学年・中学年では「ときどき」もらう形が最も多く、高学年になると「月に1回」が最も多くなります。
この調査は、全国の小学校・中学校・高校など290校の5万149人が答えたもので、2015年12月〜2016年3月に行われました。その後の物価の動きは、この額には入っていません。
2. お小遣いに物価の上がり分を当てはめると?2015年から約16.5%上がり、中学生は月約2330円、高校生は月約5820円
総務省「消費者物価指数」によると、全国の総合指数は2015年平均の98.2から2025年平均の111.9へ、約14.0%上がりました(2020年=100)。2026年9月の総合指数は102.2(2025年=100)で、2025年平均より2.2%高く、前年同月比では2.1%の上昇です。
2つをつなぐと、2015年平均から2026年9月までの物価の上がり方は約16.5%です。この上がり方を、調査の中央値にそのまま当てはめた試算は次のとおりです。
- 【小学1〜4年生(低学年・中学年)】月500円→月約580円(月約80円増)
- 【小学5・6年生(高学年)】月1000円→月約1170円(月約170円増)
- 【中学生】月2000円→月約2330円(月約330円増、年約3950円増)
- 【高校生】月5000円→月約5820円(月約820円増、年約9880円増)
※試算の前提:お小遣いの額は2015年度調査の中央値(小学生は「月に1回」もらう子ども)。物価の上がり方は、2020年基準の総合指数(2015年平均98.2、2025年平均111.9)と、2025年基準の2026年9月の総合指数(102.2)をつないだ約16.5%。金額は10円単位で四捨五入。
お小遣いの中央値(2015年度調査)に、2026年9月までの物価の上がり方を当てはめた額(学年別)1/1
出所:金融広報中央委員会「子どものくらしとお金に関する調査(第3回)2015年度」、総務省統計局「消費者物価指数」をもとにLIMO編集部作成
平均の額で当てはめると、中学生は2536円が月約2950円、高校生は5114円が月約5960円になります。中央値でも平均でも、物価に合わせるだけなら、中学生は月300円台、高校生は月800円台の上乗せが目安です。
3. お小遣いの使い道は?中学生・高校生は「友達との外食・軽食代」が7〜9割、高校生は昼食が73%、交通費が79%
同じ調査で、お小遣いで買ったり払ったりすることがあると答えた使い道の上位は、次のとおりです(複数回答。中学生・高校生は「よくある」と「ときどきある」の合計)。
- 【小学1・2年生】おかしやジュース36%、おもちゃなど32%、ゲームをする32%
- 【小学5・6年生】おかしやジュース50%、ゲームソフトやおもちゃ類42%、まんが42%、ノートや鉛筆など32%
- 【中学生】友達との外食・軽食代77%、おやつなどの飲食物77%、友達へのプレゼント71%、文房具69%、休日に遊びにいくときの交通費64%
- 【高校生】友達との外食・軽食代89%、おやつなどの飲食物88%、休日に遊びにいくときの交通費79%、友達へのプレゼント79%、昼食73%、文房具65%
小学生は、おかしやおもちゃ、ゲームなど、楽しみに使うお金が中心です。中学生・高校生になると、文房具や交通費、昼食といった、家庭によっては親が払っているものまでお小遣いに入ってきます。
そのため中学生・高校生は、物価の上がり分だけでなく、どこまでをお小遣いに含めるかでも必要な額が変わります。
4. お小遣いで払うものと親が払うものの線引きは?昼食・交通費・文房具を含めるかで見直す額が変わる
調査の使い道の項目は、大きく2つに分けて考えることができます。
- 【家庭によって親が払うこともある項目】昼食、文房具(ノートや鉛筆など)、休日に遊びにいくときの交通費
- 【お小遣いでまかなうことが多い項目】友達との外食・軽食代、おやつなどの飲食物、友達や家族へのプレゼント、まんがや雑誌、ゲーム代
試算した約16.5%の上乗せは、いまお小遣いに入っているものの値上がり分です。これまで親が払っていた昼食や文房具をお小遣いに移すなら、その分は別に足す必要があります。
反対に、お小遣いでまかなっていた文房具を親が払うことにすれば、上乗せを小さくしても、子どもが自由に使える額は保てます。どの項目をどちらが払うかを先に決めてから物価の上がり分を当てはめると、見直す額の理由を子どもにも説明しやすくなります。
5. お小遣いを見直す時期は?物価の数字は毎月公表、学年が上がる4月に合わせると決めやすい
総務省の消費者物価指数は毎月公表されています(2026年9月分は10月23日に公表)。毎月の数字に合わせて額を変える必要はなく、学年が上がる4月など、年に1回の区切りで見直すと子どもにも伝えやすくなります。
見直すときは、この1年で何にいくら使ったかを子どもと一緒に振り返ると、足りなくなっている項目がはっきりします。お小遣い帳をつけていれば、その記録が役に立ちます。
調査の中央値では、中学生の月2000円から高校生の月5000円へ、月3000円の差があります。高校に入る時期は、昼食や交通費など、お小遣いでまかなう範囲を決め直すよい機会です。
6. 【元FP会社スタッフの視点】検証:お小遣いは「額」より「何を任せるか」で見る
独立系FP会社でマネーセミナーの運営補助をしていた頃、家計の話では「決まって出ていくお金」と「使い方を任せるお金」を分けて考える、という整理がよく出てきました。お小遣いは、子どもに使い方を任せるお金です。
今回の試算では、2015年度の中央値に物価の上がり方を当てはめると、中学生で月約330円、高校生で月約820円の上乗せになりました。年にすると、中学生で約3950円、高校生で約9880円です。
一方で、高校生の使い道では、昼食が73%、交通費が79%にのぼります。昼食をお小遣いでまかなう高校生と、お弁当を持っていく高校生では、同じ月5000円でも自由に使える額の意味が大きく違います。
額を決める前に、何が足りなくなっているかを子ども自身に聞いてみると、上乗せが必要なのか、払う人を変えればよいのかが見えてきます。
物価の上がり分は、見直しの出発点です。そのうえで、何をお小遣いに任せるかを家族で決めておくと、毎年の見直しも落ち着いて進められるはずです。
7. まとめ
小学生・中学生・高校生のお小遣いは、公的な調査の中央値で、小学生が月500円〜1000円、中学生が月2000円、高校生が月5000円でした。2015年から2026年9月までの物価の上がり方約16.5%を当てはめると、中学生は月約2330円、高校生は月約5820円が見直しの目安です。
ただし、昼食や交通費、文房具をお小遣いに含めるかどうかで、必要な額は変わります。物価の数字と使い道の線引きを合わせて、ご家庭に合う額を話し合ってみてください。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。お小遣いの額は2015年度の調査の値で、各家庭の実際の額とは異なります。最新の物価の動きは、総務省「消費者物価指数」でご確認ください。
参考資料
- 金融広報中央委員会「子どものくらしとお金に関する調査(第3回)2015年度」
- 総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)9月分」
- 総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)平均」
下村 美乃莉