家族から、1970年に開かれた大阪万博(正式名称は日本万国博覧会)の記念硬貨を受け取り、いまの価値が気になっている方もいるのではないでしょうか。2025年の大阪・関西万博とは別の、半世紀以上前の万博の記念硬貨です。記念硬貨は、使われないまま引き出しの奥で何十年も保管されていることが多いお金です。

独立系FP会社でマネーセミナーの運営補助をしていた経験からお伝えすると、お金の価値は「使える金額」と「売れる値段」を分けて見ると整理しやすくなります。ここでは、記念硬貨が法律上どう扱われるかを確かめます。

あわせて、1970年の大阪万博など100円の記念硬貨5種類について、発行枚数が当時の国民何人に1枚にあたるかを計算し、金融機関や日本銀行で引き換える方法もまとめます。

※発行枚数は財務省「記念貨幣一覧」(2026年9月11日現在)、人口は総務省統計局「国勢調査」の全国人口です。

1. 記念硬貨は今も使える?1970年の大阪万博の100円も法律上の通貨で、一度に使えるのは額面の20倍まで

e-Gov法令検索「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」によると、国家的な記念事業として発行される記念貨幣も「貨幣」にあたり、貨幣は日本銀行券とともに法律上の通貨です。1970年の大阪万博の記念硬貨も、ふだんの100円硬貨と同じく100円として使えます。

ただし、同じ法律の第7条は、貨幣が法貨として通用するのは「額面価格の二十倍まで」としています。財務省「お金には使用できる枚数の制限があるのですか」は、これを20枚までと説明し、相手の了解があれば、それを超えて使うことも妨げないとしています。

  • 【記念硬貨の扱い】法律上の通貨(貨幣)で、額面どおり使える
  • 【一度に使える上限】額面価格の20倍まで(100円の記念硬貨なら20枚・2000円分)
  • 【上限を超える分】受け取るかどうかは相手の了解しだい

大きさの違いにも気をつけたいところです。造幣局「現在製造している貨幣」によると、いまの100円硬貨は直径22.6mmですが、1970年の大阪万博の100円は直径28.0mm・重さ9.0gです。自動販売機やセルフレジなどの機械では、受け付けられないことがあります。

2. 記念硬貨の発行枚数は?1970年の大阪万博の100円は4000万枚で、当時の国民約2.6人に1枚

財務省「記念貨幣一覧」から、額面100円の記念硬貨5種類の発行枚数を並べ、発行年に近い国勢調査の全国人口と比べました。

  • 【東京オリンピック(1964年)】8000万枚・国民約1.2人に1枚
  • 【大阪万博=日本万国博覧会(1970年)】4000万枚・国民約2.6人に1枚
  • 【札幌オリンピック(1972年)】3000万枚・国民約3.5人に1枚
  • 【沖縄国際海洋博覧会(1975年)】1億2000万枚・国民約0.9人に1枚
  • 【天皇陛下御在位50年(1976年)】7000万枚・国民約1.6人に1枚

※試算の前提:発行枚数は財務省「記念貨幣一覧」(2026年9月11日現在)、人口は総務省統計局「国勢調査」の1965年・1970年・1975年の全国人口(発行年に最も近い年)です。人口を発行枚数で割り、小数点以下第2位を四捨五入しています。

100円の記念硬貨5種類の発行枚数と、発行当時の国民何人に1枚にあたるか1/1

100円の記念硬貨5種類の発行枚数と、発行年に近い国勢調査の全国人口で割った結果。東京オリンピック(1964年)は8000万枚で約1.2人に1枚、大阪万博(日本万国博覧会、1970年)は4000万枚で約2.6人に1枚、札幌オリンピック(1972年)は3000万枚で約3.5人に1枚、沖縄国際海洋博覧会(1975年)は1億2000万枚で約0.9人に1枚、天皇陛下御在位50年(1976年)は7000万枚で約1.6人に1枚

出所:財務省「記念貨幣一覧」、総務省統計局「平成27年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要」をもとにLIMO編集部作成

1970年の大阪万博の100円は4000万枚で、5種類の中では少ないほうですが、それでも当時の国民約2.6人に1枚が出回った計算です。沖縄国際海洋博覧会の100円は1億2000万枚と、国民1人に1枚を上回ります。

3. 記念硬貨の価値が額面に近くなりやすいのはなぜ?1970年の大阪万博の100円は発行枚数が多く、手元に残す家庭も多い

1970年の大阪万博の100円は、財務省「記念貨幣一覧」によると同年(昭和45年)3月10日に引き換えが始まり、100円と引き換える形で人々の手に渡りました。記念に取っておいた家庭が多く、4000万枚という数は今も多くの家に残っていると考えられます。

出回っている数が多い記念硬貨は、売りたい人に比べて買いたい人が多くありません。そのため、店で売ろうとしても、額面前後の値段にとどまることが多くなります。

一方で、額面を上回る価格で販売される記念貨幣もあります。同じ法律の第10条は、金や銀などの貴金属を含み製造費用が額面を超える記念貨幣などを、造幣局が販売すると定めています。こうした記念貨幣も、お店で使ったり引き換えたりするときは額面の金額です。

  • 【100円と引き換えて発行された記念硬貨】1970年の大阪万博の100円など。使う・引き換えるときは額面どおり
  • 【造幣局が販売した記念貨幣】販売価格は額面以上。使う・引き換えるときは額面どおり
  • 【金や銀を含む記念貨幣】発行枚数とは別に、素材の相場の影響も受ける

4. 記念硬貨はどこで替えられる?1970年の大阪万博の100円は金融機関の窓口か、日本銀行の本支店で通常のお金に

日本銀行「損傷したお金の引換え窓口」によると、日本銀行は、流通に不便なお金として記念貨の引き換えをしています。受け付けるのは本店とすべての支店で、郵送では受け付けていません。

  • 【受付時間】平日の9時から15時まで
  • 【予約】事前の予約を求めている(予約がないと当日中に引き換えられない場合がある)
  • 【大量のとき】来店の日時や枚数を調整することがある
  • 【手数料】損傷したお金の引き換えは手数料を取らないとしている。記念貨は予約のときに確かめると安心

日本銀行は両替業務をしていないため、ふだん使っている金融機関の窓口で、記念硬貨を預け入れたり両替したりする方法もあります。ただし、硬貨の枚数が多いと手数料がかかる金融機関があり、機械で受け付けない大きさの記念硬貨もあります。持ち込む前に、取引先の金融機関に確かめておくと安心です。

1970年の大阪万博の100円記念硬貨は、法律上の通貨として今も100円で使えます。発行枚数は4000万枚で、当時の国民約2.6人に1枚にあたります。

出回った数が多い記念硬貨は、売っても額面前後の値段にとどまりやすい一方、金融機関や日本銀行で通常のお金に引き換えることができます。

ここからは、買い取りに出す前に気をつけたい点と、記念硬貨の価値の考え方を整理します。