4. 家族4人の旅行はいくら?国内宿泊旅行1回で約29.0万円、片働きと共働きの手取りの差は約2.2回分
観光庁「旅行・観光消費動向調査」によると、2025年の日本人の国内宿泊旅行の旅行単価は1人1回あたり7万2412円、日帰り旅行は2万円でした。家族4人で計算すると、次のとおりです。
- 【国内宿泊旅行1回】約29.0万円(7万2412円×4人)
- 【国内日帰り旅行1回】8万円(2万円×4人)
- 【片働きと共働きの手取りの差(約64.2万円)】国内宿泊旅行の約2.2回分
- 【私立と公立の教育費の差(約160.0万円)】国内宿泊旅行の約5.5回分
教育費を払ったあとに残る年約612.1万円(片働き)から、家族4人の国内宿泊旅行を年1回とすると、約29.0万円は残る額の約4.7%にあたります。旅行の回数を増やせるかどうかは、住居費などほかの支出とあわせて決まります。
※試算の前提:旅行単価は全国の日本人の平均で、子どもの料金も大人と同じ額として計算しています。
5. 私立高校の授業料の支援はどう変わった?令和8年度から所得制限なく年最大45万7200円、東京都は国と合わせて最大50万1000円
文部科学省によると、高等学校等就学支援金は令和8年度から所得制限が撤廃され、私立高校(全日制)の支給上限額は年45万7200円に引き上げられました。授業料が上限より安い場合は、授業料の額までが支給されます。
東京都私学財団によると、東京都に住む世帯では、都の私立高等学校等授業料軽減助成金(全日制で年4万3800円が上限)と国の支援金を合わせて、最大で年50万1000円になります。都の助成金だけを申請する場合、所得要件はありません。
- 【私立高校(全日制)・国の支援金】年最大45万7200円(所得制限なし・令和8年度から)
- 【東京都に住む世帯・国と都の合計】年最大50万1000円
- 【東京都の私立中学校等授業料軽減助成金】年10万円が上限、令和8年度は臨時の支援2万円を加えて上限12万円(所得制限なし)
この記事の試算は学習費総額の平均をそのまま使っているため、支援を受けた分だけ、実際の教育費は少なくなることがあります。いずれも、東京都に引き続き住んでいることなどの条件があり、申請が必要です。東京都の私立中学校等授業料軽減助成金の令和8年度の申請期間は、9月1日から10月15日まででした。
6. 【証券会社出身の視点】検証:手取りの差の約64.2万円は、税金で約104.0万円少なく、社会保険料で約39.8万円多いことの差
片働きと共働き(700万円+500万円)の手取りの差を、内訳で見ると次のとおりです。
- 【社会保険料】片働き 約146.2万円、共働き 約186.0万円(共働きが約39.8万円多い)
- 【所得税と住民税の合計】片働き 約191.8万円、共働き 約87.8万円(共働きが約104.0万円少ない)
共働きは2人とも社会保険料を払うため、社会保険料は約39.8万円多くなります。一方、所得税は課税される所得が多いほど税率が上がる仕組みで、片働きの1200万円は所得税の税率23%の区分に入るのに対し、700万円と500万円に分けると、それぞれ税率10%と5%の区分にとどまります。
片働きの場合、給与所得が1005万円になり、国税庁「No.1191 配偶者控除」にある「合計所得金額が1000万円を超える場合は、配偶者控除は受けられません」に当たります。配偶者に収入がなくても、配偶者控除は使えない計算です。
共働きで多く払う社会保険料のうち、厚生年金保険料は2人それぞれの将来の老齢厚生年金につながります。資産運用の計画を立てるときに、手取りの差だけでなく、将来の年金の見込みもあわせて見ておくと、家計全体のバランスを考えやすくなります。
また、私立中学と私立高校に通う期間が重なるのは数年のことが多く、その間は教育費が家計のなかで大きな割合を占めます。教育費の多い時期とそうでない時期を分けて、旅行や積み立ての額を考えてみると、無理のない予算が見えてくるかもしれませんね。
※試算の前提:前章と同じ。
7. まとめ
世帯年収1200万円の手取りは、片働きで約862.1万円、共働き(700万円+500万円)で約926.3万円でした。私立中学と私立高校の学習費総額の平均(2人で約274.0万円)を払ったあとに残るのは、児童手当を含めて片働きで年約612.1万円、共働きで年約676.3万円です。
家族4人の国内宿泊旅行は1回約29.0万円で、片働きと共働きの手取りの差は約2.2回分にあたります。令和8年度からは私立高校の授業料の支援に所得制限がなくなったので、学校からの案内や東京都私学財団などの情報もあわせて見てみると、実際に使える額が分かりやすくなるかもしれませんね。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の手取りや教育費は、賞与の有無、住んでいる自治体、加入する健康保険、学校や家庭の状況などによって異なります。税金は国税庁のホームページや税務署、住民税はお住まいの市区町村、児童手当はお住まいの市区町村でご確認ください。
参考資料
- 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」
- 観光庁「旅行・観光消費動向調査」
- こども家庭庁「児童手当制度のご案内」
- 全国健康保険協会「令和8年度保険料額表」
- 国税庁「No.1410 給与所得控除」
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」
- 国税庁「No.1180 扶養控除」
- 国税庁「No.1199 基礎控除」
安達 さやか