世帯年収1200万円あれば、子ども2人を私立に通わせながら家族旅行にも行ける。そう聞くと、ゆとりのある家計を思い浮かべる人も多いかもしれません。ただ、家計で使えるのは額面ではなく手取りで、同じ世帯年収でも夫婦の収入の分け方で手取りは変わります。
証券会社で資産運用のご提案をしていた経験からお伝えすると、教育費や旅行の予算を考える出発点は、額面の年収ではなく手取りです。ここでは、世帯年収1200万円を片働きと共働きに分けて手取りを計算し、私立中学と私立高校の教育費を払ったあとに残る額を整理します。
あわせて、家族4人の国内宿泊旅行にかかる費用と比べて、教育費や手取りの差が旅行の何回分にあたるかも試算しました。
※教育費は文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(令和8年1月16日訂正版)の私立中学校・私立高等学校(全日制)の学習費総額の平均、旅行費は観光庁「旅行・観光消費動向調査」の2025年確報の国内宿泊旅行の1人1回あたり旅行単価です。
1. 世帯年収1200万円の手取りはいくら?片働きなら約862.1万円、共働き(700万円+500万円)なら約926.3万円
世帯年収1200万円の手取りを、夫婦の収入の分け方で比べると次のとおりです。手取りは、年収から社会保険料と所得税・住民税を差し引いた額です。
- 【片働き(1200万円+0円)】手取り約862.1万円(年収の約71.8%)
- 【共働き(700万円+500万円)】手取り約926.3万円(同 約77.2%)
- 【共働き(600万円+600万円)】手取り約931.8万円(同 約77.6%)
同じ世帯年収1200万円でも、共働き(700万円+500万円)の手取りは片働きより約64.2万円多くなります。所得税は所得が多いほど税率が上がる仕組みのため、1人で1200万円を得るより、2人で分けて得るほうが税金が少なくなるためです。
※試算の前提:東京都23区に住む40歳から64歳の夫婦と、中学生・高校生の子ども2人。協会けんぽ東京支部の令和8年度の保険料率(介護保険料を含む)、令和8年分の所得税、令和9年度分の住民税で計算。賞与はなく、高校生の子は収入の多い親の扶養親族としています。
2. 私立中学と私立高校の教育費は年いくら?2人で約274.0万円、公立の約2.4倍
文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」によると、1年間の学習費総額(学校教育費、学校給食費、塾や習い事などの学校外活動費の合計)の平均は次のとおりです。
- 【私立中学校】約156.0万円(公立中学校は約54.2万円)
- 【私立高等学校(全日制)】約117.9万円(公立高等学校は約59.7万円)
- 【私立中学校と私立高等学校の2人分】約274.0万円(公立の2人分は約114.0万円)
私立中学と私立高校に1人ずつ通う年の学習費総額は、公立に通う場合より約160.0万円多く、約2.4倍です。学習費総額には授業料のほか、通学費や制服代、塾や習い事の費用も含まれています。
3. 教育費を払ったあとにいくら残る?片働きは年約612.1万円、共働きは年約676.3万円
手取りに児童手当を加え、私立中学と私立高校の学習費総額の平均(2人で約274.0万円)を差し引くと、次のようになります。児童手当は2024年10月から所得制限がなくなり、高校生年代まで1人月1万円(第1子・第2子)が支給されます。
- 【片働き】手取り約862.1万円+児童手当24万円−教育費約274.0万円=年約612.1万円(月約51.0万円)
- 【共働き(700万円+500万円)】手取り約926.3万円+児童手当24万円−教育費約274.0万円=年約676.3万円(月約56.4万円)
この残りから、住居費や食費などの生活費、旅行、貯蓄をまかなうことになります。2人とも公立に通う場合と比べると、残る額は片働き・共働きとも約160.0万円少なくなります。
※試算の前提:前章と同じ。教育費は学習費総額の全国平均で、授業料の支援(高等学校等就学支援金など)を別に差し引くことはしていません。
例)世帯年収1200万円・子ども2人が私立中学と私立高校の場合 教育費を払ったあとに残る額(東京都23区)1/1
出所:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」、全国健康保険協会「令和8年度保険料額表」をもとにLIMO編集部作成