3. 中高齢寡婦加算を受け取るための手続き【どんな手続きが必要か】
中高齢寡婦加算だけを単独で請求する書類はありません。遺族厚生年金の請求のなかで、加算の条件にあてはまるかどうかも確かめられます。
手続きの流れは、夫を亡くしたときの状況によって分かれます。該当する人が多い2つのパターンを見ていきましょう。
3.1 【パターン1】夫を亡くし、遺族厚生年金を新たに請求する人
- 年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)様式第105号を用意する
- 戸籍謄本、世帯全員の住民票の写し、請求する人の収入が確認できる書類、死亡診断書のコピーなどを添える
- お近くの年金事務所または街角の年金相談センターに提出する
戸籍謄本や住民票の写しは、マイナンバーを記入することで添付を省略できる場合があります。年金請求書は、年金事務所や街角の年金相談センターの窓口にも備え付けられています。
3.2 【パターン2】遺族基礎年金を受けていて、子が18歳年度末を迎える人
- 子が18歳年度末を迎えると、遺族基礎年金を受けられなくなる
- 40歳になった時点で遺族基礎年金を受けていた場合は、そのあと中高齢寡婦加算が遺族厚生年金に上乗せされる
振込額の内訳が大きく変わる時期なので、日本年金機構から届く通知で、中高齢寡婦加算がついているかを確かめておきましょう。
4. 夫を亡くした年齢で、65歳までに受け取る加算の総額は変わる
中高齢寡婦加算は65歳になるまで受け取れるため、夫を亡くしたときの年齢によって、受け取れる期間と総額が大きく変わります。
- 40歳で夫を亡くした場合:25年で約1588万7500円
- 50歳で夫を亡くした場合:15年で約953万2500円
- 60歳で夫を亡くした場合:5年で約317万7500円
- 39歳以下で子がいない場合:加算の対象外
※ 2026年度の加算額(年63万5500円)が毎年変わらず、夫を亡くした年齢から65歳になるまでの年数分を受け取るものとしてLIMO編集部が試算。実際の支給期間は月単位で決まり、額も年度ごとに改定されます。
同じように夫を亡くしても、そのときの年齢が39歳か40歳かで、加算があるかどうかが分かれます。子がいない妻の場合は、40歳を境に受け取れるお金が大きく変わるといえます。
5. 2028年4月から中高齢寡婦加算は段階的に見直される予定
2025年に成立した年金制度改正法で、遺族年金の見直しが決まりました。
厚生労働省によると、中高齢寡婦加算は将来の廃止に向けて段階的に見直され、令和10年(2028年)4月1日に施行される予定です。
同じ時期には、遺族厚生年金の男女差の見直しも予定されています。現在は子のない30歳未満の妻が受け取れる遺族厚生年金は5年間に限られていますが、見直し後は、18歳年度末までの子がいない2028年度末時点で40歳未満の女性が、原則5年間の有期給付の対象になります。
厚生労働省は、すでに遺族厚生年金を受け取っている人は、遺族厚生年金の見直しの影響を受けないとしています。中高齢寡婦加算がどの世代から、どのくらいの速さで減っていくのかといった細かな扱いは、施行が近づいた時点で年金事務所などで確かめておくと安心です。
6. 65歳になると中高齢寡婦加算は終わり、老齢基礎年金に切り替わる
中高齢寡婦加算は、妻が65歳になると終わります。65歳からは妻自身の老齢基礎年金を受け取るようになるためです。
ただし、1956年(昭和31年)4月1日以前に生まれた妻には、65歳になったあとも遺族厚生年金に「経過的寡婦加算」が上乗せされます。経過的寡婦加算の額は、1986年4月1日から60歳になるまで国民年金に加入した場合の老齢基礎年金と合わせて、中高齢寡婦加算と同じ程度の額になるよう決められています。
また、65歳以上で自分の老齢厚生年金を受け取る権利もある場合は、老齢厚生年金が全額支給され、遺族厚生年金はその額に相当する分が支給停止になります。
7. まとめ
この記事では、中高齢寡婦加算について、加算額や対象になる妻の条件、受け取るための手続き、2028年4月からの見直しを解説しました。
2026年度の中高齢寡婦加算は年63万5500円で、12月15日の支給日には2か月分にあたる約10万5900円分が遺族厚生年金に上乗せされます。夫を亡くしたときに40歳以上65歳未満で子がいない妻などが対象で、年金を受け取っていた夫の場合は厚生年金の加入期間20年以上も条件になります。
自分が対象になるか、振込額に加算が含まれているかを確かめたいときは、お近くの年金事務所や街角の年金相談センターで、遺族厚生年金の内訳を聞いていただきたいところです。
※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。
参考資料
- 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
- 日本年金機構「遺族厚生年金を受けられるとき」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方 第13 遺族年金」
- 厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」
中本 智恵