4. 定年後に働くと年金は減る?2026年4月から基準額は65万円、フルタイムの警備員の月収でも全額受け取れる計算
65歳以上で厚生年金に加入して働く場合、日本年金機構「在職老齢年金制度が改正されました」によると、年金の月額(基本月額)と、給与・賞与の月額(総報酬月額相当額)の合計が65万円(2026年度)以下なら、年金は全額受け取れます。調整されるのは老齢厚生年金だけで、老齢基礎年金は対象外です。
- 【年金】月約17.0万円(厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」の厚生年金の老齢年金・男子の平均年金月額。基礎年金を含む額をすべて基本月額とみなした場合)
- 【給与・賞与】月約24.8万円(警備員・65~69歳の月収約24.0万円から決まる標準報酬月額24万円と、賞与など約9.3万円の12分の1)
- 【合計】約41.8万円で、65万円まで約23.2万円の余裕
社会保険は、フルタイムなら厚生年金(70歳まで)と健康保険に加入します。パートでも、従業員51人以上の企業などで週の所定労働時間が20時間以上なら加入の対象です。月8.8万円以上という賃金の要件は、2026年10月に撤廃されました。
雇用保険は、65歳以上でも週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上働く見込みがあれば加入します(高年齢被保険者)。2028年10月からは、週10時間以上に広がる予定です。週20時間前後のパートは、勤務時間の決め方で加入の有無が変わることがあります。
5. 警備員として働くときの決まりは?警備業法で一定の欠格事由に当たる人は警備員になれず、採用後は20時間以上の新任教育
警備業法第14条は、18歳未満の人や、第3条第1号から第7号までのいずれかに当たる人は警備員になってはならないと定めています。たとえば、破産して復権を得ていない人や、拘禁刑以上の刑の執行を終えてから5年を経過していない人などです。年齢の上限は定められていません。
警備業者は、警備業法第21条で警備員に教育を行うことが義務づけられています。警視庁「警備員教育の時間数」によると、一般の警備員の新任教育は基本教育と業務別教育を合わせて20時間以上、その後の現任教育は年度ごとに10時間以上です。
6. 【検証】試算から見えること:マンション管理員と警備員の差は「時給」より「働く時間」で生まれる
フルタイムの月収だけを見ると、警備員が約2.6万円高く見えます。ただし、その多くは月約13時間の残業などによるもので、残業代を除くと、65~69歳の月収はどちらも約21万円です。
1時間当たりでは、フルタイムはマンション管理員が約71円高く、パートは警備員が約134円高くなりました。どちらが稼げるかは、職種より、フルタイムかパートか、残業や夜間の勤務があるかで入れ替わります。
年金と合わせると、フルタイムの警備員で月約41万円、パートのマンション管理員で月約28万円の計算になります。いずれも在職老齢年金の基準額65万円を大きく下回り、働いたことで年金が減る水準ではありません。
定年後に仕事を選ぶときは、求人の月給額だけでなく、時給、月の勤務日数と時間、残業や夜間の勤務の有無、社会保険の加入の有無を並べて比べると、手元に残る額の違いが見えやすくなります。
7. まとめ
65~69歳のフルタイムで比べると、マンション管理員と警備員の残業代を除いた月収はほぼ同じで、警備員の月収が高く見える差の多くは残業代でした。パートでは警備員の時給が高く、比べ方によって答えが入れ替わります。
働き方を決めるときは、勤務時間と残業、社会保険の加入条件を求人票で確かめておきたいところです。年金や社会保険の扱いで迷うときは、年金事務所やハローワークに相談できます。
※本記事の金額は統計の平均値をもとにした目安です。実際の給与や勤務条件は、地域・勤め先・勤務の形によって異なります。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」
- 日本年金機構「在職老齢年金制度が改正されました」
- 厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「2026(令和8)年10月に社会保険の短時間労働者に係る賃金要件が撤廃されました」
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内」
- 厚生労働省「雇用保険の適用拡大等について」
- 厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律の概要」
- e-Gov法令検索「警備業法」
- 警視庁「警備員教育の時間数」
宮野 茉莉子