5. 中高齢寡婦加算と老齢基礎年金を比べると?加入40年なら65歳から年約21.2万円多く、25年なら年約10.6万円少ない

65歳で中高齢寡婦加算が終わったあと、妻自身の老齢基礎年金が中高齢寡婦加算より多いか少ないかは、妻が国民年金に加入していた期間で変わります。中高齢寡婦加算と、妻自身の老齢基礎年金を加入期間別に比べると、次のとおりです。

  • 【加入40年(480月)】年約84.7万円で、中高齢寡婦加算より年約21.2万円多い
  • 【加入35年(420月)】年約74.1万円で、中高齢寡婦加算より年約10.6万円多い
  • 【加入30年(360月)】年約63.5万円で、中高齢寡婦加算とほぼ同じ
  • 【加入25年(300月)】年約53.0万円で、中高齢寡婦加算より年約10.6万円少ない

会社員や専業主婦(第3号被保険者)として過ごした期間も、老齢基礎年金の加入期間に含まれます。全額免除の期間は2分の1で反映され、未納の期間は反映されません。妻自身の加入記録は、ねんきん定期便やねんきんネットで確かめることができます。

※試算の前提:昭和31年4月2日以後生まれの妻で、加入期間はすべて保険料を納めた期間としています。遺族厚生年金や妻自身の老齢厚生年金は含めていません。

6. 【検証】試算から見えること:中高齢寡婦加算の有無を分けるのは、夫の年収より加入月数と亡くなった時期

遺族厚生年金は夫の報酬に比例するため、夫の年収や加入期間が多いほど増えます。ただ、試算では、加入239月と240月の遺族厚生年金の差は年約2000円にとどまりました。

これに対して、中高齢寡婦加算は年63万5500円の定額で、付くか付かないかの二択です。夫が在職中に亡くなれば加入が短くても付き、退職後に亡くなれば加入240月が分かれ目になります。

  • 【在職中に死亡・加入5年】月約10.4万円
  • 【退職後に死亡・加入239月(19年11か月)】月約4.1万円

加入期間が4倍近く長くても、退職後に亡くなった場合のほうが月約6.3万円少なくなる計算です。在職中の死亡は、残された家族の生活を急に支える必要があるため、加入期間が短くても一定の額を保障する仕組みになっていることが分かります。

なお、夫に国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間などが10年以上ある場合、妻が60歳から65歳になるまで、国民年金の寡婦年金を受け取れることがあります(厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方 第13 遺族年金」)。遺族厚生年金との受け取り方は、年金事務所で確かめることができます。

※試算の前提は前章までと同じです。

7. まとめ

中高齢寡婦加算は、18歳までの子がいない40〜65歳未満の妻の遺族厚生年金に年63万5500円が上乗せされる加算です。夫の年収597万円で試算すると、夫が在職中に亡くなれば加入期間にかかわらず月約10.4万円、退職後に亡くなった場合は加入240月で月約9.4万円、239月なら加算が付かず月約4.1万円でした。

夫の厚生年金の加入月数は、ねんきん定期便やねんきんネットで確かめることができます。65歳以降は妻自身の老齢基礎年金に替わるため、夫婦それぞれの加入記録を見ておくと、受け取る年金の見通しを立てやすくなります。

※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の受給額は、亡くなった方の加入期間や報酬、受給要件の判定によって異なります。詳しくは日本年金機構の年金事務所などでご確認ください。

参考資料

中本 智恵