年収が100万円増えても、手取りが100万円増えるわけではありません。年収から社会保険料と所得税・住民税が差し引かれ、その割合は年収によって変わるためです。
証券会社で資産運用のご提案をしていた経験からお伝えすると、積み立てに回せる額を考える出発点は、額面ではなく手取りです。ここでは、年収300万円から1000万円までの会社員の手取りを100万円刻みで並べ、社会保険料・所得税・住民税の内訳を、令和8年度の保険料率と令和8年分の所得税で計算し直しました。令和8年分の所得税は、12月の年末調整で、引き上げ後の基礎控除と給与所得控除を使って計算されます。
あわせて、年収が100万円増えたときに手取りがいくら増えるか、40歳以上で介護保険料が加わると手取りがどう変わるかも試算しています。
※社会保険料は全国健康保険協会(協会けんぽ)東京支部の令和8年度の保険料額表、所得税は国税庁「No.1410 給与所得控除」「No.2260 所得税の税率」などの令和8年分の額で計算しています。
1. 年収300万〜1000万円の手取りはいくら?年収500万円なら約394.2万円、1000万円なら約727.4万円
東京都23区に住む単身・40歳未満の会社員の場合、年収から社会保険料・所得税・住民税を差し引いた手取りは次のとおりです(カッコ内は月あたり)。
- 【年収300万円】手取り約240.0万円(月約20.0万円)
- 【年収400万円】手取り約316.8万円(月約26.4万円)
- 【年収500万円】手取り約394.2万円(月約32.9万円)
- 【年収600万円】手取り約466.2万円(月約38.9万円)
- 【年収700万円】手取り約530.9万円(月約44.2万円)
- 【年収800万円】手取り約594.8万円(月約49.6万円)
- 【年収900万円】手取り約661.6万円(月約55.1万円)
- 【年収1000万円】手取り約727.4万円(月約60.6万円)
手取りが年収に占める割合は、年収300万円で約80.0%、500万円で約78.8%、1000万円で約72.7%です。国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」の平均給与487万円で同じように計算すると、手取りは約382.9万円でした。
※試算の前提:東京都23区に住む単身・扶養なし・40歳未満で、協会けんぽに加入する会社員。賞与はなく、年収を12で割った額を毎月の給与としています。通勤手当などの非課税の手当はないものとしています。
- 【社会保険料】協会けんぽ東京支部の令和8年度の保険料額表(健康保険9.85%、子ども・子育て支援金0.23%、厚生年金保険18.3%をそれぞれ労使で折半)と、雇用保険料率(一般の事業の労働者負担1000分の5)で、令和8年度の料率が1年間続くものとして計算
- 【所得税】令和8年分(改正後の給与所得控除と基礎控除。復興特別所得税2.1%を含む)
- 【住民税】令和9年度分(所得割10%、調整控除、均等割4000円と森林環境税1000円)。住民税は翌年度にかかりますが、同じ年の所得に対する額として示しています
例)東京都23区・単身・40歳未満の会社員の場合 年収別の手取りと内訳(令和8年度の保険料率・令和8年分の所得税)1/1
出所:全国健康保険協会「令和8年度保険料額表」、国税庁「No.1410 給与所得控除」をもとにLIMO編集部作成
2. 年収別の手取りの内訳は?社会保険料は年収500万円で約72.3万円、1000万円で約126.6万円
年収から手取りまでの間で差し引かれる3つのお金の内訳は、次のとおりです。
- 【年収300万円】社会保険料 約45.8万円、所得税 約2.7万円、住民税 約11.6万円
- 【年収400万円】社会保険料 約59.9万円、所得税 約5.7万円、住民税 約17.6万円
- 【年収500万円】社会保険料 約72.3万円、所得税 約9.2万円、住民税 約24.3万円
- 【年収600万円】社会保険料 約88.1万円、所得税 約14.9万円、住民税 約30.7万円
- 【年収700万円】社会保険料 約104.0万円、所得税 約27.6万円、住民税 約37.6万円
- 【年収800万円】社会保険料 約116.5万円、所得税 約43.4万円、住民税 約45.3万円
- 【年収900万円】社会保険料 約121.2万円、所得税 約62.9万円、住民税 約54.3万円
- 【年収1000万円】社会保険料 約126.6万円、所得税 約82.2万円、住民税 約63.8万円
年収300万円から900万円までは、差し引かれる額のうち社会保険料が最も大きくなります。年収1000万円では、所得税の約82.2万円と住民税の約63.8万円の合計が約146.0万円となり、社会保険料の約126.6万円を上回ります。
社会保険料のうち最も大きいのは厚生年金保険料で、年収500万円では年約45.0万円です。厚生年金保険料は標準報酬月額に保険料率をかけて計算し、協会けんぽ東京支部の令和8年度の保険料額表では、厚生年金保険の標準報酬月額は65万円(報酬月額63万5000円以上)が上限です。
3. 年収が100万円増えると手取りはいくら増える?300万円から400万円では約76.8万円、700万円から800万円では約63.9万円
年収が100万円増えたときに増える手取りは、次のとおりです(前提は前章と同じ)。
- 【年収300万円→400万円】手取りは約76.8万円増
- 【年収400万円→500万円】手取りは約77.4万円増
- 【年収500万円→600万円】手取りは約72.0万円増
- 【年収600万円→700万円】手取りは約64.7万円増
- 【年収700万円→800万円】手取りは約63.9万円増
- 【年収800万円→900万円】手取りは約66.8万円増
- 【年収900万円→1000万円】手取りは約65.9万円増
年収が上がると所得税の税率が上がるため、増える手取りは小さくなる傾向があります。国税庁「No.2260 所得税の税率」によると、税率は課税される所得金額が195万円以上で10%、330万円以上で20%、695万円以上で23%になります。
一方で、年収800万円から900万円では、700万円から800万円より手取りの増え方が約2.9万円大きくなっています。毎月の給与が63万5000円以上になると厚生年金保険料が上限で止まり、年収が増えても厚生年金保険料が増えないためです。