遺族年金を受け取っている人が、再婚したり、パートナーと暮らし始めたりしたとき、年金はどうなるのか。内縁関係や養子縁組でも受け取れなくなるのかは、気になるところではないでしょうか。
日本年金機構によると、遺族年金は「結婚したとき(内縁関係を含む)」や「直系血族または直系姻族以外の方の養子となったとき」に、受給権がなくなります。届出は、遺族基礎年金が14日以内、遺族厚生年金が10日以内です。たとえば、40歳・子ども2人の専業主婦の妻が最初に受け取る年182万8190円(令和8年度の試算)も、結婚した時点で受け取れなくなります。
この記事では、遺族年金の受給権がなくなる主なケースと、再婚・内縁関係・養子縁組での扱い、届出の流れを確認します。
1. 遺族年金の受給権がなくなる主なケース
遺族年金の受給権がなくなることを、「失権」といいます。ここでは、日本年金機構が公表している「遺族年金の失権事由」をもとに、主なものを配偶者と子に分けて確認します。
1.1 配偶者(妻・夫)は「死亡」「結婚」「養子縁組」などで失権する
妻が受給権者の場合、遺族基礎年金・遺族厚生年金に共通する失権の事由は、次の3つです。夫が受給権者の場合も、この3つは同じです。
- 死亡したとき
- 結婚したとき(内縁関係を含む)
- 直系血族または直系姻族以外の方の養子となったとき
このほか、遺族厚生年金の妻には、夫が亡くなった当時30歳未満で子のない場合に、受給権を得てから5年を経過したときに失権する事由があります。平成19年4月1日以後に夫が亡くなった場合が対象です。
1.2 子は「離縁」「18歳になった年度の末日」などでも失権する
子が受給権者の場合は、配偶者の事由に加えて、次のような事由があります。
- 亡くなった方と離縁したとき
- 18歳になった年度の3月31日に到達したとき(障害等級1・2級の場合は20歳到達時)。この場合、失権の届出は不要
- 18歳になった年度の3月31日後20歳未満で、障害等級1・2級に該当しなくなったとき
遺族基礎年金で配偶者が受給権者の場合は、子の事由に、「配偶者と生計を同じくしなくなったとき」や「配偶者以外の養子となったとき」も挙げられています。
配偶者と子の事由を、チェック表にまとめました。
2. 再婚・内縁関係・養子縁組で、遺族年金はどうなるか
2.1 結婚(内縁関係を含む)すると、配偶者の受給権はなくなる
失権の事由にある「結婚したとき」には、婚姻届を出した場合だけでなく、内縁関係(事実婚)も含まれます。再婚した場合も、内縁関係の相手ができた場合も、配偶者と子のどちらの受給権者についても、失権の事由に挙げられています。
どこからが内縁関係にあたるのか、たとえば同居しているだけの場合はどうなるのかは、日本年金機構のページには書かれていません。迷う場合は、年金事務所で確認してください。
失権すると、いくらの年金が受け取れなくなるのかを、例で確認します。会社員の夫が亡くなり、40歳の専業主婦の妻と子ども2人(12歳と8歳)が残された場合の、令和8年度の額です。
結婚(内縁関係を含む)で止まる、配偶者の遺族年金の例(令和8年度)2/2
出所:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」、「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」をもとにLIMO編集部作成
- 段階1(子ども2人が18歳年度末まで):年182万8190円(月約15.2万円)
- 段階2(長男が18歳年度末を迎えたあと):年158万4390円(月約13.2万円)
- 段階3(長女も18歳年度末を迎えたあと、妻が65歳まで):年112万8790円(月約9.4万円)
この試算は、夫が42歳で、厚生年金の加入期間が20年(240月)、平均標準報酬額が40万円という、編集部の仮定です。遺族基礎年金には子の加算が含まれ、遺族厚生年金は在職中の死亡として300月とみなして計算しています。
段階3の中高齢寡婦加算(年63万5500円)は、遺族厚生年金に上乗せされる加算です。遺族厚生年金の受給権がなくなると、加算も受け取れなくなります。なお、子に支給される年金の扱いは、この例に含まれていません。個別のケースは、年金事務所で確認してください。
2.2 養子縁組は「直系血族・直系姻族」の養子なら、失権の事由に当たらない
養子縁組については、「直系血族または直系姻族以外の方の養子となったとき」が失権の事由です。直系血族(親・祖父母・子・孫など)や、直系姻族(配偶者の親など)の養子になる場合は、この事由に該当しません。
たとえば、子が受給権者の場合、「配偶者以外の養子となったとき」や、「直系血族または直系姻族以外の方の養子となったとき」が事由に挙げられています。再婚や、再婚相手との養子縁組を考えるときは、事前に年金事務所へ相談しておくと安心です。