厚生労働省は毎年11月30日(いいみらい)を「年金の日」とし、11月を日本年金機構と協力した「ねんきん月間」にしています。年金の日は、ねんきんネットなどで自分の年金記録や受給見込額を確かめ、老後の生活設計を考えてもらう日と位置づけられています。
転職のあいだに数か月休んだ、早期退職して60歳まで少し間が空いた、という人は、その空白期間で年金がどのくらい減るのか気になっているのではないでしょうか。
この記事では、国民年金保険料を納めていない空白期間があると老齢基礎年金がいくら減るかを試算し、会社員だった人が気をつけたい点と、60歳からの任意加入で取り戻せる額を整理します。
1. 空白期間があると老齢基礎年金はいくら減る?1年で年約2万1182円、5年なら年10万5912円
老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年(480か月)のうち、保険料を納めた月数で金額が決まります。日本年金機構によると、令和8年度の満額は月7万608円(昭和31年4月2日以後生まれ)です。
納めた月数が480か月に足りない分だけ、満額から減ります。国民年金保険料を納めていない空白期間ごとに、減る額を試算しました。
- 空白期間6か月:月約883円、年約1万591円減る
- 空白期間1年:月約1765円、年約2万1182円減る
- 空白期間3年:月約5296円、年約6万3547円減る
- 空白期間5年:月8826円、年10万5912円減る
空白期間が1年あると、老齢基礎年金は年約2万1182円少なくなります。65歳から受け取るあいだずっと続くため、20年受け取れば差は単純計算で40万円を超えます。
※試算の前提:令和8年度の満額(月7万608円)×空白の月数÷480で計算。空白期間は保険料が未納で、免除や納付猶予を受けていないものとしています。実際の年金額は年度ごとに改定されます。
2. 会社員だった人の空白期間は何が減る?老齢基礎年金に加えて、老齢厚生年金の上乗せもつかない
会社員として厚生年金に入っていた期間は、老齢基礎年金の納付月数に数えられ、さらに老齢厚生年金が上乗せされます。会社を辞めて次の会社に入るまでの期間は、この両方が止まります。
老齢厚生年金のうち報酬比例部分は、2003年4月以降の加入期間について「平均標準報酬額×5.481÷1000×加入月数」で計算されます。平均標準報酬額が30万円の人なら、加入期間が1年短くなるだけで年約1万9732円の上乗せがなくなる計算です。
- 老齢基礎年金:空白1年で年約2万1182円減る
- 老齢厚生年金(平均標準報酬額30万円の場合):空白1年で年約1万9732円の上乗せがなくなる
会社員の空白期間が1年あると、2つの年金を合わせて年4万円ほど少なくなる計算です。「少しくらい空白があっても問題ない」と考えていると、思ったより差が開いている場合があります。
日本年金機構によると、会社を退職してしばらく次の会社に入らない期間は、国民年金第1号被保険者の手続きをして保険料を納める必要があります。退職して配偶者の健康保険の被扶養者になる場合は、第3号被保険者の手続きをします。
※老齢厚生年金の試算は、平成15年4月以降の加入期間の報酬比例部分のみで計算。実際の年金額は加入記録や生年月日によって変わります。
3. 未納と免除・猶予は何が違う?全額免除なら年金額は2分の1、10年以内なら追納もできる
収入が減って保険料を納めるのが難しい期間は、免除や納付猶予を申請できます。手続きをしないまま未納にしておく場合と比べると、年金への反映が違います。
- 未納:老齢基礎年金の額に反映されず、受給資格期間にも数えられない
- 全額免除:2009年4月分以降は、全額を納めた場合の2分の1で年金額を計算する
- 納付猶予:受給資格期間には数えられるが、年金額には反映されない
免除や納付猶予を受けた期間の保険料は、10年以内であれば申し出て後から納める(追納する)ことができます。追納すると、老齢基礎年金を満額に近づけられます。
空白期間の保険料が納められていない場合も、まずは未納なのか、免除・納付猶予の期間なのかを確かめておくことが出発点になります。
次のページでは、60歳からの任意加入で空白期間を埋めると、払った保険料を何年で取り戻せるかを試算します。