3. 2027年度の介護報酬改定に向けた訪問介護の論点
2026年10月19日の社会保障審議会介護給付費分科会では、2027年度の介護報酬改定に向けて、訪問介護などの訪問系サービスが議題になりました。厚生労働省が示した資料から、主な論点を見ていきます。
3.1 訪問介護の収支差率は9.6%
資料によると、2024年度決算での訪問介護の収支差率は9.6%でした。訪問介護の請求事業所数は3万5497事業所で、2020年以降は少しずつ増えています。
一方で、これまでの分科会では、全国平均だけで経営が安定しているとは判断できないという意見も出ています。立地や規模、同じ建物の利用者にまとめて訪問しているかどうかで、収支の状況は違うためです。
3.2 移動のコストを反映した報酬区分を検討
集合住宅などへの訪問は移動の負担が少ない一方、中山間地域や人口が減っている地域では、利用者の家が離れていて移動に時間がかかります。厚生労働省は対応案として、いまの同一建物減算に代えて、移動のコストやサービスの提供の実態を反映した報酬区分に見直すことを示しました。
また、サービス提供責任者が利用者の状態を確かめに訪問した場合や、オンラインで面談した場合を評価する仕組みも検討するとしています。いずれも対応案の段階で、新しい報酬区分の単位数はまだ示されていません。
3.3 大臣は「他職種と遜色のない処遇改善」
翌日の10月20日の記者会見で、上野大臣は2027年度の定例改定について、介護分野の賃上げや経営の安定、離職防止、人材確保を図る必要があると述べました。あわせて「当然、負担の観点も大切ですが、他職種と遜色のない処遇改善の実現を図っていくことが重要」としています。
2027年度の改定率は、まだ決まっていません。介護報酬が上がれば利用者の自己負担も同じ割合で増えるので、決まった時点で自分の利用回数に当てはめて確かめたいところです。
4. 訪問介護の自己負担を手元で確かめる書類
ここまでの試算は、1単位10円の地域で、処遇改善加算のほかに加算がない場合の目安です。実際の負担は、手元の書類で確かめられます。
4.1 負担割合は介護保険負担割合証
自己負担が1割か2割か3割かは、市区町村から届く介護保険負担割合証に書かれています。試算の表のどの列が自分に当たるかは、この証で分かります。
4.2 単位数と加算は重要事項説明書と請求書
事業所と契約するときに受け取る重要事項説明書には、サービスごとの料金と、事業所が取っている加算が載っています。毎月の請求書や領収書の内訳と見比べると、どの加算がいくらかかっているかが分かります。
ケアプランを作るケアマネジャーからは、毎月のサービスの予定を記したサービス利用票を受け取ります。回数や時間を変えたいときは、負担がいくら変わるかもあわせてケアマネジャーに確かめておくと安心です。
5. まとめにかえて
訪問介護の自己負担は、身体介護や生活援助の単位数に、1単位の単価と負担割合をかけて決まります。2026年6月の期中改定で処遇改善加算が上がり、身体介護を月8回使う1割負担の人なら、加算Ⅰイの事業所で月3932円が目安です。
2027年度の定例改定では、移動のコストを反映した報酬区分などが検討されています。負担割合は介護保険負担割合証で、単位数と加算は重要事項説明書や請求書で、今後の負担の見通しは担当のケアマネジャーや市区町村の介護保険の担当窓口で確かめられます。
参考資料
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定の概要」
- 厚生労働省「第271回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)資料」
- 厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会(第271回)資料1 訪問介護」
- 厚生労働省「上野大臣会見概要(令和8年10月20日)」
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」
太田 彩子