ホームヘルパーが自宅に来て、入浴や食事、掃除などを手伝う訪問介護。毎月の請求書を見て、1回あたりいくら払っているのか気になる人もいるでしょう。

介護サービスの値段にあたる介護報酬は、2026年6月に期中改定が行われました。厚生労働省によると改定率はプラス2.03%で、訪問介護では介護職員等処遇改善加算の加算率が引き上げられています。

この記事では、訪問介護の自己負担の計算のしかたと、改定の前後で月の負担がいくら変わったかを試算します。

1. 【介護保険の訪問介護】自己負担は「単位数×1単位の単価×負担割合」

介護保険のサービスの費用は、円ではなく「単位」で決められています。単位数に1単位の単価をかけた額のうち、1割から3割が利用者の負担です。

1.1 身体介護と生活援助で単位数が違う

訪問介護は、入浴や排せつ、食事の介助などの「身体介護」と、掃除や洗濯、調理などの「生活援助」に分かれます。どちらも、1回のサービスにかかる時間で単位数が決まります。

訪問介護の身体介護は30分以上1時間未満で1回387単位、1単位10円の地域なら1割負担は387円1/2

訪問介護の基本の単位数を、身体介護と生活援助の時間区分ごとに並べた一覧表。身体介護は20分未満163単位、20分以上30分未満244単位、30分以上1時間未満387単位、1時間以上567単位。生活援助は20分以上45分未満179単位、45分以上220単位。1単位10円の地域での1割負担の目安も併記

出所:厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会(第271回)資料1 訪問介護」をもとにLIMO編集部作成

  • 身体介護(20分未満):163単位
  • 身体介護(20分以上30分未満):244単位
  • 身体介護(30分以上1時間未満):387単位
  • 身体介護(1時間以上):567単位に30分を増すごとに82単位
  • 生活援助(20分以上45分未満):179単位
  • 生活援助(45分以上):220単位

身体介護に続けて生活援助を受けたときは、時間に応じて65単位から195単位が加わります。夜間や早朝、深夜のサービスにも、決まった割合の加算があります。

1.2 1単位の単価は地域で10円から11.40円

1単位の単価は、事業所がある地域の人件費の差を反映して、10円から11.40円まで分かれています。単価が10円の地域なら、387単位の身体介護は3870円で、1割負担の人は387円を払う計算です。

2. 2026年6月の期中改定で処遇改善加算が上がった

介護報酬は3年ごとに見直されますが、2026年度は次の定例改定を待たずに期中改定が行われました。介護職員の賃上げにあてる介護職員等処遇改善加算が、その中心です。

2.1 改定率はプラス2.03%

厚生労働省の資料によると、改定率はプラス2.03%で、うち処遇改善の分がプラス1.95%です。介護職員だけでなく介護従事者を対象に月1万円の賃上げを行い、生産性向上などに取り組む事業所の介護職員には月7000円を上乗せする措置です。

処遇改善加算は6月から拡充され、8月からは介護保険施設などの食費の基準費用額も1日100円引き上げられました。訪問看護や居宅介護支援など、これまで処遇改善加算がなかったサービスにも新しく設けられています。

2.2 訪問介護の加算Ⅰは24.5%から27.0%に

処遇改善加算は、サービスの総単位数に、サービスごとに決まった加算率をかけて計算します。訪問介護の加算率は最も高い区分で24.5%でしたが、2026年6月からは加算Ⅰイが27.0%、上乗せの区分の加算Ⅰロが28.7%になりました。

この加算も介護報酬の一部なので、利用者は加算を含めた額の1割から3割を負担します。事業所がどの区分の加算を取っているかで、同じサービスでも自己負担は変わるのです。

例)身体介護(30分以上1時間未満)を月8回使う場合、1割負担は3855円から3932円に2/2

訪問介護の身体介護30分以上1時間未満(387単位)を月8回、1単位10円の地域で使った場合の自己負担の試算表。処遇改善加算24.5%(改定前の加算Ⅰ)では1割3855円・2割7710円・3割1万1565円、27.0%(加算Ⅰイ)では1割3932円・2割7864円・3割1万1796円、28.7%(加算Ⅰロ)では1割3985円・2割7970円・3割1万1955円

出所:厚生労働省「令和8年度介護報酬改定の概要」、厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会(第271回)資料1 訪問介護」をもとにLIMO編集部作成

  • 改定前の加算Ⅰ(24.5%):1割3855円、2割7710円、3割1万1565円
  • 2026年6月からの加算Ⅰイ(27.0%):1割3932円、2割7864円、3割1万1796円
  • 2026年6月からの加算Ⅰロ(28.7%):1割3985円、2割7970円、3割1万1955円

387単位を8回で3096単位になり、加算Ⅰイなら836単位が加わって3932単位です。1単位10円の地域では3万9320円で、1割負担の人は改定前より月77円多く払う計算になります。

訪問介護の自己負担は、単位数に1単位の単価と負担割合をかけて決まり、処遇改善加算の分も含まれます。2026年6月からは訪問介護の加算Ⅰイが27.0%になり、身体介護を月8回使う1割負担の人なら月3932円が目安です。

自分がどの加算の対象になっているかは、事業所から受け取る重要事項説明書の料金表や、毎月の請求書の内訳で確かめられます。

ここからは、2027年度の定例改定に向けて10月19日の審議会で示された訪問介護の論点と、利用者が手元で確かめたい書類を見ていきます。