3. 50円玉の発行枚数は令和に入って減っている?令和4年から令和7年は毎年約60万枚未満で、昭和62年より少ない
令和の50円玉の発行枚数は、令和3年から大きく減っています。
- 【令和元年】約4250万枚
- 【令和2年】約5843万枚
- 【令和3年】約913万枚
- 【令和4年】約57.4万枚
- 【令和5年】約46.3万枚
- 【令和6年】約51.1万枚
- 【令和7年】約59.5万枚
令和4年から令和7年までは4年続けて、昭和62年の約77.5万枚を下回っています。平成31年も約111.8万枚と少なく、令和元年に改元したあとの約4250万枚とは大きな差があります。
貨幣は、財務大臣が定める製造計画に従って造幣局が製造します。財務省「令和8年度貨幣製造計画」では、50円玉は100万枚で、10円玉の2億枚の200分の1、1円玉の2000万枚の20分の1です。
なお、発行枚数は硬貨の数の少なさを示す統計で、取引される値段を示すものではありません。
4. 50円玉のエラー硬貨とは?製造の過程で生じた不良品で、造幣局は検査で取り除いている
エラー硬貨は、穴の位置がずれたものなど、製造の過程で生じた不良品です。造幣局「貨幣の製造工程」によると、表と裏の模様とギザを付けたあとに模様を検査し、キズのある貨幣などの不合格品を取り除いています。
このため、エラー硬貨が財布に入ってくることはまれです。一方で、硬貨に手を加えることは法律で禁じられています。貨幣損傷等取締法の定めは次のとおりです。
- 【第1項】貨幣を損傷し、または鋳つぶしてはならない
- 【第2項】貨幣を損傷し、または鋳つぶす目的で集めてはならない
- 【第3項】違反した場合は、1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金
50円玉の穴を広げたり、表面を削ったりすることは、この法律が禁じる損傷にあたるおそれがあります。エラー硬貨に見えるように手を加えることも同じです。
5. 財布の50円玉が発行枚数の少ない年に当たる割合は?製造枚数の割合で見ると約990枚に1枚
発行枚数が少ない年の50円玉が、製造枚数の合計の中でどれくらいの割合になるかを試算すると、次のとおりです。
- 【100万枚未満の9つの年の合計】約510万枚、製造枚数の合計の約0.10%(約990枚に1枚)
- 【昭和62年】約0.015%(約6509枚に1枚)
- 【令和5年】約0.009%(約1万895枚に1枚)
財布の中の50円玉を1000枚近く集めて、ようやく1枚当たるかどうかという割合です。昭和62年に限ると、約6500枚に1枚になります。
※試算の前提:昭和42年から令和7年までの50円玉の製造枚数の合計(約50億4433万枚)に対する割合です。仮に、製造された50円玉が年ごとの製造枚数の割合どおりに出回っているとした場合の数字で、実際に出回っている割合は、回収や保管の状況などにより年ごとに異なります。
6. 【元FP会社職員の視点】検証:50円玉の発行枚数が少ない年は、昭和62年だけではない
家計の数字を見るときは、金額や枚数そのものより、全体のうちどれくらいの割合かで捉えると、落ち着いて判断できます。今回の試算からは、3つのことが読み取れます。1つは、発行枚数が100万枚に届かない年が、昭和62年のほかに8つあることです。平成22年から平成25年、令和4年から令和7年は、いずれも昭和62年より少なくなっています。
2つ目は、発行枚数が少ない年は、何年か続けて現れることです。昭和60年から昭和62年、平成12年から平成25年、令和3年から令和7年は、通常の年を大きく下回っています。貨幣は財務大臣が定める製造計画に従って作られるため、その時期の計画が年ごとの枚数に表れます。
3つ目は、発行枚数が少ない年の50円玉を合わせても、製造枚数の合計の約0.1%にとどまることです。財布の50円玉の年号を見て、発行枚数が少ない年に当たることはまれです。
ただし、発行枚数は数の少なさを示す統計で、値段を決めるものではありません。エラー硬貨も、造幣局の検査で取り除かれるため、出回ることはまれです。
手元の50円玉の年号が気になったときは、造幣局の「年銘別貨幣製造枚数」で、その年の発行枚数を確かめてみてください。硬貨は削ったり穴を広げたりせず、そのままの状態で扱いましょう。
7. まとめ
50円玉が高額になるのは、発行枚数が特に少ない年とエラー硬貨に限られます。造幣局の統計では、昭和62年の約77.5万枚は通常の年の約60分の1、平成23年の約45.6万枚は約102分の1、令和5年の約46.3万枚は約101分の1でした。
発行枚数が100万枚に届かない年の50円玉は、製造枚数の合計の約0.1%です。財布に入っている50円玉のほとんどは、額面どおりの50円玉です。私自身も、気になる数字は一次資料で確かめてから受け止めるようにしています。手元の50円玉も、造幣局の統計で年号を確かめたうえで、硬貨には手を加えず、ふだんどおり使っていきましょう。
※本記事の数字は、造幣局の製造枚数をもとにした概算です。硬貨が取引される値段を示すものではありません。貨幣の扱いに関する法律は、e-Gov法令検索の条文でご確認ください。
参考資料
下村 美乃莉