新しい給付「就業者負担軽減支援金」を盛り込んだ法律案が、2026年10月9日に国会へ提出されました。10月20日には衆議院で審議に入り、財務金融委員会に付託されています。

9月15日に閣議決定された大綱によると、支援金は中低所得の人に年1回、個人単位で支給する仕組みです。法律案の施行日は2027年4月1日で、同じ日から飲食料品の消費税率も1%に下がります。

ただし、所得が少なければ誰でも受け取れる給付ではありません。対象は「働いて税・社会保険料を負担している人」で、年金だけで暮らしている人は要件を満たさない一方、65歳を過ぎても働いている人は対象に入りえます。

この記事では、大綱と法律案をもとに、支援金の対象になる3つの要件と支援額の決まり方、受け取るときの手続きを確認します。

1. そもそも就業者負担軽減支援金とは?2027年4月1日の施行をめざす、働く人向けの年1回の給付

就業者負担軽減支援金は、中低所得で働いている人の税・社会保険料の負担を軽くし、手取りを増やすための給付です。いわゆる「年収の壁」による働き控えを和らげることも目的に入っています。

大綱は、この支援金を本格的な「給付付き税額控除」を導入する第一歩と位置づけています。2027年度と2028年度は、飲食料品の消費税率の引下げと組み合わせて始め、2029年度に本格導入する計画です。

  • 飲食料品の消費税率:2027年4月1日から2029年3月31日まで、地方消費税と合わせて1%
  • 支援金の支給:毎年1回、市町村が認定して支払う
  • 2027年度・2028年度の支援金の規模:全体の費用が飲食料品の消費税1%相当分の範囲

支給は世帯単位ではなく個人単位です。夫婦がともに働いていれば、1人ずつ要件を満たすかどうかが判定されます。

2. 対象になるのは誰?要件は3つ、年金だけで暮らす人は「勤労所得」の要件で外れる

大綱は支給要件を4つ定めていますが、2027年度と2028年度に支給する分は①から③の3つで判定します。④の配偶者の所得は、この2年度は要件に入りません。

就業者負担軽減支援金の支給要件(法律案・2027年度と2028年度の支給分)1/2

就業者負担軽減支援金の支給要件は、①勤労所得が所得下限額を超える、②前年の合計所得金額が所得上限額以下、③住民税額をもとに算定した額と社会保険料控除額の合計から公的年金等の収入額を差し引いた額が純負担基準額を超える、④配偶者の所得は2027年度・2028年度は要件に入らない。基準の額はいずれも政令で定めるため未定。年金だけで暮らし、働いた収入がない人は①の要件を満たさない

出所:「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」(2026年9月15日閣議決定)をもとにLIMO編集部作成

①の勤労所得は、前年の給与収入に応じて算定した額と、一定額を超える事業所得・業務に係る雑所得の合計です。年金は勤労所得に含まれないため、年金だけで暮らしている人はこの要件を満たしません。

③では、住民税と社会保険料の負担から公的年金等の収入額を差し引いて判定します。年金の受給額が大きく、働いて負担している税・社会保険料が少ない人も、対象から外れやすい形です。

一方で大綱は、就労し、税・社会保険料の負担が現役並みである中低所得の高齢者も対象とするとしています。年齢で区切る要件はなく、働いて給与を受け取っているかどうかが分かれ目になります。

②の所得上限額は、16歳未満の扶養親族の有無と数に応じて変わります。①から③の基準の額はどれも政令で定めることになっていて、今の時点では決まっていません。

3. 支援額はいくら?1000円単位で、単身なら給与収入「119万円」の水準が定額の区間の目安に

支援額は、前年の所得と、扶養している子どもの有無・数に応じて政令で定めます。1000円単位で、端数は切り上げです。

大綱が示している支援額の形は、勤労所得が増えるにつれて3つの区間に分かれます。

  • 定額の区間:勤労所得が「逓増開始額」以下の人は、同じ額
  • 増えていく区間:逓増開始額を超えると、一定の水準まで支援額が一定の割合で増える
  • 減っていく区間:合計所得金額が「逓減開始額」を超えると、一定の割合で減る

逓増開始額は、住民税の所得割が課される水準を踏まえて定めるとされています。大綱には、単身者の所得割の非課税限度額として「所得45万円(給与収入119万円)」が書かれています。

いわゆる「年収の壁」に直面した人には、壁が解消するまでの時限措置として就業促進特例加算もあります。対象の目安は、被用者保険の短時間労働者の適用ラインである給与収入106万円から、手取りが回復する水準までです。

大綱は、国民年金の第3号被保険者が年収130万円で第1号被保険者になった場合、手取りが回復するのは年収約160万円程度としています。子どもを扶養している人には、こども加算も上乗せされます。

1人あたりの金額は、政令が出るまで分かりません。法律案が成立しても、額が決まるまでは試算ができない点は押さえておきたいところです。