病院で診察を受けたあと、薬局で薬を受け取るという流れは、多くの人にとって身近なものではないでしょうか。厚生労働省が2026年10月27日に公表した「令和7年度衛生行政報告例」によると、全国の薬局は2025年度末時点で6万3417施設でした。前年度から214施設増えています。
一方、2026年8月28日に公表された「令和7年度 調剤医療費(電算処理分)の動向」では、2025年度の処方箋は8億8669万枚で、前年度から1.1%減りました。調剤医療費は8兆7242億円で3.8%増え、処方箋1枚あたりでは9839円と5.0%増えています。
本記事では、薬局の数と地域差を確認し、処方箋1枚あたりの調剤医療費とその内訳、窓口負担の割合別の計算例を見ていきます。
1. 薬局は全国に6万3417施設。人口10万人あたりは51.6施設
まずは、衛生行政報告例から、薬局の数を確認します。ここでいう薬局は、薬剤師が調剤や、薬の適正な使用に必要な情報提供・指導を行う場所で、病院や診療所の調剤所は含みません。
1.1 2025年度末は6万3417施設で、前年度から214施設増えた
2025年度末時点の薬局数は6万3417施設で、前年度の6万3203施設から214施設(0.3%)増えました。
都道府県別に増減を見ると、増えたのは埼玉県(49施設)、大阪府(40施設)、愛知県(32施設)、東京都(31施設)などです。減ったのは北海道(25施設)、秋田県と茨城県(各13施設)などでした。
1.2 人口10万人あたりは佐賀県65.8施設が最多、沖縄県39.6施設が最少
人口10万人あたりの薬局数は全国で51.6施設です。最も多いのは佐賀県の65.8施設で、山梨県の61.6施設、山形県と高知県の61.3施設が続きます。最も少ないのは沖縄県の39.6施設で、千葉県の43.3施設、埼玉県の45.1施設が続きます。
2. 処方箋は8億8669万枚に減り、1枚あたりの調剤医療費は9839円に増えた
次に、調剤医療費の動向から、薬局で受け付けた処方箋の枚数と医療費を見ていきます。調剤医療費は、薬局の調剤報酬明細書に記録された点数を金額にしたもので、患者の自己負担分も含みます。
2.1 調剤医療費は8兆7242億円で、前年度から3.8%増えた
2025年度の調剤医療費は8兆7242億円で、前年度の8兆4008億円から3.8%増えました。処方箋の枚数(受付回数)は8億8669万枚で、前年度の8億9634万枚から1.1%減っています。
処方箋1枚あたりの調剤医療費は9839円で、前年度の9372円から5.0%増えました。
2.2 1枚あたりの内訳は、薬剤料7144円、技術料2676円
処方箋1枚あたり9839円の内訳は、薬の代金にあたる薬剤料が7144円(5.7%増)、薬局の調剤や指導などにあたる技術料が2676円(3.2%増)、特定保険医療材料料が19円です。
薬剤料のうち、注射薬は918円で、前年度から23.8%増えました。
3. LIMO編集部の計算例:1枚9839円なら、窓口3割で約2952円
処方箋1枚あたりの調剤医療費をもとに、窓口で支払う金額の目安を計算します。
3.1 前提は2025年度の平均9839円と、窓口負担の割合1割・2割・3割
LIMO編集部の計算例として、2025年度の処方箋1枚あたりの平均調剤医療費9839円に、窓口負担の割合をかけた金額を単純計算で示します。実際の金額は、処方される薬の種類や日数、薬局によって変わります。
9839円は、技術料と薬剤料などを合わせた金額で、医療保険から支払われる分と、窓口で支払う自己負担分の両方を含みます。
3.2 3割負担で約2952円、2割負担で約1968円、1割負担で約984円
9839円の3割は約2952円、2割は約1968円、1割は約984円です。
年齢別に見ると、処方箋1枚あたりの調剤医療費は0歳以上5歳未満の3824円が最も低く、75歳以上80歳未満の1万1256円が最も高くなっています。1万1256円の1割は約1126円、2割は約2251円です。
処方箋の枚数は減少した一方で、1枚あたりの調剤医療費は増加しており、薬代や調剤料が家計に与える影響は小さくありません。定期的に通院している人は、薬局の領収証やお薬手帳を見直しながら医療費の状況を把握し、働き方や家計管理の参考にしてみるとよいでしょう。
ここからは、医療保険の制度別に見た調剤医療費と、後発医薬品の使用割合を見ていきます。