5. 私立高校の授業料以外の自己負担を軽くする支援は?高校生等奨学給付金は年収の目安が490万円未満の世帯などが対象

授業料以外の自己負担には、国と都道府県の「高校生等奨学給付金」があります。教科書費や教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費など、授業料以外の教育費を支援する返済不要の給付金です。

文部科学省の令和9年度概算要求の資料に示された令和8年度の給付額(私立高校・全日制等)は、次のとおりです。

  • 【生活保護を受けている世帯】年5万2600円
  • 【住民税非課税世帯(年収の目安270万円未満)】年15万2000円
  • 【年収の目安270万〜380万円の世帯】年5万670円
  • 【年収の目安380万〜490万円の世帯】年3万8000円

年収の目安は、両親のどちらか一方が働き、高校生1人と中学生1人がいる4人世帯の場合です。申請はお住まいの都道府県または学校で行い、手続きの時期は都道府県ごとに異なります。

なお、文部科学省は令和9年度概算要求で、学習者用端末の購入費相当額の支援や、新入生への給付時期を早める仕組みを検討するとしています。実際にどうなるかは、今後の予算と制度の決定によります。

6. 【元FP会社職員の視点】検証:私立高校の自己負担で、所得制限の撤廃が軽くしたのは授業料の部分

今回の試算からは、3つのことが読み取れます。1つは、私立高校の学校教育費のうち、授業料が占める割合は33.5%にとどまることです。残りの約3分の2は授業料以外で、国の就学支援金の対象になりません。

2つ目は、子供の学習費調査が令和5年度、つまり所得制限の撤廃より前の調査だということです。今後の調査で授業料の自己負担は減ると見込まれますが、通学関係費や学校納付金等などの授業料以外は、この制度の改正では変わりません。

3つ目は、公立高校との差です。授業料以外の自己負担は、私立高校が公立高校の約1.8倍で、3年間の差は約74万円でした。さらに、塾や習い事などの学校外活動費は、私立高校で年34万6611円、公立高校で年24万5431円あり、これは今回の試算に含めていません。

年額のままだと大きく見える費用も、月に直すと見え方が変わります。授業料以外の自己負担は、私立高校で月約4.6万円、公立高校で月約2.6万円です(年額を12か月で割った概算)。私自身、NISAで少額から積み立ててきた経験からも、大きな支出は「月いくら」に置き換えて備えるほうが、無理なく続けやすいと感じています。

ただし、これらはいずれも平均の値です。通学の距離、制服や指定品の有無、修学旅行の行き先、部活動の内容によって、授業料以外の自己負担は家庭ごとに大きく変わります。

私立高校を考えるときは、「授業料がいくら支援されるか」だけでなく、学校の募集要項や説明会で示される授業料以外の納付金と、通学にかかる費用を合わせて確かめてみてください。正解は一つではありませんので、ご家庭の状況に合わせて、3年間の自己負担をつかむところから始めてみましょう。

7. まとめ

2026年4月から、私立高校の授業料を支援する就学支援金は所得制限がなくなり、上限は年45万7200円になりました。授業料が全国平均程度なら、授業料の自己負担はほぼなくなります。一方、東京都のように平均授業料が国の上限を上回る地域では、都道府県の上乗せ支援を合わせて確かめることになります。

授業料以外の自己負担は、私立高校で年約55.3万円、3年間で約166万円と、公立高校の約92万円を大きく上回ります。入学時には入学料と施設整備費等で約32.3万円がかかります。授業料の支援とは別に、授業料以外の費用を月に直して見込んでおくと、無理のない金額から準備を始めやすくなるのではないでしょうか。

※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の授業料や授業料以外の費用は、学校や地域、通学方法、学年などにより異なります。就学支援金や都道府県の支援の対象・金額は在学予定の学校やお住まいの都道府県、文部科学省の案内でご確認ください。

参考資料

下村 美乃莉