4. 生前贈与の暦年課税と相続時精算課税は、毎年300万円の贈与でどちらが加算額と贈与税の負担が小さい?加算額は約100万円の差、贈与税は10年で約190万円と0円
- 【暦年課税】贈与税は10年で約190万円。2033年の相続での加算額は約2000万円
- 【相続時精算課税】贈与税は10年で0円。2033年の相続での加算額は約1900万円
暦年課税は、7年より前の贈与が加算されず、100万円の控除もあります。相続時精算課税は、年ごとに基礎控除を引いた残りが加算される一方、贈与税は特別控除の範囲内なら0円です。どちらの数字も、贈与を始めた年と相続の年で変わります。
5. 生前贈与の7年持ち戻しは、毎年の贈与額を変えると加算額がどう変わる?毎年250万円なら約1650万円、350万円なら約2350万円、450万円なら約3050万円
毎年の贈与額を変えて、2033年の相続での加算額と贈与税を試算します。前提は、2024年から10年間、同じ額を毎年1月に贈与した場合です。
- 【毎年250万円】暦年課税は贈与税が年約14万円で、加算額は約1650万円。相続時精算課税は贈与税0円で、加算額は約1400万円
- 【毎年350万円】暦年課税は贈与税が年約26万円で、加算額は約2350万円。相続時精算課税は贈与税0円で、加算額は約2400万円
- 【毎年450万円】暦年課税は贈与税が年約41万円で、加算額は約3050万円。相続時精算課税は、10年分の課税価格が3400万円で特別控除を超え、超えた900万円に20%がかかり贈与税は約180万円。加算額は約3400万円
毎年300万円までは、相続時精算課税の加算額のほうが小さくなります。毎年350万円では、暦年課税と相続時精算課税の加算額がほぼ並び、逆転します。10年間の贈与という前提のため、年数が短くなれば結果は変わります。
6. 【元FP会社職員の視点】検証:贈与は「贈与税がいくらか」だけでなく「相続でいくら数えられるか」も並べてみましょう
FP会社でマネーセミナーの運営補助をしていた頃も、贈与の話題では、贈与税の額に関心が集まりやすいと感じていました。
今回の試算で見えたのは、毎年300万円の贈与では、贈与税の負担と相続での加算額が、暦年課税と相続時精算課税で別々に動くことです。贈与税は暦年課税で約190万円、相続時精算課税で0円でした。一方、加算額は約2000万円と約1900万円で、差は約100万円でした。
贈与額を変えると、順番も入れ替わります。毎年350万円では、加算額が暦年課税より相続時精算課税のほうが大きくなりました。一つの数字だけで選ばず、贈与税と加算額を並べて見てみてください。
私自身も、NISAを7年以上続ける中で、制度の期間や条件が途中で変わることを実感してきました。贈与も制度が見直されることがあるため、始める前や続ける途中で、最新の内容を国税庁の資料で確認してみてください。
贈与は、親の老後資金やご家族の状況によって、正解は一つではありません。無理のない範囲で、ご家族で話し合うところから始めていきましょう。
7. まとめ
毎年300万円を2024年から贈与した場合、2033年の相続での加算額は、暦年課税で約2000万円、相続時精算課税で約1900万円でした。贈与税は、10年で暦年課税が約190万円、相続時精算課税が0円です。
贈与額や年数が変わると、結果は変わります。贈与を決める前に、国税庁の資料や専門家への相談で、ご自身の前提に当てはめて確かめてみてください。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の贈与税・相続税の取り扱いは、財産の内容やご家族の状況で異なります。税理士や税務署などでご確認ください。
参考資料
- 国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」
- 国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択」
- 国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」
- 国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」
下村 美乃莉