外出前や寝る前に家電のコンセントを抜くと、待機電力の電気代はどれくらい減るのでしょうか。待機電力は家電を使っていないときにも流れている電気で、1年分を合わせると、電気代として気になる額になります。
ここでは、資源エネルギー庁が家庭の待機電力を調べた調査をもとに、待機電力の年間の電気代と、主電源を切った場合・コンセントを抜いた場合にそれぞれいくら減るかを試算します。あわせて、待機電力が多い家電と、ほかの節電の方法で減る電気代も比べます。
電気代の単価は、家電のカタログなどで使われている目安単価の1kWhあたり31円で計算します。
※待機電力の量は、資源エネルギー庁「平成24年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(待機時消費電力調査)報告書概要」の推計です。単価の31円は、全国家庭電気製品公正取引協議会の新電力料金目安単価(税込、2022年7月改定)です。
1. 待機電力の電気代は年間いくら?1世帯あたり年228kWhで約7100円、家庭の電気の5.1%
家庭の電気に占める待機電力(1世帯あたり年間)1/3
出所:資源エネルギー庁「平成24年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(待機時消費電力調査)報告書概要」、全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問」をもとにLIMO編集部作成
資源エネルギー庁の「待機時消費電力調査」によると、家庭の待機電力は1世帯あたり年228kWhと推計されています。同じ調査で集計した1世帯あたりの電気の使用量は年4432kWhで、待機電力はその5.1%にあたります。
- 【待機電力】年228kWh、電気代は年約7100円(月約590円)
- 【家庭の電気全体】年4432kWh、電気代は年約13.7万円
待機電力の電気代は、家庭の電気代全体の約20分の1です。毎月の電気代のうち約590円が、使っていない家電の分という計算になります。
※試算の前提:電気代=電気の使用量(kWh)×31円。待機電力の量は2012年度の調査時点の推計で、いま使われている家電とは異なる場合があります。
2. 待機電力が多い家電は?ガス給湯器が約2割で年約1300円、テレビは約700円
待機電力が多い家電の割合と年間電気代2/3
出所:資源エネルギー庁「平成24年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(待機時消費電力調査)報告書概要」、全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問」をもとにLIMO編集部作成
同じ調査では、家庭の待機電力のうち、どの家電の分が多いかも示しています。上位の家電の割合と、年228kWhにその割合をかけて試算した待機電力の電気代は次のとおりです。
- 【ガス給湯器など】19%、年約1300円
- 【テレビ】10%、年約700円
- 【冷暖房兼用エアコン】8%、年約570円
- 【電話機】8%、年約570円
- 【BD・HDD・DVDレコーダー】6%、年約420円
- 【温水洗浄便座】5%、年約350円
- 【パソコン】4%、年約280円
ガス給湯器はガスでお湯を沸かす機器ですが、操作パネルや制御のために電気を使い続けています。調査では、ガス給湯器とガス給湯付きふろがまをまとめて「ガス温水器」としています。
上位7つで待機電力の6割を占め、残りの4割は、電子レンジやインターホンなど、1台あたりの割合が小さい家電の積み重ねです。
3. コンセントを抜くと電気代は年間いくら減る?主電源オフで約1400円、抜ける機器を全部抜いて約3500円
待機電力の削減方法別、年間の電気の量と電気代3/3
出所:資源エネルギー庁「平成24年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(待機時消費電力調査)報告書概要」、全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問」をもとにLIMO編集部作成
資源エネルギー庁の調査は、使い方を変えたときに待機電力がどこまで減るかも推計しています。本体の主電源を切ることを徹底した場合と、それに加えて、コンセントを抜いても機能に支障が少ない家電は使わないときにコンセントを抜くことを徹底した場合の2つです。
- 【何もしない場合(2012年度の推計)】年228kWh、電気代は年約7100円
- 【主電源オフを徹底】年184kWh(19%減)、電気代は年約5700円で、年約1400円減る
- 【主電源オフに加えてコンセントを抜く】年116kWh(49%減)、電気代は年約3600円で、年約3500円減る
抜ける家電のコンセントを毎回すべて抜いても、減る電気代は年約3500円、月にすると約290円です。待機電力の約半分は、コンセントを抜けない家電や、抜かないほうがよい家電の分として残ります。
※試算の前提:待機電力の量は資源エネルギー庁「待機時消費電力調査」の推計(2012年度)、電気代の単価は1kWhあたり31円。コンセントを抜く場合には、節電タップなどで電気を完全に切る場合を含みます。
4. コンセントを抜く節電と比べると?電気ポットの保温をやめると1台で年約3300円
資源エネルギー庁の省エネポータルサイトは、家電ごとの省エネの方法と、それによって減る電気の量を示しています。単価31円で換算した電気代は次のとおりです。
- 【電気ポット】長時間使わないときはプラグを抜き、保温しない:年約3300円
- 【温水洗浄便座】使わないときはふたを閉める(貯湯式):年約1100円
- 【テレビ(50V型の液晶)】見る時間を1日1時間減らす:年約900円
- 【温水洗浄便座】便座の温度を「中」から「弱」に下げる(貯湯式):年約800円
電気ポットの保温をやめると、1台だけで年約3300円です。家じゅうの待機電力をコンセントを抜いて減らした場合の年約3500円と、ほぼ同じ額になります。電気ポットの保温は待機電力ではなく、お湯を温め続けるための電気です。
※電気ポットは、満タンの2.2Lを沸かして1.2Lを使ったあと6時間保温した場合と、保温せずに再沸騰させた場合の比較です。いずれも省エネポータルサイトの算出条件によります。
5. コンセントを抜かないほうがいい家電は?ガス給湯器・通信機器・録画予約をしたレコーダーなど
待機電力が最も多いガス給湯器を含め、コンセントを抜くと困る家電もあります。資源エネルギー庁の調査も、コンセントを抜くことには、コンセントの位置や使い勝手の問題に加え、機器によっては安全面や耐久性の問題があると注意しています。
- 【ガス給湯器など】冬に配管の凍結を防ぐ機能が働かなくなることがある
- 【ルーターなどの通信機器】通信が切れ、つなぎ直すまでに時間がかかる
- 【録画予約をしたレコーダー】予約した番組が録画されない
- 【電話機・インターホン】着信や来客に気づけない
こうした家電は、コンセントを抜くより、主電源の切り方や節電の設定を取扱説明書で確かめるほうが向いています。
6. 【検証】試算から見えること:待機電力は13年で約4割減り、テレビは設定で年約100円と約830円
今回の試算からは、2つのことが読み取れます。1つは、待機電力そのものが減ってきていることです。資源エネルギー庁の調査では、1世帯あたりの待機電力は、1999年度の年398kWhから2012年度は年228kWhへと約4割減りました。電気代に直すと、年約1.2万円から約7100円です。
同じ調査は、当時売られていた家電の待機電力も測っており、0Wや1W以下のものが多くなっていました。1Wの待機電力が1年続いた場合の電気代は、年約270円です。
もう1つは、同じ家電でも設定で待機電力が大きく変わることです。当時売られていたテレビの待機電力は、電源を入れるとすぐに映る「高速起動」の設定などを含めると3.04W、含めないと0.37Wでした。1年続いた場合の電気代は、年約830円と年約100円です。
ただし、この調査は2012年度に行われたもので、家電の種類や台数はその後も変わっています。いまの家庭の待機電力は、調査の推計より少ない可能性があります。
コンセントを抜く節電は、効果の大きい家電を選んで続けると、手間に対して電気代の減り方が分かりやすくなります。古い家電や高速起動の設定がある家電を見直し、電気ポットのように保温で電気を使う家電から始めるのも一つの方法です。
7. まとめ
待機電力の電気代は、1世帯あたり年約7100円です。コンセントを抜ける家電を全部抜いても減るのは年約3500円で、主電源を切るだけなら年約1400円です。
待機電力の約2割はガス給湯器の分で、コンセントを抜かないほうがよい家電もあります。電気代を減らすなら、待機電力だけでなく、電気ポットの保温や温水洗浄便座のふたなど、使っている時間の電気もあわせて見直してみましょう。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の電気代は、家電の機種や使い方、契約している料金プラン、燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金などにより異なります。家電の待機電力や、コンセントを抜いてよいかは、各製品の取扱説明書でご確認ください。