年金は原則65歳から受け取るものですが、生年月日によっては65歳になる前から厚生年金の一部を受け取れる人がいます。「特別支給の老齢厚生年金」です。男性はすでに対象となる生年月日の人が65歳を迎え終えましたが、女性にはこれから受け取り始める人がまだいます。
日本年金機構によると、令和8年に年金請求書が送られる対象には、63歳になる昭和38年4月2日から昭和39年4月1日生まれの女性が含まれています。厚生労働省年金局の事業の概況では、令和6年度末に厚生年金の老齢年金を受け取る権利がある63歳の女性は15.0万人、64歳の女性は16.4万人でした。
この記事では、女性の生年月日別の受給開始年齢と、63歳・64歳で受け取っている人の数と平均年金月額を確認します。
1. 特別支給の老齢厚生年金は、65歳への引上げに合わせた経過措置
はじめに、特別支給の老齢厚生年金がどんな年金で、誰が対象になるのかを確認します。
1.1 公的年金は2階建てで、65歳前に受け取れるのは厚生年金の部分
公的年金は、国民年金(基礎年金)を1階、厚生年金を2階とする2階建ての仕組みです。令和8年度の国民年金(老齢基礎年金)の満額は月7万608円で、受け取り始めるのは原則65歳からです。
特別支給の老齢厚生年金は、昭和60年の法律改正で厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられたことに伴い、段階的に年齢を上げていくために設けられた制度です。
1.2 男性は昭和36年4月1日以前、女性は昭和41年4月1日以前に生まれた人が対象
日本年金機構の「特別支給の老齢厚生年金」によると、受け取るには次の要件を満たす必要があります。
- 男性は昭和36年4月1日以前、女性は昭和41年4月1日以前に生まれたこと(共済組合等からの支給は女性も男性と同じ)
- 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があること
- 厚生年金保険等に1年以上加入していたこと
- 生年月日に応じた受給開始年齢に達していること
男性は対象となる生年月日の人がすでに65歳を迎えており、いま65歳になる前の特別支給の対象として残っているのは女性の一部です。
2. 女性の特別支給の老齢厚生年金は、生年月日で63歳か64歳から
受給開始年齢は生年月日に応じて段階的に引き上げられています。厚生労働省の資料にある女性の区分を確認します。
2.1 昭和37年4月2日〜昭和39年4月1日生まれは63歳、昭和39年4月2日〜昭和41年4月1日生まれは64歳
報酬比例部分の受給開始年齢と、その年齢に達する時期は次のとおりです。
- 昭和35年4月2日〜37年4月1日生まれ:62歳
- 昭和37年4月2日〜39年4月1日生まれ:63歳
- 昭和39年4月2日〜41年4月1日生まれ:64歳
- 昭和41年4月2日以後生まれ:65歳から老齢厚生年金(特別支給はない)
2.2 令和8年は、63歳になる昭和38年4月2日〜昭和39年4月1日生まれの女性に請求書が届く
日本年金機構の「老齢年金請求書の事前送付」では、令和8年に年金請求書を送る対象として、63歳になる昭和38年4月2日から昭和39年4月1日生まれの女性を挙げています。年金の加入期間が10年以上あり、厚生年金と共済組合の加入期間をあわせて1年以上ある方が対象です。
請求書は受給開始年齢に到達する3か月前から送付されます。
3. 63歳・64歳の女性で厚生年金の老齢年金を受け取る権利がある人は31万人あまり
事業の概況には、厚生年金保険(第1号)の老齢年金受給権者の数と平均年金月額が、年齢別・男女別に載っています。特別支給の受給開始年齢にあたる63歳・64歳を見ていきます。
3.1 63歳の女性は15.0万人で平均月5万9209円、64歳の女性は16.4万人で平均月5万5371円
令和6年度末の数字は次のとおりです。64歳の男性もあわせて並べました。
- 女性・63歳:15.0万人、平均5万9209円
- 女性・64歳:16.4万人、平均5万5371円
- 男性・64歳:35.7万人、平均9万6980円
特別支給の老齢厚生年金は、女性なら昭和41年4月1日以前生まれまでが対象で、昭和37年4月2日〜昭和39年4月1日生まれは63歳、昭和39年4月2日〜昭和41年4月1日生まれは64歳から受け取れます。令和6年度末に63歳・64歳で受け取る権利がある女性は、あわせて31.4万人でした。
自分が対象かどうかと受給開始年齢は、ねんきん定期便や、受給開始年齢の3か月前に届く年金請求書で確かめられます。
ここからは、請求しないと受け取れないことや、65歳になったときの手続きを見ていきます。