2027年3月から、市販薬と成分が同じ処方薬(OTC類似薬)を使うときは、薬剤費の4分の1を保険とは別に負担します。ただし、こどもや入院中の人など、この負担がかからない場合があります。2026年9月16日の厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会に示されたとりまとめ案で、その範囲が整理されました。

長く使う薬については、1年間の処方日数がおおむね50週(1年)という目安が示されました。ただし、少なくとも6か月程度の使用実績があり、その後も年間を通じた使用が必要と医師が判断すれば、1年に満たなくても負担の対象外にできます。一方、がんや指定難病の人でも、関連のない症状に使う薬は負担の対象です。

本記事では、負担がかからない人と場面を確認し、がんや指定難病の場合の取り扱いを整理し、抗アレルギー薬などを長く使う場合に負担がいくらになるかを計算します。

1. こども・生活保護・入院中は負担なし。こどもは18歳に達した後の3月31日まで

まずは、別の負担がかからない場合のうち、人や場面で決まるものを確認します。

1.1 こども、生活保護の医療扶助、国の公費負担医療は対象外

18歳に達する日以後の最初の3月31日までのこどもは、別の負担がかかりません。生活保護を受けている人が医療扶助を受ける場合も対象外です。

国の公費負担医療で使う場合も負担はかかりません。ただし、公費負担医療でない場合は負担の対象になります。

1.2 入院中、処置・手術・検査にともなう14日分まで、妊婦などへの処方も対象外

入院中に使う薬は、退院するときに処方される薬も含めて対象外です。処置や手術、検査にともなって使う薬も、14日分までは負担がかかりません。

市販薬の説明書に「服用しないこと」と書かれている妊婦、妊娠している可能性がある女性、授乳中の女性に、同じ成分の処方薬を処方する場合も対象外です。厚生労働省の資料でも、対象外となる具体的なケースが例示されています。

18歳に達した後の最初の3月31日までのこどもや、入院中の人は別の負担がかかりません。1/4

別の負担がかからない人と場面

出所:厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について」(第216回社会保障審議会医療保険部会 資料1)をもとにLIMO編集部作成

2. がん・指定難病は関連する治療だけ対象外。確認は受給者証か登録者証で

次に、がんや指定難病の人の取り扱いと、指定難病であることの確認方法を整理します。

2.1 関連のない症状に使う薬は負担の対象になる

がん、またはがんに関連する治療で使う薬は、別の負担の対象外です。指定難病、または指定難病に関連する治療で使う薬も対象外です。

ただし、どちらも関連のない症状に使う薬は負担の対象になります。

2.2 指定難病の確認は2027年度末まで、ほかの書類でも認める

指定難病の人であることは、特定医療費(指定難病)受給者証か登録者証で確認するのが原則です。登録者証は、医療費助成の対象とならない人も交付を受けられます。

ただし、登録者証は新しく申請すると交付まで一定の期間がかかるため、令和9年度末(2028年3月末)までは、指定難病の人であることを客観的に確認できる一定の書類での確認も認めます。令和10年度以降は、受給者証か登録者証での確認だけになります。

指定難病の確認は受給者証か登録者証が原則で、令和9年度末までは代わりの書類も認められます。2/4

がん・指定難病の取り扱いと確認方法

出所:厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について」をもとにLIMO編集部作成

3. LIMO編集部の計算例:抗アレルギー薬を毎月もらう場合、負担が増えるのは最初の6か月で1500円

長く薬を使う場合の取り扱いをもとに、負担がいくらになるかを計算します。

3.1 前提は3割負担で、初めて受診して抗アレルギー薬を毎月30日分もらう場合

LIMO編集部の計算例として、次の前提で計算します。

  • 3割負担の人が、それまで通院歴や治療歴がない状態で初めて受診する
  • 抗アレルギー薬を毎月30日分ずつ処方され、別の負担で増える額は1回250円(厚生労働省の例の540円から790円)とする
  • 6か月の使用実績のあと、医師が年間を通じた使用が必要と判断する

初診料や調剤の費用などの技術料は含めていません。

3.2 最初の6か月は250円×6回で1500円。医師の判断後は負担なし

厚生労働省の資料では、通院歴や治療歴がない場合、少なくとも半年は負担の対象とされています。(この条件で計算した場合)最初の6か月は1回250円の負担が増え、6回で1500円となります。※実際の負担額は処方内容や薬価により異なります。

その後、医師が年間を通じた使用が必要と判断すれば、別の負担はかかりません。

初めて受診して抗アレルギー薬を毎月もらう場合、負担が増えるのは最初の6か月で1500円です。3/4

長く使う場合の負担の計算例

出所:厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について」をもとにLIMO編集部作成

2027年3月から始まる新たな薬代負担には例外も多く、子どもや入院中の人、がんや指定難病に関連する治療などは対象外となります。継続的に薬を処方してもらっている人は、お薬手帳で処方履歴を確認しながら、自分の薬が対象になるのか、今後の家計への影響がどの程度あるのかを把握しておくと安心です。

ここからは、塗り薬(外用薬)の取り扱いと、期限つきで負担がかからない場合を見ていきます。