離婚したときに婚姻期間中の厚生年金の記録を分ける「年金分割」の請求期限は、2026年4月1日以降に離婚等をした場合、2年から5年に延びました。厚生労働省の事業概況によると、令和6年度の年金分割の件数は3万5755件で、令和2年度の2万9781件から5974件増えています。
ただし、期限が5年になるのは2026年4月1日以降に離婚等をした場合で、それより前に離婚等をした場合は、これまでどおり2年以内に請求する必要があります。
本記事では、年金分割の件数の5年間の推移を確認し、離婚した日による請求期限の違いを整理し、分割件数と離婚件数がこの5年でどう変わったかを計算します。
1. 年金分割の件数は令和6年度3万5755件。令和2年度から5974件増えた
まずは、厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、厚生年金保険(第1号)の年金分割の件数を確認します。
1.1 令和2年度の2万9781件から、令和6年度は3万5755件に
年金分割の件数は、令和2年度が2万9781件、令和3年度が3万4135件、令和4年度が3万2927件、令和5年度が3万2642件、令和6年度が3万5755件でした。
この件数は、各年度に分割の処理がされた被保険者記録の数です。
1.2 3号分割だけの件数は9086件から1万2372件に
令和6年度の内訳は、離婚分割が2万3383件、3号分割のみが1万2372件です。離婚分割は、当事者の合意または裁判所の決定で分割するもので、3号分割は、平成20年4月以後の第3号被保険者期間について分割するものです。
令和2年度と比べると、離婚分割は2万695件から2688件、3号分割のみは9086件から3286件増えました。
2. 請求期限は離婚した日で2年か5年。2026年4月1日以降の離婚等は5年以内
次に、日本年金機構の案内をもとに、請求期限の改正内容と、2つの分割制度の違いを整理します。
2.1 令和7年年金制度改正法で、2年から5年に
年金分割の請求期限は、令和7年年金制度改正法(令和7年法律第74号)により、2年から5年に変わりました。民法の財産分与請求権の除斥期間が、2026年(令和8年)4月に2年から5年に変わったことをふまえたものです。
5年の期限は、2026年4月1日以降に離婚等をした場合に適用されます。原則として、離婚等をした日の翌日から5年以内に請求します。2026年4月1日より前に離婚等をした場合は、2年以内です。
2.2 合意分割は按分割合を合意などで決め、3号分割は合意がいらない
合意分割は、婚姻期間中の厚生年金の記録(標準報酬月額・標準賞与額)を、当事者の一方または双方の請求で分割する制度です。分ける割合(按分割合)は、当事者の合意か裁判手続きで決めます。
3号分割は、平成20年4月1日以後の婚姻期間中の第3号被保険者期間について、相手方の厚生年金の記録を2分の1ずつ分割する制度で、当事者の合意は必要ありません。
3. LIMO編集部の計算:5年で分割件数は20.1%増、離婚件数は2.6%減
厚生労働省の事業概況の数字をもとに、令和2年度から令和6年度の変化を計算します。
3.1 前提は令和2年度と令和6年度の比較
LIMO編集部の計算として、令和2年度と令和6年度の年金分割の件数と、同じ資料に参考として載っている離婚件数を比べます。離婚件数は、人口動態統計月報(概数)による年度の累計です。
分割件数は被保険者記録の数で、離婚件数は組の数のため、単位が異なります。それぞれの増減を比べます。
3.2 分割件数は20.1%増、3号分割のみは36.2%増。離婚件数は2.6%減
年金分割の件数は、令和2年度の2万9781件から令和6年度は3万5755件となり、20.1%増えました。内訳では、離婚分割が13.0%増、3号分割のみが36.2%増です。
一方、離婚件数は令和2年度の18万8657組から令和6年度は18万3840組となり、2.6%減りました。
年金分割の請求期限は、2026年4月1日以降に離婚等をした場合は5年以内、それより前の離婚等は2年以内です。件数は令和6年度に3万5755件で、令和2年度から20.1%増えました。年金分割は、老後に受け取る年金額に影響する大切な手続きのひとつです。離婚後の生活設計や老後資金の準備を考えるためにも、離婚した日と請求期限を確認し、自分が年金分割の対象になるか早めにチェックしておくとよいでしょう。
ここからは、期限を過ぎても請求できる特例と、手続きに使う書類を見ていきます。