病院で処方される薬のうち、ドラッグストアで買える市販薬と成分が同じ薬について、2027年3月から窓口で払う薬代が増えます。2026年9月16日の厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会には、この仕組みの実施に向けたとりまとめ案が示されました。

対象は、市販薬と成分が同じ処方薬(OTC類似薬)77成分・1042品目で、薬剤費の4分の1を保険とは別に負担します。厚生労働省の示した例では、3割負担の人が解熱鎮痛薬を5日分処方された場合、薬代の負担は50円から70円になります。ただし、こどもや入院中の人など、この負担がかからない場合もあります。

本記事では、2027年3月から何が変わるのかを確認し、薬の種類ごとの負担額の例を整理し、抗アレルギー薬を3か月分もらった場合に増える額を計算します。

1. 2027年3月から、市販薬と成分が同じ処方薬は薬剤費の4分の1を別に負担

まずは、2026年に成立した法律で何が決まったのかを、厚生労働省の資料で確認します。

1.1 薬代のうち4分の1は保険が使えず、別に支払う

2026年5月29日に成立した健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)で、「一部保険外療養」という仕組みがつくられました。かかった費用の一部を、保険を使う対象から外す仕組みです。

この仕組みにより、市販薬と成分が同じ処方薬を使うときは、薬剤費の4分の1を保険とは別に支払います。残りの部分には、これまでどおり保険が使われます。実施は2027年(令和9年)3月からです。

1.2 対象は77成分・1042品目。抗アレルギー薬や胃腸薬、去痰薬など

対象となる薬は、市販薬と成分と使い方(飲み薬か塗り薬かなど)が同じで、1日に使える最大の量も変わらない処方薬です。厚生労働省の資料では、77成分・1042品目とされています。

種類としては、抗アレルギー薬、鎮痛消炎剤、胃腸薬、去痰薬、皮膚保湿剤などが含まれます。市販薬と同じかどうかは、メーカーごとではなく成分ごとに比べて判断します。

2027年3月から、市販薬と成分が同じ処方薬は薬剤費の4分の1を保険とは別に負担します。1/4

OTC類似薬の保険給付の見直しの概要

出所:厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について」(第216回社会保障審議会医療保険部会 資料1)をもとにLIMO編集部作成

2. 解熱鎮痛薬5日分は50円から70円、抗アレルギー薬30日分は540円から790円に

次に、厚生労働省が示した負担のイメージから、薬の種類ごとに負担がいくら変わるのかを整理します。いずれも3割負担の場合で、初診料などの技術料は含まれていません。

2.1 解熱鎮痛薬と去痰薬の5日分は、どちらも20円増える

解熱鎮痛薬を5日分処方された場合、薬代の負担は見直し前の50円から、見直し後は70円になります。増える額は20円です。去痰薬の5日分も、50円から70円に増えます。
※記載の金額は厚生労働省の資料に基づく一例であり、実際の負担額は処方される薬の価格によって異なります

2.2 便秘薬の30日分は190円、抗アレルギー薬の30日分は250円増える

便秘薬を30日分処方された場合は、360円から550円になり、190円増えます。抗アレルギー薬の30日分は、540円から790円になり、250円増えます。
※記載の金額は厚生労働省の資料に基づく一例であり、実際の負担額は処方される薬の価格によって異なります

3割負担の場合、抗アレルギー薬30日分の薬代の負担は540円から790円に増えます。2/4

OTC類似薬の見直し前後の負担のイメージ

出所:厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について」をもとにLIMO編集部作成

3. LIMO編集部の計算例:抗アレルギー薬を30日分ずつ3回もらうと750円増える

厚生労働省の負担のイメージをもとに、同じ薬を何回かもらう場合に増える額を計算します。

3.1 前提は3割負担で、同じ薬を同じ日数ずつ処方される場合

LIMO編集部の計算例として、次の前提で計算します。

  • 3割負担の人が、抗アレルギー薬を30日分ずつ3回(合わせて90日分)処方される
  • 1回あたりの薬代の負担は、厚生労働省の例の見直し前540円、見直し後790円とする

初診料や調剤の費用などの技術料は含めていません。また、別に負担がかからない場合(こども、入院中など)にはあたらないものとします。

3.2 3回分で1620円から2370円へ、750円の増加

見直し前の薬代の負担は、540円×3回で1620円です。見直し後は790円×3回で2370円となり、750円増えます。

同じ前提で便秘薬を30日分ずつ2回もらう場合は、見直し前の720円が見直し後は1100円となり、380円増えます。

抗アレルギー薬を30日分ずつ3回もらうと、薬代の負担は750円増えます。3/4

抗アレルギー薬と便秘薬を複数回もらう場合の計算例

出所:厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について」をもとにLIMO編集部作成

2027年3月からは、市販薬と成分が同じ処方薬を使う場合、一部をこれまでより自己負担することになります。花粉症や胃腸薬などを継続的に処方してもらっている人は、お薬手帳や薬局の明細書で対象となる薬かを確認し、今後の家計への影響を把握しておくとよいでしょう。

ここからは、この負担がかからない主な場合と、実施までの国の取り組みを見ていきます。