4. 2024年財政検証の年金額分布推計、1974年度生まれの65歳時の平均は男性14.1万〜15.6万円

所得代替率はモデル年金という1つの世帯像で計算した指標です。2024年財政検証では、生まれた年度ごとに65歳時点で受け取る平均年金額(1人分)の見通しも示されました。

今50歳の人の65歳時点の平均年金額は、経済の前提で男性1.5万円、女性1.1万円の差がある2/2

2024年財政検証の年金額分布推計による65歳時点の平均年金額(1人分)を、1959年度生まれと1974年度生まれの2つのケースについて男女別に比べた横棒グラフ

出所:厚生労働省「令和6(2024)年財政検証結果の概要」を参考にLIMO編集部作成

【65歳時点の平均年金額(1人分・物価上昇率で2024年度に割り戻した実質額)】

  • 1959年度生まれ(2024年度に65歳):男性14.9万円、女性9.3万円
  • 1974年度生まれ・成長型経済移行・継続ケース:男性15.6万円、女性10.9万円
  • 1974年度生まれ・過去30年投影ケース:男性14.1万円、女性9.8万円

4.1 金額は物価上昇率で2024年度に割り戻した実質額

この見通しの年金額は、物価の上昇分を割り引いて2024年度の価値に直した実質額です。1974年度生まれの人は2024年度に50歳で、65歳になる2039年度の平均年金額を示しています。

成長型経済移行・継続ケースでは、男性が15.6万円、女性が10.9万円と、いま65歳の人の平均を上回ります。過去30年投影ケースでは男性が14.1万円と下回る一方、女性は9.8万円と上回る見通しです。

5. 所得代替率が下がっても年金の実質額が下がるとは限らない

所得代替率が下がると聞くと、年金額そのものが減るように感じるかもしれません。財政検証の概要では、年金額の見通しは上がる要因と下がる要因の両方を含めて示されています。

5.1 実質賃金の上昇と厚生年金の加入期間の延長が上昇要因

概要は、年金額の上昇要因として実質賃金の上昇と、働く人が増えて厚生年金に加入する期間が長くなることを挙げています。一方で、マクロ経済スライドによる調整は年金額を下げる要因です。

成長型経済移行・継続ケースでは、給付水準の調整期間中もモデル年金や平均年金額が物価の伸びを上回って上昇する見通しとされています。過去30年投影ケースでは、モデル年金(特に基礎年金)は物価の伸びを下回るものの、女性の平均年金額は厚生年金の加入期間の延長により物価の伸びを上回って上昇する見通しです。

5.2 働く期間が長いほど自分の厚生年金は増える

厚生年金の額は、加入期間の長さとその間の給与の水準で決まります。所得代替率は全体の水準を示すもので、自分の年金額は、どれだけ長く厚生年金に加入するかによっても変わります。

ねんきん定期便は毎年誕生月に届き、50歳以上の人(59歳を除く)には老齢年金の種類と見込額が記載されています。働き方を変える予定があるときは、年金額がどう変わるかを年金事務所で確かめておくと安心です。

6. まとめ

2024年財政検証によると、2024年度の所得代替率は61.2%でした。給付水準の調整が終わった後は、成長型経済移行・継続ケースで57.6%、過去30年投影ケースで50.4%と、経済の前提によって見通しが分かれます。

今年6月の報告では、被保険者数が見通しを上回る一方、実質賃金上昇率は前提を下回っていました。将来の見通しは経済の動きで変わるので、自分の見込額をねんきん定期便で確かめ、分からない点は年金事務所やねんきんダイヤルで相談してみましょう。

参考資料

鶴田 綾