3. 加給年金から振替加算への切り替えは、配偶者が65歳に達した月の翌月分から
年金は偶数月の15日に、前月までの2か月分が支払われます。加給年金が止まる月と振替加算が付く月は、振込の時期と1か月ずれることがあります。
3.1 配偶者の誕生日が12月10日なら、2027年2月15日の振込で入れ替わる
国民年金法第18条により、年金の支給は受け取る事由が生じた月の翌月から始まります。配偶者の老齢基礎年金は65歳に達した月の翌月分から支給され、振替加算もその分から付きます。
たとえば配偶者の誕生日が12月10日で、2026年に65歳を迎える場合を考えます。65歳に達する日は前日の12月9日なので、加給年金が付くのは2026年12月分までです。
- 2026年12月分:受給権者の老齢厚生年金に加給年金が付く
- 2027年1月分から:加給年金は付かず、配偶者の老齢基礎年金に振替加算が付く
12月分と1月分は、どちらも2027年2月15日(月)に支払われます。この振込では、受給権者の12月分に加給年金が入り、配偶者の1月分から振替加算が入る形です。
3.2 1日生まれの配偶者は、誕生月の前月で切り替わる
1日生まれの方は、誕生日の前日が前の月の末日です。たとえば1月1日生まれの配偶者は、前年の12月31日に65歳に達するため、加給年金が付くのは12月分までになります。
誕生月を基準に考えると、1か月早く切り替わる点に注意が必要です。
4. 振替加算が付かない配偶者と、届出が必要になる場合
加給年金の対象だった配偶者でも、振替加算が付かないことがあります。日本年金機構が挙げている主な条件と、届出が必要な場面を確認します。
4.1 配偶者自身の厚生年金の加入期間が長いと、振替加算の対象にならない
振替加算の対象になるには、生年月日が大正15年4月2日から昭和41年4月1日までであることに加え、配偶者自身の厚生年金保険と共済組合等の加入期間をあわせて240月未満であることなどが条件です。
また、共済組合等の期間を除いた厚生年金保険の35歳以降(夫は40歳以降)の加入期間が、生年月日に応じた月数(180月から228月)未満であることも求められます。共働きで長く厚生年金に加入していた配偶者は、振替加算の対象から外れることがあります。
4.2 手続きは老齢基礎年金の請求書への記入で行い、あとから届出が必要な場合もある
振替加算は、配偶者が老齢基礎年金を請求するときの年金請求書に、受給権者の基礎年金番号・年金コード、氏名、生年月日を正確に記入することで行われます。
配偶者が65歳になったあとに、受給権者が加入期間240月以上の老齢年金や1級・2級の障害年金を受けられるようになった場合は、「老齢基礎年金額加算開始事由該当届」を年金事務所に提出します。
5. 繰下げ待機中は、加給年金も振替加算も受け取れない
65歳で受け取らずに繰下げを考えている場合は、加給年金と振替加算の扱いも確認しておきたいところです。
5.1 加給年金額と振替加算は、繰下げによる増額の対象にもならない
日本年金機構の「年金の繰下げ受給」によると、加給年金額と振替加算は繰下げによる増額の対象になりません。年金を受け取っていない繰下げ待機中は、加給年金額や振替加算も受け取れません。
受給権者が老齢厚生年金を繰り下げると、その間は加給年金が付かず、配偶者が65歳になって加給年金が止まるまでの期間を受け取らないまま過ごすことになります。配偶者が老齢基礎年金を繰り下げる場合も、待機中は振替加算を受け取れません。
6. 加給年金が止まったあとも夫婦の年金を確かめるために
配偶者が65歳になると、特別加算を含めて年42万3700円の加給年金は止まり、配偶者の老齢基礎年金に振替加算が付きます。2026年度に65歳になる配偶者の振替加算は年1万6335円で、夫婦への加算は年40万7365円少なくなります。
切り替わる月は誕生日の前日で決まり、振込では2か月分のなかで入れ替わることがあります。配偶者が65歳になる前に、それぞれの年金の見込額と加給年金・振替加算の有無を年金事務所やねんきんネットで確かめておくと、65歳以降の家計を組みやすくなります。
参考資料
- 日本年金機構「加給年金額と振替加算」
- 日本年金機構「老齢年金ガイド 令和8年度版」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- e-Gov法令検索「厚生年金保険法」
- e-Gov法令検索「国民年金法」
鶴田 綾