寒さが厳しくなると、冷蔵庫や洗濯機、暖房器具などが急に壊れて困ることもあります。生活保護を受けていて手元にお金がないとき、貸付を受けて買い替えることはできるのでしょうか。

厚生労働省の「2026(令和8)年4月1日施行 生活保護実施要領等」では、受給中に借りたお金のうち、収入として認定しない貸付資金を定めています。日常生活に必要な生活用品を緊急に買うための貸付も、その一つです。

この記事では、生活保護を受けている間に借りたお金の扱いと、生活用品を緊急に買うための貸付が収入として認定されない4つの要件を確認します。

1. 生活保護の申請は令和8年7月分で2万5236件、保護が始まった世帯は2万170世帯

はじめに、厚生労働省の被保護者調査で、生活保護の申請と開始の状況を見ておきます。

1.1 生活保護を受けている人は196万9655人、世帯数は164万4102世帯

厚生労働省「被保護者調査(令和8年7月分概数)」によると、生活保護を受けている人は196万9655人、世帯数は164万4102世帯でした。

1.2 申請件数は前年同月より151件多く、保護開始は522世帯少ない

7月の保護の申請件数は2万5236件で、前年同月の2万5085件より151件多くなりました。一方、保護が始まった世帯は2万170世帯で、前年同月の2万692世帯より522世帯少なくなっています。

生活保護の申請件数と保護開始世帯数(7月)1/2

生活保護の申請件数と保護開始世帯数を2025年7月と2026年7月で比べた棒グラフ

出所:厚生労働省「被保護者調査(令和8年7月分概数)」をもとにLIMO編集部作成

  • 申請件数:2025年7月2万5085件、2026年7月2万5236件
  • 保護開始世帯数:2025年7月2万692世帯、2026年7月2万170世帯

2. 生活保護の保護費は最低生活費と収入の差額、生活用品は計画的に買うのが原則

借りたお金の扱いを見る前に、生活保護の保護費の決まり方を確認します。

2.1 収入が最低生活費に届かない分が保護費として支給される

生活保護では、世帯の収入と厚生労働大臣が定める基準で計算した最低生活費を比べ、収入が最低生活費に満たない場合に、その差額が保護費として支給されます。

生活扶助基準額の例(令和8年10月1日現在、児童養育加算等を含む)2/2

3人世帯・高齢者単身世帯・高齢者夫婦世帯・母子世帯の生活扶助基準額を東京都区部等と地方郡部等で比べた棒グラフ

出所:厚生労働省「生活保護制度に関するQ&A」を参考にLIMO編集部作成

  • 3人世帯(33歳、29歳、4歳):東京都区部等16万8020円、地方郡部等15万370円
  • 高齢者単身世帯(68歳):東京都区部等7万7980円、地方郡部等6万9950円
  • 高齢者夫婦世帯(68歳、65歳):東京都区部等12万5460円、地方郡部等11万1720円
  • 母子世帯(30歳、4歳、2歳):東京都区部等20万50円、地方郡部等17万9300円

問答は、保護を受けている間の日常生活に必要な物品は、毎月の経常的最低生活費の範囲内で計画的に購入するのが原則だとしています。

3. 生活保護の受給中の貸付資金、収入として認定しないのは事前承認があるものに限られる

受給中に借りたお金の扱いは、次官通知と局長通知に定められています。

3.1 自立更生のために当てられる貸付資金は収入として認定しない

次官通知は、他法・他施策等により貸し付けられる資金のうち、世帯の自立更生のために当てられる額を、収入として認定しないものに挙げています。

局長通知は、収入として認定しない貸付資金を、貸付を受けることについて福祉事務所の事前の承認があり、実際に貸付の趣旨に沿って使われているものに限るとしています。

3.2 事業・就労、就学、医療・介護、結婚などの貸付資金が対象

局長通知が挙げる貸付資金は、次のとおりです。

  • 事業の開始や継続、就労、技能修得のための貸付資金
  • 高校の就学費でまかないきれない経費などにあてる就学資金
  • 医療費または介護等費の貸付資金
  • 結婚資金
  • 国や地方公共団体、またはその委託事業による住宅資金・転宅資金、日常生活で利用の必要性が高い生活用品を緊急に購入するための貸付資金など

3.3 生活用品を緊急に買うための貸付は4つの要件をすべて満たす必要がある

問答は、生活用品を緊急に購入するための貸付資金を収入として認定しない場合として、次の4つにすべて当てはまり、毎月の保護費のやり繰りで返済できると認められることを挙げています。

  • 健康の保持や日常生活に著しい支障が出るおそれがあり、必要性が高い生活用品がないか、まったく使えない状態であること
  • 保護開始から概ね6か月たっていない場合や、家計管理に問題がないのにほかの急な出費があった場合など、計画的に購入資金をためられなかったことに真にやむを得ない事情があること
  • 購入予定の品目と金額が社会通念上妥当で、必要最小限度の貸付であり、返済計画がその後の最低生活の維持に支障を来さないこと
  • 自立更生計画を提出し、購入予定の品目と返済方法について福祉事務所の事前の承認があること

生活保護を受けている間に借りたお金は、福祉事務所の事前の承認があり、趣旨どおりに使われる貸付資金に限って収入として認定されません。生活用品を緊急に買うための貸付は、4つの要件をすべて満たす必要があります。

家電が壊れて借入れを考えたときは、申し込む前に担当のケースワーカーに相談し、購入する品目と金額、返済の見通しを伝えておきましょう。

ここからは、借りたお金を返すときの扱いと、保護を申請してから決まるまでの生活費が足りないときに使える貸付を見ていきます。