老齢厚生年金を受け取る人に、生計を維持している子や年下の配偶者がいると、年金に加給年金が上乗せされます。子が3人以上いる世帯では、3人目以降の加算が1人目・2人目より少ない仕組みになっています。

2025年6月13日に成立した年金制度改正法では、子のある年金受給者への「子に係る加算」を引き上げ、配偶者の加給年金額を見直すことが決まりました。この見直しの施行日は2028年4月1日です(改正法の施行日は項目ごとに異なります)。

この記事では、2026年4月からの加給年金額を確認したうえで、2028年4月の見直しで何がどう変わるのかを、厚生労働省の資料をもとに見ていきます。

1. 老齢厚生年金の加給年金のしくみと、2026年4月からの額

はじめに、加給年金が付く要件と、2026年4月からの加給年金額を日本年金機構の資料で確認します。

1.1 厚生年金に20年以上加入した人に、生計を維持する配偶者や子がいるときに加算される

加給年金は、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある人が65歳になった時点で、その人に生計を維持されている配偶者または子がいるときに、老齢厚生年金に加算されます。加算を受けるには届出が必要です。

対象になる配偶者は65歳未満であることが条件です(大正15年4月1日以前に生まれた配偶者には年齢制限はありません)。子は18歳到達年度の末日までの間の子か、1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子が対象になります。

1.2 2026年4月からの加給年金額、配偶者と1人目・2人目の子は各24万3800円

2026年4月からの加給年金額は、配偶者と1人目・2人目の子が各24万3800円、3人目以降の子が各8万1300円です。配偶者の加給年金額には、老齢厚生年金を受けている人の生年月日に応じて3万6000円から17万9900円の特別加算が付きます。

老齢厚生年金の加給年金額(2026年4月から・年額)1/2

配偶者と1人目・2人目の子、3人目以降の子それぞれの加給年金額を比べた横棒グラフ

出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」をもとにLIMO編集部作成

  • 配偶者(特別加算を含む):42万3700円
  • 配偶者(特別加算なし):24万3800円
  • 1人目・2人目の子(1人につき):24万3800円
  • 3人目以降の子(1人につき):8万1300円

特別加算を含む42万3700円は、老齢厚生年金を受けている人が昭和18年4月2日以後生まれの場合の額です。

2. 年金制度改正法で決まった「子に係る加算」の拡充と配偶者の加給年金の見直し|2028年4月施行

2025年の年金制度改正法には、子のある年金受給者への加算を手厚くする見直しと、配偶者の加給年金額の見直しが盛り込まれました。どちらも2028年4月に施行されます。

2.1 2025年6月に成立した年金制度改正法で決まった

厚生労働省の「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律の概要」は、改正の概要を次のように示しています。

子のある年金受給者の保障を強化する観点から子に係る加算額の引上げ等を行いつつ、老齢厚生年金の配偶者加給年金の額を見直す。

出所:厚生労働省「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律の概要」

2.2 子に係る加算は、3人目以降も含めて一律28万1700円に(2024年度価格)

子に係る加算額は、現行では2人目までが23万4800円、3人目以降が7万8300円です。見直し後は人数にかかわらず一律28万1700円になり、3人目以降も1人目・2人目と同額になります。いずれも2024年度価格の年額で示されています。

引き上げは、2028年4月より前から年金を受け取っている人も対象です。厚生労働省の資料では、子に係る加算について「国内居住要件」を設けるとしています。

2028年4月の見直しで変わる子に係る加算と配偶者に係る加算(2024年度価格の年額)2/2

子に係る加算と配偶者に係る加算の現行の額と見直し後の額を並べた表

出所:厚生労働省「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律の概要」をもとにLIMO編集部作成

  • 子に係る加算(2人目まで):23万4800円→28万1700円
  • 子に係る加算(3人目以降):7万8300円→28万1700円
  • 配偶者に係る加算(将来の受給者):40万8100円→36万7200円

2.3 老齢基礎年金にも子に係る加算が創設される

今は子に係る加算がない老齢基礎年金にも、子に係る加算が創設されます。

老齢基礎年金に付く子の加算は、加入期間に応じて金額を調整するとされています。老齢厚生年金、障害基礎年金、遺族基礎年金の子の加算は、額が引き上げられます。

2.4 配偶者の加給年金額の見直しは、将来の受給者だけが対象

年下の配偶者を扶養する場合に支給される配偶者に係る加算額は、40万8100円から36万7200円に見直されます(2024年度価格)。すでに受給している人の加算額は維持されます。

障害厚生年金の配偶者の加算は、現行制度が維持されます。

3. 厚生年金保険・国民年金事業月報(令和8年5月分)から見る老齢厚生年金

加給年金が上乗せされる老齢厚生年金を受け取っている人の数と平均額を、2026年9月30日に公表された厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業月報(速報)令和8年5月分」で確認します。

3.1 厚生年金保険(第1号)の老齢給付の受給者は2984万人

令和8年5月末の厚生年金保険(第1号)の老齢給付の受給者数は2984万人で、前年同月に比べて4万人(0.1%)増えました。厚生年金保険(第1号)の受給者数全体は3630万人です。

3.2 老齢年金の平均年金月額は15万7680円

令和8年5月末の厚生年金保険(第1号)の受給者に係る老齢年金の平均年金月額は、15万7680円です。この額には、加給年金額が付いている人とそうでない人の両方が含まれています。

子に係る加算は、2028年4月から3人目以降も含めて一律28万1700円(2024年度価格)になり、老齢基礎年金にも新たに付きます。配偶者の加給年金額は、すでに受給している人の額が維持されます。

自分の年金に加給年金額が付いているかどうかは、日本年金機構から届く年金額改定通知書や年金振込通知書で確かめられます。

ここからは、2028年4月の見直しの額を読むときの注意点と、子のいる年金受給世帯が確かめておきたい要件を見ていきます。