4. 学生納付特例・納付猶予の期間は、追納しないと老齢基礎年金の額に反映されない
国民年金保険料には、免除のほかに、学生納付特例と納付猶予という制度があります。どちらも保険料の納付を先送りする制度で、年金額への反映のされ方が免除とは異なります。
4.1 受給資格期間には数えられるが、年金額には反映されない
学生納付特例と納付猶予の期間は、老齢基礎年金を受け取るために必要な受給資格期間(10年)には数えられます。一方で、保険料を追納しない限り、年金額には反映されません。
日本年金機構は、1年間分を追納すると、全額免除の期間であれば年金が年間で約1万円、納付猶予や学生納付特例の期間であれば年間で約2万円増えると案内しています。
4.2 一部免除の月は、残りの保険料を納めていないと追納もできない
一部免除を受けた期間は、納めるべき残りの保険料を納めていなければ追納できません。この場合は未納と同じ扱いのまま残ります。
5. 国民年金保険料の追納は10年以内、3年度目以降は加算額が上乗せされる
免除や猶予を受けた期間の保険料は、あとから納める追納によって、老齢基礎年金の額を満額に近づけることができます。追納した保険料は、社会保険料控除の対象です。
5.1 追納できるのは、承認された月の前10年以内の期間
追納できるのは、追納が承認された月の前10年以内の免除等期間です。免除や猶予の承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。
日本年金機構によると、令和8年度中に追納する場合の1か月分の保険料額は、全額免除・納付猶予・学生納付特例の期間で次のとおりです。
- 平成28年度の月分:1万6850円
- 令和2年度の月分:1万7070円
- 令和5年度の月分:1万6770円
- 令和6年度の月分:1万6980円(追納加算額なし)
- 令和7年度の月分:1万7510円(追納加算額なし)
5.2 老齢基礎年金を受け取れる人は追納できない
追納は、原則として古い期間の保険料から納めます。老齢基礎年金を受け取ることができる人は追納できないため、追納を考えるなら受給が始まる前に手続きを済ませる必要があります。
申込みは年金事務所で行い、街角の年金相談センターでは手続きできません。申込書を提出したあと、日本年金機構から届く納付書で納めます。
6. 国民年金保険料の育児免除は届出が必要、産前産後免除から続く場合は不要なことも
2026年10月に始まった育児免除は、原則として届出が必要です。住民登録をしている市区町村の国民年金担当窓口に届書を出すほか、マイナポータルから電子申請もできます。
産前産後免除の期間が2026年9月以降に終わった実母のうち、引き続き子を養育していることを日本年金機構がマイナンバーによる情報連携で確認できる人は、届出が不要です。対象者には「国民年金保険料育児免除該当通知書」が送られます。
確認できなかった場合は「国民年金保険料産前産後免除終了のお知らせ」が届くため、育児免除の対象になる人は届出をします。実父・養父母や、産前産後免除の届出が済んでいない実母も手続きが必要です。
すでに保険料を納めた期間や、全額免除などの承認を受けている期間も、届出によって育児免除期間として扱われます。納めた保険料は充当または還付されます。
7. まとめ
2026年4月分からの老齢基礎年金の満額は年84万7300円で、保険料1年分の未納は年2万1182円、全額免除なら年1万591円の減額になります。一部免除は残りを納めて初めて反映され、産前産後免除と育児免除の期間は納付済みと同じに扱われます。
ねんきん定期便やねんきんネットで未納や免除の月を確かめ、追納できる期間が残っているかどうかは年金事務所で相談しておきましょう。
参考資料
- 日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
- 日本年金機構「国民年金保険料の育児免除制度」
- 日本年金機構「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」
- 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
鶴田 綾