自営業やフリーランス、学生の時期に国民年金の保険料を納められなかった月があると、老後の老齢基礎年金はどのくらい減るのでしょうか。免除の手続きをしていたかどうかでも、減り方は変わります。
日本年金機構によると、2026年4月分からの老齢基礎年金の満額は年84万7300円です。2026年10月には、1歳までの子を育てる人の国民年金保険料を免除する「育児免除制度」が始まり、免除された期間は保険料を納付したものとして年金額に反映されます。
この記事では、老齢基礎年金の計算式をもとに、未納と免除の種類ごとに1年分で年金額がいくら減るのかと、未納・全額免除の期間別の年額を確認します。
1. 公的年金の2階建てと、老齢基礎年金の満額(2026年4月分から)
はじめに、老齢基礎年金が公的年金のどの部分にあたるのかと、2026年4月分からの満額を確認します。
1.1 1階部分は国民年金(老齢基礎年金)、2階部分は厚生年金
日本の公的年金は2階建ての構造です。1階部分の国民年金には、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入し、65歳から老齢基礎年金を受け取ります。
会社員や公務員は、2階部分の厚生年金にも加入します。自営業やフリーランス、学生などの国民年金第1号被保険者は、老後の公的年金が原則として老齢基礎年金だけになります。
1.2 2026年4月分からの満額は年84万7300円、昭和31年4月1日以前生まれは年84万4900円
20歳から60歳になるまでの40年間(480月)の保険料をすべて納めると、満額の老齢基礎年金を受け取れます。2026年4月分からの満額は、昭和31年4月2日以後生まれの人が年84万7300円(月額7万608円)です。
昭和31年4月1日以前生まれの人は年84万4900円(月額7万408円)です。会社員や公務員として厚生年金に加入していた期間と、その配偶者として第3号被保険者だった期間も、保険料納付済期間に含まれます。
2. 老齢基礎年金の額は、納付月数と免除月数を480月で割って決まる
老齢基礎年金の額は、保険料を納めた月数と、免除を受けた月数に一定の割合を掛けた月数を足し、480月で割って計算します。日本年金機構が示している計算式は次のとおりです。
- 84万7300円×(保険料納付月数+全額免除月数×8分の4+4分の1納付月数×8分の5+半額納付月数×8分の6+4分の3納付月数×8分の7)÷480月
2.1 全額免除の月は2分の1、一部免除の月は納めた割合に応じて反映される
全額免除を受けた月は、2分の1が年金額に反映されます。保険料の一部を納める一部免除は、4分の3免除(4分の1納付)が8分の5、半額免除(半額納付)が8分の6、4分の1免除(4分の3納付)が8分の7の割合です。
保険料を納めず、免除の手続きもしていない未納の月は、年金額に反映されません。
- 未納:年2万1182円減る
- 全額免除:年1万591円減る
- 4分の3免除:年7943円減る
- 半額免除:年5296円減る
- 4分の1免除:年2648円減る
- 産前産後免除・育児免除:減らない(0円)
図は、昭和31年4月2日以後生まれの人が、平成21年4月分以降の保険料1年分について未納または免除だった場合を、計算式に当てはめてLIMO編集部が計算したものです。
2.2 一部免除は、残りの保険料を納めないと未納と同じ扱いになる
一部免除の承認を受けても、減額された残りの保険料を納めていない月は、未納期間として扱われます。半額免除なら、残りの半額を納めて初めて8分の6が反映されます。
2.3 平成21年3月分までの免除期間は、全額免除が3分の1で計算される
反映の割合は、免除を受けた時期によっても異なります。平成21年3月分までの免除期間は、全額免除が3分の1、4分の1納付が2分の1、半額納付が3分の2、4分の3納付が6分の5で計算されます。
2.4 産前産後免除と、2026年10月に始まった育児免除は納付済みと同じ扱い
国民年金第1号被保険者が出産したときの産前産後免除と、2026年10月に始まった育児免除は、免除された期間が保険料を納付したものとして年金額に反映されます。
育児免除は、1歳になるまでの子を育てる第1号被保険者の実父母・養父母が対象で、所得の要件はありません。実母は産前産後免除期間に続く9か月間、実父と養父母などは子を養育することとなった月から1歳になる誕生日の前月までの最大12か月間が免除されます(いずれも2026年10月1日以降の月分に限る)。
3. 未納・全額免除の月数別に見る老齢基礎年金の年額
未納と全額免除の差は、期間が長くなるほど広がります。2026年度の満額をもとに、未納と全額免除の期間別に老齢基礎年金の年額を計算しました。
3.1 1年分の未納で年82万6118円、全額免除なら年83万6709円
保険料1年分(12か月)が未納だった場合、老齢基礎年金は年82万6118円です。同じ1年分が全額免除だった場合は年83万6709円で、未納の場合より年1万591円多くなります。
【未納の場合】
- なし(480月すべて納付):84万7300円
- 1年(12か月):82万6118円
- 3年(36か月):78万3753円
- 5年(60か月):74万1388円
- 10年(120か月):63万5475円
【全額免除の場合】
- なし(480月すべて納付):84万7300円
- 1年(12か月):83万6709円
- 3年(36か月):81万5526円
- 5年(60か月):79万4344円
- 10年(120か月):74万1388円
3.2 10年分の全額免除と5年分の未納は、年金額が同じになる
全額免除は2分の1が反映されるため、10年分の全額免除は5年分の未納と同じ年74万1388円になります。いずれも平成21年4月分以降の期間で、ほかの月はすべて保険料を納めた場合の計算です。
保険料を納められない月があっても、免除の承認を受けておけば、何もしなかった場合に比べて年金額の減り方は半分になります。産前産後免除と育児免除の期間であれば、年金額は減りません。
自分に未納や免除の月があるかどうかは、毎年の誕生月に届くねんきん定期便や、ねんきんネットの加入記録で確かめられます。
ここからは、学生納付特例や納付猶予の期間の扱いと、あとから保険料を納める追納の決まりを見ていきます。