年末に向けて、テレビやパソコンなど家電の買い替えを考える人も出てくる時期です。生活保護を受けている場合、どんな物を持っていてよいかには一定の考え方があります。
厚生労働省の「2026(令和8)年4月1日施行 生活保護実施要領等」では、生活用品の保有について、その物がどれだけ一般の世帯に広がっているかを示す「普及率」を目安に判断するとしています。基準は、その地域の全世帯の70%程度です。
この記事では、生活保護で保有が認められる生活用品の考え方と、内閣府の消費動向調査による家電などの普及率を確認します。
1. 生活保護を受けている人は令和8年7月分で196万9655人
はじめに、厚生労働省の被保護者調査で、生活保護を受けている世帯の状況を見ておきます。
1.1 世帯数は164万4102世帯、前年同月より3516世帯少ない
厚生労働省「被保護者調査(令和8年7月分概数)」によると、生活保護を受けている人は196万9655人、世帯数は164万4102世帯でした。世帯数は前年同月より3516世帯少なくなっています。
1.2 高齢者世帯が55.2%、障害者・傷病者世帯が25.6%
保護を停止している世帯を除いた163万5284世帯のうち、高齢者世帯は90万3116世帯で55.2%、障害者・傷病者世帯は41万8114世帯で25.6%でした。
2. 生活保護の保護費は最低生活費と収入の差額、資産は活用が前提
生活用品の扱いを見る前に、生活保護の保護費の決まり方と資産の考え方を確認します。
2.1 収入が最低生活費に届かない分が保護費として支給される
生活保護では、世帯の収入と厚生労働大臣が定める基準で計算した最低生活費を比べ、収入が最低生活費に満たない場合に、その差額が保護費として支給されます。
- 3人世帯(33歳、29歳、4歳):東京都区部等16万8020円、地方郡部等15万370円
- 高齢者単身世帯(68歳):東京都区部等7万7980円、地方郡部等6万9950円
- 高齢者夫婦世帯(68歳、65歳):東京都区部等12万5460円、地方郡部等11万1720円
- 母子世帯(30歳、4歳、2歳):東京都区部等20万50円、地方郡部等17万9300円
生活保護は、持っている資産を最低限度の生活の維持のために活用することが前提です。そのうえで、暮らしに必要な生活用品は、一定の考え方で保有が認められています。
3. 生活保護で持てる生活用品、目安は地域の全世帯の普及率70%程度
生活用品の保有の扱いは、局長通知と問答に定められています。品目の種類ごとに考え方が分かれます。
3.1 家具什器・衣類寝具は必要な品目と数量なら保有できる
局長通知は、家具什器と衣類寝具について、世帯の人員や構成などから判断して利用の必要があると認められる品目と数量は保有を認めるとしています。
3.2 テレビ・楽器・カメラは「その他の物品」として普及率で判断
問答は、生活用品としての楽器、テレビ、カメラ、ステレオを「その他の物品」として取り扱うとしています。その他の物品は、処分価値の小さいものは保有を認め、それ以外は利用の必要があり、地域の一般世帯との均衡を失しないものなら保有を認めます。
この均衡は普及率で判断し、その地域の全世帯の70%程度の普及率を基準とするとされています。利用の必要性が同じような状態にある世帯に限ってみる場合は、90%程度が基準です。
3.3 全国では薄型テレビの普及率が89.4%、パソコンは67.4%
内閣府の消費動向調査(2026年3月末現在、総世帯)で、主な耐久消費財の普及率を見ると次のとおりです。
- スマートフォン:91.4%
- 薄型テレビ:89.4%
- ルームエアコン:88.8%
- 温水洗浄便座:74.9%
- パソコン:67.4%
- 乗用車:66.2%
- 光ディスクプレーヤー・レコーダー:51.7%
- ファンヒーター:40.2%
- デジタルカメラ:39.5%
- 食器洗い機:27.7%
実施要領の基準は「その地域」の普及率で、全国の数字そのものではありません。地域の範囲は、通常は福祉事務所の所管区域か市町村の行政区域を単位とするとされています。
生活保護で保有が認められるかどうかは、その物を使う必要があるかと、地域の全世帯の70%程度という普及率が目安になります。全国の普及率は、薄型テレビが89.4%、ルームエアコンが88.8%です。
持っている家電や、これから買いたい物の扱いに迷ったときは、購入の前に担当のケースワーカーに相談しておくと安心です。
ここからは、ルームエアコンや貴金属、株式など、問答で個別に扱いが示されている物と、保護費をためて生活用品を買うときの考え方を見ていきます。