4. 平均消費性向で比べる65歳以上の無職世帯の家計、夫婦のみは119.2%
平均消費性向は、手取りのうちどれだけを生活費に使っているかを示す数字です。家計調査では、65歳以上の無職世帯について世帯の形ごとに公表されています。
4.1 二人以上の世帯のうち65歳以上の無職世帯全体は114.3%
夫婦のみに限らず、二人以上の世帯のうち世帯主が65歳以上の無職世帯をまとめると、可処分所得は23万1198円、消費支出は26万4149円でした。平均消費性向は114.3%です。
この区分には、子どもなどと同居している世帯も含まれます。世帯人員は平均2.32人で、夫婦のみの世帯の2.00人より多くなっています。
4.2 65歳以上の単身無職世帯は125.3%
ひとり暮らしの65歳以上の無職世帯では、平均消費性向は125.3%でした。夫婦のみの世帯の119.2%を上回っています。
同じ「65歳以上の無職世帯」でも、世帯の形で手取りと支出の関係は変わります。平均の数字を自分の家計に当てはめるときは、世帯の形がそろっている数字を選ぶことが大切です。
4.3 夫婦のみの世帯の非消費支出は直接税1万2547円、社会保険料2万296円
夫婦のみの無職世帯の非消費支出3万2850円のうち、直接税は1万2547円、社会保険料は2万296円でした。家計調査の社会保険料には、医療保険の保険料や介護保険料などが含まれます。
介護保険料などは、一定額以上の年金を受け取っている人の場合、原則として年金から差し引かれます。年金振込通知書で、差し引かれる前と後の金額を確かめておくと安心です。
5. 令和8年度の年金額と2025年の家計調査を並べるときの注意
年金額の例と家計調査の数字は、どちらも夫婦の家計を考える材料になります。ただし、2つの資料は対象とする時期と世帯が違います。
5.1 家計調査の社会保障給付には令和8年度の改定が含まれていない
家計調査の22万8614円は、2025年1月から12月までの1か月平均です。令和8年4月分からの改定は反映されていません。
一方、標準的な夫婦の年金額23万7279円は令和8年度の額です。年度が違う2つの数字なので、差を求めて「いくら足りない」と読むことはできません。
5.2 標準的な夫婦の年金額は特定の働き方を前提にしたモデル
標準的な夫婦の年金額は、平均標準報酬45.5万円で40年間就業した男性の老齢厚生年金と、夫婦2人分の老齢基礎年金(満額)を合わせた給付水準です。
実際の年金額は、厚生年金に加入していた期間や収入、国民年金の納付状況で変わります。モデルの額を自分の見込みとして使うのではなく、目安の一つとして受け止めるのがよいでしょう。
6. まとめ
65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、実収入25万4395円のうち22万8614円を社会保障給付が占め、消費支出は可処分所得の119.2%でした。平均消費性向は、二人以上の世帯のうち65歳以上の無職世帯全体で114.3%、単身の無職世帯で125.3%と、世帯の形で違います。
令和8年度の標準的な夫婦の年金額は月23万7279円ですが、家計調査とは年度が違います。年金振込通知書で夫婦それぞれの手取り額を確かめ、毎月の支出と並べるところから始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
鶴田 綾