年金を受け取りながら夫婦ふたりで暮らしていると、毎月の生活費のうちどのくらいを年金でまかなえているのか、気になる方もいるのではないでしょうか。

総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2025年」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、実収入25万4395円のうち89.9%を公的年金などの社会保障給付が占めていました。一方で、消費支出は可処分所得の119.2%にのぼっています。

この記事では、夫婦の家計で年金など社会保障給付がどれだけの役割を果たしているのかを、収入と支出の両面から確認します。2026年4月分から改定された年金額の例もあわせて見ていきます。

1. 65歳以上の夫婦のみの無職世帯、実収入の89.9%は年金などの社会保障給付

はじめに、家計調査で65歳以上の夫婦のみの無職世帯の収入がどう構成されているかを確認します。対象は、夫婦ともに65歳以上で、世帯主が仕事をしていない世帯です。

1.1 実収入25万4395円のうち社会保障給付は22万8614円

2025年の1か月平均で、実収入は25万4395円でした。このうち公的年金などの社会保障給付は22万8614円で、実収入に占める割合は89.9%です。

収入の約9割が社会保障給付ということは、年金の額がそのまま家計の大きさを決めている世帯が多いと読み取れます。

65歳以上の夫婦のみの無職世帯 ひと月の家計収支(2025年)1/2

65歳以上の夫婦のみの無職世帯の実収入、社会保障給付、非消費支出、可処分所得、消費支出を比べた棒グラフ

出所:総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2025年(令和7年)」を参考にLIMO編集部作成

  • 実収入:25万4395円
  • うち社会保障給付:22万8614円
  • 非消費支出:3万2850円
  • 可処分所得:22万1544円
  • 消費支出:26万3979円

1.2 税と社会保険料などの非消費支出3万2850円を引いた可処分所得は22万1544円

実収入からは、直接税や社会保険料などの非消費支出が差し引かれます。夫婦のみの無職世帯の非消費支出は3万2850円で、自由に使える可処分所得は22万1544円でした。

年金の額面と、実際に生活費に回せる金額は同じではありません。家計を考えるときは、手取りにあたる可処分所得を基準にするのが現実的です。

2. 夫婦の消費支出26万3979円は可処分所得の119.2%

次に、支出の側を見ていきます。家計調査では、可処分所得に対する消費支出の割合を「平均消費性向」として公表しています。

2.1 平均消費性向119.2%は手取りを上回って使っていることを示す

65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は26万3979円で、平均消費性向は119.2%でした。100%を超えている分だけ、手取りより多く使っていることになります。

家計調査では、実収入と、消費支出および非消費支出の合計との差を「差額分」としています。夫婦のみの無職世帯の差額分は毎月4万2434円で、預貯金の取り崩しなどでまかなっている形です。

3. 4月分から改定された年金額、標準的な夫婦は月23万7279円

家計を支える年金の額は、毎年度改定されます。厚生労働省は2026年1月23日、令和8年度の年金額を公表しました。

3.1 国民年金の満額は1人分で月7万608円

令和8年度の年金額は、令和8年4月分から改定されました。

令和8年度の国民年金(老齢基礎年金)の満額は1人分で月7万608円です。令和7年度の6万9308円より1300円多くなっています。

3.2 厚生年金を含む標準的な夫婦の年金額は月23万7279円

厚生年金の「標準的な年金額」は、夫婦2人分の老齢基礎年金を含めて月23万7279円です。令和8年度の額は、令和7年度の23万2784円より4495円多くなっています。

この額は、平均標準報酬45.5万円で40年間働いた男性と、その配偶者が受け取り始める年金をもとにしたモデルです。

令和8年度の年金額の例(月額)2/2

国民年金の満額と、厚生年金を含む標準的な夫婦の年金額を令和7年度と令和8年度で比べた棒グラフ

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」を参考にLIMO編集部作成

  • 国民年金(老齢基礎年金の満額・1人分):令和7年度6万9308円、令和8年度7万608円
  • 厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額):令和7年度23万2784円、令和8年度23万7279円

65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、収入の89.9%を年金などの社会保障給付が占め、消費支出は手取りの119.2%にあたっていました。年金の額が家計の土台になっていることが、数字からも分かります。

わが家の年金額は、日本年金機構から届く年金振込通知書や、ねんきんネットで確かめられます。夫婦それぞれの金額を書き出し、毎月の生活費と並べてみると、家計の全体が見えやすくなります。

ここからは、平均消費性向を世帯の形ごとに比べた結果と、年金額の例と家計調査の数字を並べるときに気をつけたい点を見ていきます。