3. 令和元年度末と比べると、厚生年金の男女差は3057円縮んだ

厚生年金の男女差は、以前と比べて広がっているのでしょうか、縮んでいるのでしょうか。同じ年報の令和元年度版から、5年前の令和元年度末の平均年金月額を取り出して並べます。

厚生年金の平均年金月額と男女差(令和元年度末・令和6年度末)2/2

厚生年金保険(第1号)の老齢年金受給権者の平均年金月額を男性・女性・男女差について令和元年度末と令和6年度末で比べた横棒グラフ

出所:厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報(令和元年度)」、同(令和6年度)を参考にLIMO編集部作成

【令和元年度末現在】

  • 男性:16万4770円
  • 女性:10万3159円
  • 男女差:6万1611円

【令和6年度末現在】

  • 男性:16万9967円
  • 女性:11万1413円
  • 男女差:5万8554円

3.1 女性は8254円、男性は5197円増えた

5年間で、女性の平均年金月額は10万3159円から11万1413円へ8254円増えました。男性は16万4770円から16万9967円へ5197円の増加です。

女性の増え幅が男性を上回ったため、男女の差は6万1611円から5万8554円へ3057円縮みました。月6万円台だった差が、5万円台に入ったことになります。

なお、どちらの年度の平均も、その年度末時点で決まっていた年金額をもとにしています。毎年度の年金額の改定も金額に反映されているので、増えた額のすべてが加入期間や給与の違いによるものではありません。

3.2 女性の受給権者は8万5774人増えた

老齢年金の受給権者の人数も見ておきます。女性は令和元年度末の531万9978人から540万5752人へ、8万5774人増えました。男性は1066万6981人から1067万9944人へ、1万2963人の増加にとどまります。

4. 厚生年金の額は加入期間と給与で決まる報酬比例部分で差がつく

厚生年金の平均に男女の差が出るのは、年金額の計算のしくみと関係があります。老齢厚生年金の中心になる報酬比例部分の決まり方を確認します。

4.1 報酬比例部分は平均標準報酬額と加入月数をかけて計算する

日本年金機構の年金用語集によると、報酬比例部分は加入期間と過去の報酬に応じて決まります。平成15年3月以前の期間は平均標準報酬月額、平成15年4月以後の期間は賞与も含めた平均標準報酬額に、それぞれの乗率と加入月数をかけて計算します。

平成15年4月以後の期間であれば、「平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数」が基本の形です。加入月数が長いほど、また給与や賞与が高いほど、報酬比例部分は大きくなります。

4.2 老齢基礎年金は加入期間で決まり、給与の額には左右されない

一方、1階部分の老齢基礎年金は、保険料を納めた期間などに応じて決まり、給与の額には左右されません。男女の差は主に2階部分の厚生年金から生まれると読むことができます。

5. 自分の厚生年金の額はねんきん定期便で確かめる

平均と自分の年金額を比べるときは、手元の記録で自分の数字を確かめるのが確実です。ねんきん定期便は毎年誕生月に届き、年齢によって書かれている年金額が違います。

  • 50歳未満の人(35歳、45歳以外):これまでの加入実績に応じた年金額
  • 50歳以上の人(59歳以外):老齢年金の種類と見込額

35歳、45歳、59歳の人には封書で届き、記載される内容がさらに多くなります。すでに年金を受け取っている人は、受取額(年額)が変わったときに届く「年金決定通知書・支給額変更通知書」で、変更後の年金額を確かめられます。

6. まとめ

令和6年度末の厚生年金の平均年金月額は男性16万9967円、女性11万1413円で、男女の差は月5万8554円でした。5年前の令和元年度末と比べると、女性の増え幅が大きく、差は6万1611円から3057円縮んでいます。

厚生年金の額は加入期間と給与の水準で決まるので、平均との差は人によって大きく変わります。ねんきん定期便で自分の見込額を確かめ、わからない点は年金事務所やねんきんダイヤルで相談してみましょう。

参考資料

鶴田 綾