4. 所得のほかにも、恩給・労災保険の年金などの受給や海外居住で支給が止まる・調整される
基準額と自分の状況を比べるときに、あわせて押さえておきたい点を確認します。
4.1 判定に使うのは年収ではなく所得。10月分から特定親族特別控除額も差し引く
日本年金機構が基準としているのは「前年の所得額」です。厚生労働省の通知では、所得の計算にあたって、地方税法に規定する各種控除額に相当する額を差し引くとされています。給与の額面(年収)をそのまま基準額と比べるものではありません。
2026年10月分からは、差し引く額に特定親族特別控除額が加わりました。厚生労働省の通知は、この控除を、19歳以上23歳未満の大学生年代の子などがいる場合に親などが受けられる所得控除として説明しています。
前年の所得額が基準額の近くにある方や、扶養親族の数え方が分からない方は、年金事務所や街角の年金相談センター、ねんきんダイヤルで相談できます。
4.2 恩給・労災保険の年金などは額に応じて調整、海外居住や矯正施設への入所は全額停止
20歳前の傷病による障害基礎年金には、所得のほかにも支給が止まる・調整される場合があります。日本年金機構は次のように案内しています。
- 恩給や労災保険の年金などを受け取っているときは、その受給額について障害基礎年金の額が調整されます
- 海外に住んだときや、刑務所などの矯正施設に入所したときは、年金の全額が支給停止になります(矯正施設に入所していても、有罪が確定していなければ支給停止にはなりません)
恩給や労災保険の年金などを初めて受けるようになったときや、海外に住んだとき、矯正施設に入所したときは「国民年金受給権者 支給停止事由該当届」の提出が必要です。恩給や労災保険の年金などの額が変わったときは「国民年金障害基礎・遺族基礎年金受給権者 支給停止額変更届」の提出が必要です。
所得のほかにも、恩給・労災保険の年金などの受給や海外居住で支給が止まる・調整される場合があります。4/4
出所:日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」をもとにLIMO編集部作成
5. まとめにかえて
20歳前の傷病による障害基礎年金の所得の基準額は、2026年10月分から、2分の1停止が385万8000円超、全額停止が491万8000円超になりました。2025年10月分に続く引き上げです。所得の計算では、特定親族特別控除額も差し引かれるようになりました。
20歳前の傷病による障害基礎年金は、保険料を納めていなくても受け取れる仕組みで、その代わりに本人の所得による制限が設けられています。扶養親族がいない場合、9月分までの基準で2分の1停止にあたった「376万1000円超、385万8000円以下」の所得は、10月分からの基準では全額支給の範囲に入ります。
前年の所得額を確かめ、新しい基準額と比べてみてください。判断に迷う場合は、年金事務所や街角の年金相談センター、ねんきんダイヤル(0570-05-1165)に相談できます。
参考資料
- 日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」
- 日本年金機構「障害年金ガイド(令和8年度版)」
- 厚生労働省「国民年金法施行令等の一部を改正する政令及び国民年金法施行規則等の一部を改正する省令の公布について」(令和7年7月4日)
- 厚生労働省「国民年金法施行令等の一部を改正する政令の公布について」(令和7年10月17日)
- 厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方 第12 障害年金」
村岸 理美