「国家公務員として働き始めて5年目の27歳です。10月から利率が上がったと聞きましたが、このまま定年まで40年ほど勤めたら、年金払い退職給付は65歳から月いくらもらえるのでしょうか」
公務員として働く若い世代から、このような疑問の声が届くこともあります。年金払い退職給付は、公務員が退職したあとに受け取る年金の1つで、共済組合の職域加算額に代わって2015年10月に始まりました。
国家公務員共済組合連合会は、年金払い退職給付(退職等年金給付)の基準利率を2026年10月から0.82%にしました。1年前の0.49%から0.33ポイント上がり、制度が始まってから最も高い水準です。
この記事では、基準利率の推移と制度の仕組みを確かめたうえで、40年加入のモデル年金を2026年10月からの年金現価率で計算し直します。
1. 【年金払い退職給付】2026年10月から基準利率は0.82%に
基準利率は、年金払い退職給付で毎月積み立てる付与額に付く利子を計算するための率です。国債の利回りをもとに、積立金の運用状況やその見通しも考えて、毎年9月30日までに連合会の定款で決められます。
1.1 基準利率の推移
制度が始まった2015年10月の基準利率は0.48%でした。その後は低い水準が続き、0.00%の年が3回ありました。
2024年10月からは0.26%、2025年10月からは0.49%と上がっています。2026年10月からの0.82%は、2015年10月の0.48%も上回りました。
- 2015年10月〜2016年9月:0.48%
- 2016年10月〜2017年9月:0.32%
- 2017年10月〜2018年9月:0.00%
- 2018年10月〜2019年9月:0.06%
- 2019年10月〜2020年9月:0.06%
- 2020年10月〜2021年9月:0.00%
- 2021年10月〜2022年9月:0.00%
- 2022年10月〜2023年9月:0.02%
- 2023年10月〜2024年9月:0.07%
- 2024年10月〜2025年9月:0.26%
- 2025年10月〜2026年9月:0.49%
- 2026年10月〜2027年9月:0.82%
地方公務員の共済組合も、2026年10月からの基準利率は同じ0.82%です。たとえば仙台市職員共済組合では、現行の0.49%から0.33ポイント引き上げて0.82%になると案内しています。
1.2 積み立てた額に付く利子
利子は、毎月の付与額に対して基準利率で複利計算されます。1年分を単純に計算すると、積み立てた残高100万円に付く利子は、基準利率0.49%なら4900円、0.82%なら8200円です。
利子は退職したあと年金を受け取るまでの期間にも付きます。基準利率は、年金を受け取り始めるときの年金額の計算にも使われます。
2. 年金払い退職給付の仕組み
年金払い退職給付は、国家公務員や地方公務員が加入する共済組合の制度で、2015年10月以降の組合員期間が対象です。積立方式で運営され、保険料は本人と勤め先が半分ずつ負担します。
2.1 保険料率と付与率は1.5%
保険料率は1.50%で、組合員の掛金率が0.75%、事業主の負担金率が0.75%です。標準報酬の月額が41万円なら、本人の掛金は月3075円になります。
毎月積み立てる付与額は、標準報酬の月額と標準期末手当等の額に付与率1.5%を掛けた額です。標準報酬の月額41万円なら月6150円が積み立てられ、そこに利子が付いていきます。
2.2 受け取りは原則65歳から
退職年金を受け取るには、次の3つをすべて満たす必要があります。
- 65歳に達していること
- 組合員を退職していること
- 1年以上引き続く組合員期間があること
退職年金は、積み立てた給付算定基礎額の半分が終身退職年金、残りの半分が有期退職年金になります。組合員期間が10年未満のときは、それぞれ給付算定基礎額の4分の1で計算します。
3. 40年加入のモデル年金は月1万7499円
国家公務員共済組合連合会は、2023年の財政再計算の結果とあわせて、年金払い退職給付のモデル年金を示しています。標準報酬の月額41万円で40年加入し、65歳から受け取る場合です。
3.1 モデル年金の内訳
モデルでは、付与額の累計が387万円、利子の累計が45万6000円で、給付算定基礎額は433万円になります。この半分ずつを、終身退職年金と有期退職年金に分けて年金額を計算します。
標準報酬月額41万円・40年加入のモデルでは、65歳からの年金払い退職給付は合わせて月1万7499円2/2
出所:国家公務員共済組合連合会「退職等年金給付制度の令和5年財政再計算および財政検証(令和4年度末)の結果について」をもとにLIMO編集部作成
- 本人の掛金:月3075円
- 付与額:月6150円
- 給付算定基礎額:433万円
- 終身退職年金:月8033円
- 有期退職年金(20年受給):月9466円
- 合計:月1万7499円
このモデルは、基準利率0.49%、65歳の終身年金現価率22.431306、20年の有期年金現価率19.045727で計算されています。合計の月1万7499円は、終身退職年金と有期退職年金を足した額です。
3.2 2026年10月の年金現価率で計算すると
年金額は、算定基礎額を年金現価率で割って求めます。基準利率が上がったことで、2026年10月からの65歳の終身年金現価率は21.484035、20年の有期年金現価率は18.439541に下がりました。
年金現価率が下がると、同じ算定基礎額から計算される年金額は増えます。給付算定基礎額が400万円(終身・有期とも200万円)の人が65歳で受け取り始める場合を、LIMO編集部で試算すると次のとおりです。
- 終身退職年金:年8万9161円(2025年10月からの年金現価率)→年9万3092円(2026年10月からの年金現価率)
- 有期退職年金(20年受給):年10万5010円→年10万8462円
- 合計:年19万4171円→年20万1554円(年7383円の増加)
終身退職年金は約4.4%、有期退職年金は約3.3%増える計算です。試算は年金現価率の違いだけを比べたもので、退職までに付く利子の増え方は含めていません。
3.3 40年勤めた場合の月額
同じ考え方で、40年加入のモデル年金を2026年10月からの年金現価率で計算し直します。モデルの年金額に、2025年10月からと2026年10月からの年金現価率の比を掛けて、LIMO編集部で試算しました(円未満切り捨て)。
- 終身退職年金:月8033円→月8387円
- 有期退職年金(20年受給):月9466円→月9777円
- 合計:月1万7499円→月1万8164円(月665円の増加)
冒頭の声のように40年勤めた場合、65歳から受け取る年金払い退職給付は月1万8000円台が目安になります。これは年金払い退職給付だけの額で、老齢厚生年金は別に受け取ります。
公務員の年金払い退職給付は、2026年10月から基準利率が0.82%に上がりました。40年加入のモデル年金は月1万7499円で、2026年10月からの年金現価率で計算し直すと月1万8164円です。
年金を受け取り始める年齢や額の見込みは、加入している共済組合の年金相談で確かめられます。
ここからは、有期退職年金の受け取り方の選び方と、2015年9月までの期間に対する経過的職域加算額との関係を見ていきます。