3. 【配偶者がいる人】配偶者の厚生年金(共済)の加入期間が20年以上なら、書類が増える
次に、配偶者がいる人が確かめたい書類を見ていきます。
3.1 配偶者が厚生年金(共済)に20年以上加入している人
同じ案内によると、配偶者が厚生年金(共済)に20年以上加入している人は、続柄や生計維持の関係を確かめるため、戸籍謄本、世帯全員の住民票の写し、本人の収入が確認できる書類が必要です。いずれも、請求書にマイナンバーを書けば、添付を省略できます。
3.2 年金手帳を持っている人
基礎年金番号以外の年金手帳を持っている場合は、その年金手帳も必要です。昔の勤め先ごとに番号が分かれていた人は、家の中を一度探しておくとよいでしょう。また、年金請求書に印字された加入記録に、もれや誤りがあるときは、出す前に近くの年金事務所に問い合わせておきましょう。
夫婦の年金は、どちらか一人だけで考えるものではありません。年の差がある夫婦では、一方が先に年金を受け取りはじめ、もう一方はまだ働いているという時期もあるでしょう。その間の家計をどう回すかも、早めに話し合っておきたいところです。配偶者の加入期間によって書類が変わることを知っておくと、二人の年金の受け取り方を一緒に確かめるきっかけにもなるでしょう。書類をそろえる前に、マイナンバーで省けるものがないかを先に確かめておくと、手間を減らせると考えられます。
夫婦で年金を受け取る時期がずれる場合は、先に受け取る人の手続きを、もう一人の準備の練習と考えてもよいでしょう。どちらか一人が手続きに詳しいと、もう一人は任せきりになりがちです。夫婦それぞれの加入記録や受け取る時期を、紙に書き出して共有しておくと、どちらかが体調をくずしたときにも慌てずに済むでしょう。年金の手続きは一度きりのことが多いため、メモを残しておくと、あとで家族が見返すときにも役立つはずです。
4. 【出し先と受け取る口座】主な出し先は年金事務所か街角の年金相談センター
書類がそろったら、出し先と、年金を受け取る口座を確かめましょう。
4.1 請求書の出し先と電子申請
請求書の出し先は、近くの年金事務所か、街角の年金相談センターです。「老齢年金ガイド」によると、年金の加入期間が国民年金の第1号被保険者の期間だけの人は、住んでいる市区町村の役所・役場に出します。また、日本年金機構の「老齢年金の請求手続きの流れ」によると、年金記録が共済組合等の加入期間だけの人は、原則として加入していた共済組合等に出します。
年金の未加入期間がないなど一定の条件を満たす人には、電子申請を案内するリーフレットが、年金請求書に同封されています。窓口に行く時間をとりにくい人は、同封の案内を見て、電子申請を使えるかどうかも確かめておきたいところです。窓口に行く場合は、混み合う時期を避けて、予約ができるかどうかも事前に確かめておくと、待ち時間を減らしやすいでしょう。
4.2 公金受取口座を使うときの注意点
公金受取口座を使う人は、請求書の「金融機関の証明」欄の証明や、通帳などのコピーを添える必要がありません。ただし、あとで公金受取口座の登録口座を変えても、年金の受け取り口座は変わりません。年金の受け取り口座を変えたい場合は、「年金受給権者 受取機関変更届」を出す必要があります。
公金受取口座と年金の受け取り口座は、別々に管理されていると考えておくと分かりやすいでしょう。給与の振込口座を変える予定がある人や、金融機関をまとめたいと考えている人は、年金の口座をどうするかも一緒に決めておくと、あとで手続きが二重にならずに済むはずです。
年金は、これから長く受け取り続けるお金です。どの口座で受け取ると家計の管理がしやすいかを、家族で話し合っておくのもよいでしょう。給料を受け取ってきた口座と同じにするのか、年金専用の口座を分けるのかによって、生活費の管理のしかたも変わってくると考えられます。年金が入る口座と、毎月の支払いに使う口座が同じだと、残高の動きが見えやすくなる面もあります。一方で、使いすぎを防ぎたい人は、年金を受け取る口座を分けておくのも一つの方法でしょう。
5. 【年金請求書が届く前に】書類と口座、受け取りの時期を家族で確かめる
制度の決まりを、わが家の予定に置きかえてみましょう。
5.1 届いたら、印字された加入記録と書類を確かめる
まずは、届いた年金請求書に印字された加入記録を見て、働いてきた期間と合っているかを確かめましょう。そのうえで、戸籍や住民票が要るのか、マイナンバーで省けるのかを確かめ、要る書類は65歳になってから交付され、出す日に6カ月以内のものを取りに行く予定を立てておくと安心です。書類を取りに行く日は、65歳の誕生日のあとで、出しに行く予定の日から逆算して決めておくとよいでしょう。
5.2 受け取りを始める時期と、65歳からの家計を考える
次に、65歳から年金を受け取り始めるのか、働き方や貯蓄の状況を見て時期を考えるのかを、家族で話し合っておきましょう。年金が入るようになると、毎月の収入の形が変わります。年金の金額と毎月の支出を並べ、足りない分を貯蓄でどう補うかまで考えておくと、65歳からの毎月の暮らしの形が見えてきます。
旅行や趣味、リフォームなど、年金生活に入ってから使いたいお金も書き出しておくと、貯蓄をどのくらい残しておけばよいかの見当もつけやすくなるでしょう。その見通しがあれば、65歳から先のお金の計画も考えやすくなるでしょう。
6. まとめにかえて
まずは、届いた年金請求書の加入記録を確かめましょう。次に、必要な書類と、マイナンバーで省けるものを確かめておきましょう。そして、65歳になったら、用意した書類と一緒に請求書を出しましょう。
年金は、受け取る資格ができても、自分で手続きをして初めて受け取りが始まります。年金請求書は、これからの65歳からの暮らしの計画を考えるきっかけにもなる書類です。封筒が届いたら後回しにせず、家族と一緒に中身を確かめておくことが大切ではないでしょうか。
参考資料
- 日本年金機構「老齢年金請求書の事前送付」
- 日本年金機構「65歳時の年金の手続き(老齢年金を初めて請求する方)」
- 日本年金機構「老齢年金ガイド 令和8年度版」
- 日本年金機構「老齢年金の請求手続きの流れ」
宮野 茉莉子